職場の電話は何コールで取る? 苦手意識を克服するには

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若い世代を中心に、職場で電話が鳴っているのに、受話器を取りたがらない人が増えています。知らない相手とのやりとりに緊張や不安を覚え、「固定電話恐怖症」と訴える人もいるほどです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、電話を取りたがらない同僚がいて気まずい思いをしているという人から投稿がありました。メールやSNSとは違って、即時の対応が必要とされる職場の電話。苦手意識を克服するにはどうしたらよいのでしょうか。専門家に聞いてみました。

「すぐ取るのはやめて」と同僚が文句

「電話を取るのが早すぎるという同僚の抗議」というタイトルで投稿したのは、トピ主「A」さん。職場にかかってきた電話を取る回数について、「自分が100で他の社員が5~10」というほどの格差があり、この状態を見た上司が、ある日の朝礼で「どうしてAばかり電話を取っているんだ? 全員で取るようにしないと、Aが休んだ時に仕事が回らなくなるだろう。電話を取るのは全員の仕事だ」と指示しました。

ところが、その話を聞いた同僚は、トピ主さんに向かって「あなたが電話を取るのが早すぎる」と指摘。「パソコンの作業を保存したり、メモ帳を用意したり、頭の内容を切り替えたりするので、すぐには取れないのが普通」「2コールで取るのも5コールで取るのも大差ないから、すぐに取るのをやめて欲しい」と言い放ったのです。

「私は電話の音が鳴る前にディスプレイが光ると、1~2コールで取るようにしているのですが、それで文句を言われるのも納得できません。実際、電話を取らずに待ってみても、だれも電話を取らず、結局8~9コールくらい鳴ってから、私が取ることが多いです」とトピ主さん。上司も「電話を早く取って悪いことはない」と言ってくれますが、「あまり職場内で孤立するのも……」とモヤモヤした気持ちで、発言小町に意見を求めました。

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この投稿には、30通ほどの反響がありました。

「私の前の職場が同じような感じでした」と書いてきたのは、「クルミ」さん。「私も100本以上、電話をとるのに、ほかのスタッフは数本くらい……。電話を取らない人の言い分は、取る側からすると言い訳にしか聞こえないですよね。電話を取らない人は、マルチタスクが苦手なんだと思います。あと、優先順位がわかってない。目の前の作業より、電話(=お客様)が大切なのに」と指摘します。

「じゅん」さんは「新人研修で電話は必ず2コールまでにとるように、3コールしたら『お待たせ致しました』と付けるよう教わりました。電話に出る為の準備が必要だと言う同僚さん、面白すぎます。同僚さん、その言い訳は『私は仕事ができない』と言ってる(のと同じ)と気づかないのでしょうか?」と辛口のレスを寄せました。

職場でマニュアル共有化を

電話応対技能検定指導者として各地で電話応対などの研修を行っている「株式会社 岡田プランニング」(本社・札幌市)代表取締役の岡田友子さんに聞きました。

「20代、30代の若い人たちの中では、どんなに親しい間柄でも、電話で話すよりもメールやLINEで連絡する方が、『相手の時間を奪わないし、自分も奪われない』『よく考えてから反応できるので気楽』と考える人が増えています。電話を日常的に使っていないので、いざビジネスの現場というときに苦手意識を持ってしまうのは、無理がないことかと思います」と岡田さんは分析します。

総務省が2019年5月に発表した「通信利用動向調査」によると、固定電話の世帯全体の普及率は65.2%ですが、20代が世帯主の場合は7.6%、30代の場合は26.2%。若い世代の固定電話離れが顕著です。ツイッターでも、「#固定電話恐怖症」の投稿に共感する人が目立ちます。

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では、実際に苦手意識を持つ人には、どんなふうに接すればいいのでしょうか。

岡田さんは、「初めから完璧にできる人なんていません。電話の応対は、職場の先輩に教えてもらいながら、だんだんとできるようになっていきます。苦手意識を持っている人には、『自分も最初は怖かったけど、こういうふうにやったら、うまくいきましたよ』と自分の体験やちょっとしたコツを伝えましょう。同じ職場で苦手意識のある人を放置するのではなく、実践しながら職場の電話のやりとりに慣れてもらうことです」と話します。

初心者が挑戦しやすいのは、自分から電話を「かける」ことよりも、かかってきた電話を「取る」ことです。

ビジネス電話では、電話を取ったらまず「お電話ありがとうございます」と、相手に感謝の気持ちを伝え、次に社名や部署名、自分の名前などを名乗るのが基本です。3回以上のコールで取った場合は、「お待たせしました」を冒頭に言うようにします。5~6回以上コールしてから取った場合は、「大変お待たせしました」と丁重に伝えるようにしましょう。

「あいさつ、社名、部署名、名前などの言い方を簡単なマニュアルにして、それぞれの職場内で共有するとよいと思います」と岡田さん。

このほか、ビジネス電話のコツとして、
・ハキハキとした明るい印象にするため声をワントーン上げるようにします。
・相手の言っていることが聞き取れなかったときには、「大変申し訳ありませんが、お電話が少々遠いようです。もう一度お願いできますか」などと丁寧に聞き返します。
・相手と応対していて困ったときには、一人で抱え込まずに、ほかの同僚や上司に頼ります。

などがあります。

こうした電話の応対方法について職場内で確認し合うことも有効だそうです。

「『電話に出なさい』と上から指示されて、やる気を出せる人は少ないと思います。要は『慣れ』の問題。同じ職場の中で、どうやったら経験値を上げていけるか、フランクに話し合って、相互理解を醸成していけるといいですね」と岡田さん。

電話応対の良しあしは、会社の信用問題にもつながりかねません。職場で正しいルールを共有しておきたいものですね。(読売新聞メディア局編集部・永原香代子)

【紹介したトピ】
電話を取るのが早すぎるという同僚の抗議

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