貸し切り刀剣鑑賞会「大手小町ナイト」 ファンが名刀堪能

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春日大社国宝殿(奈良市)で開催中の刀剣の展覧会「最古の日本刀の世界 安綱やすつな古伯耆こほうき展」でこのほど、OTEKOMACHI(大手小町)主催の夜間貸し切り鑑賞会(大手小町ナイト)が開かれました。全国から多くの刀剣ファンが参加し、名刀の鑑賞を楽しみました。

平安時代に活躍した伯耆国(現在の鳥取県)の刀匠・安綱やその一門の国宝・重要文化財が集結した展覧会。東京国立博物館所蔵で門外不出とされる国宝「童子切どうじぎり」など、貴重な作品が展示されており、会場には連日多くのファンが詰めかけています。

この日は、春日大社国宝殿の学芸員で権禰宜ごんねぎの荒井清志さんが展示に関する講演を行い、その後、参加者だけでゆっくりと場内を鑑賞しました。

権禰宜が作品の見どころを紹介

展覧会の企画や交渉の担当者でもある荒井さんは、刀の各部位の名称を説明し、朝鮮から伝わった刀づくりの変遷や、時代ごとの衣装や儀式などに合わせて姿を変えてきた刀剣の歴史などを、わかりやすく解説しました。参加者は、メモをとったり、大きくうなずいたりしながら、熱心に耳を傾けていました。

展示物の見どころについても詳しく説明した荒井さん。なかでも、源頼光が酒呑しゅてん童子という鬼を切ったとされる「童子切」の紹介には力が入ります。安綱の最高傑作といわれる「童子切」は、会場ではガラスのショーケースに展示され、360度、どこからでも眺められるようになっています。

荒井さんによると、刀身に小さなさざ波のように見える「小乱れ」という刃文が表れているのが特徴だそう。表面の鉄の模様(鍛え肌)についても、荒井さんは、「少し荒々しい鍛え肌も安綱の作品の特徴ですが、童子切にはそれがなく、すごく美しい」と語り、「360度から眺められる機会はほとんどないので、裏側までじっくりご覧いただきたい」と呼びかけました。

展示品の解説をする荒井さん

その他にも、安綱の作品の中には、鎌倉時代中期から江戸時代にかけて出現した刃文「丁子ちょうじ」がすでに表れている刀があるなど、平安時代の刀工としての突出した才能を感じさせるエピソードを披露しました。

2月1日から始まる後期展示では、京都国立博物館所蔵の国宝「安家」が登場します。荒井さんによると、古伯耆物の中で国宝に指定されているのは、童子切と安家だけ。その2本を一緒に見られる貴重な機会だと聞かされ、参加者は目を輝かせていました。

単眼鏡を手に鑑賞する人も・・・少人数でのぜいたくな時間

荒井さんの講演の後、参加者のためだけに展示会場が開放されました。実際の作品を前に荒井さんに質問をする人や、単眼鏡を片手に眺める人など、それぞれ自分のペースで、約40件の作品をじっくり鑑賞して回ります。1時間近くにわたって行われた鑑賞会ですが、最後にグッズ売り場に駆け込む人も多く、時間ギリギリまで古伯耆物の世界を堪能した様子でした。

オンラインゲーム「刀剣乱舞」をきっかけに刀に興味を持ったという福岡市の広瀬華子さん(28)は「専門家から詳しい話を聞いたのは初めてで、すごく勉強になりました。刃文の説明や作品にまつわるエピソードを聞いた上で、刀を見るとまた見方が変わりますね」とうれしそう。福井県から訪れた加藤裕美さん(35)は「何度か展覧会は来ましたが、いつもお客さんで混雑していました。貸し切りの空間で、ゆっくり刀と向き合えたので大満足です」と話していました。

名物粥でほっと一息

七草の万葉粥、サバの柿の葉すし、おぐらのくず餅などの「大和名物膳」

イベントの最後には、春日大社境内にある春日荷茶屋で人気の「大和名物膳」がふるまわれました。
熱い時間を過ごした参加者も、優しい味の料理でほっと一息ついた様子。京都市の市原春香さん(21)は「目で刀をゆっくり楽しんだ後に、奈良の味を味わうことができ、最高です」と笑顔を見せていました。

(取材/読売新聞メディア局編集部 安藤光里)

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