料理や掃除の際に、汚れを防いでくれるかっぽう着。古めかしいイメージがあるが、最近は、おしゃれな色柄で、外出着にもなる商品が登場し、じわじわ人気が広がっている。
色柄・素材が現代的に。コートや部屋着としても活用
かっぽう着は、幅広の袖がついたエプロンで、1900年頃に日本の料理学校で考案されたという。和装に白いかっぽう着というイメージが強いが、最近は明るい色柄など、今の暮らしに合ったデザインで提案されている。
東京都の女性会社員(42)は、麻素材のかっぽう着を愛用している。長袖のスモックのようなシンプルなデザインで、前後をひっくり返してコートとして着ることもあるという。「袖にリブ(ゴム編み)がついているので、食器洗いの時に袖を上げやすくて便利です」と話す。
このかっぽう着は、服飾資材メーカー「増見哲」(大阪市)の「カポック」。薄手のコートとしても着用できるように作られていて、スマートフォン用のポケットもついている。ベージュや黒、紺など6色あり、価格は1万9800円(税込み)。昔ながらの白いかっぽう着を60年以上前から製造・販売してきた同社が、「今の暮らしに合ったハウスワーキングコート」として、2017年から自社の通販サイトなどで販売を始めた。着心地やデザインに魅了され、色違いで購入する愛用者もいるという。

近所のコンビニなど、ちょっとした外出にも着られる部屋着が一般的となる中、かっぽう着も、着たまま外出できる商品が注目されているようだ。

生活雑貨を扱う「中川政七商店」(奈良市)の全国の店舗で人気なのが、短い丈のかっぽう着。広報担当者は「汚れやすい部分を覆ってくれて着脱もしやすい。かっぽう着の良さを残しながらもシャツ感覚で着られる」と話す。無地が7480円(同)、縞柄が8250円(同)。
百貨店で扱うかっぽう着の種類も増えている。松屋銀座(東京)の家庭用品売り場では、小花柄や植物柄、フリースやジャージー素材など、色柄や素材の異なる約40種類を扱う。価格は5000~8000円が中心。厚手の商品も充実しており、買い物やゴミ捨ての際の防寒着としても重宝しそうだ。
バイヤーの佐藤一基さんは、「暖かいうえ、袖幅が広くゆったりとしたシルエットなので楽に着られる。ワンピースや部屋着感覚で着られる点も支持されているのでしょう」と話す。

防災グッズにもなる
かっぽう着は防災グッズとしても重宝する。危機管理教育研究所の国崎信江さんは、「着ている服の汚れを防ぐので、地震や水害などで服が洗えない、着替えがない状況で役立つ。冬場は防寒にもなる」と話す。
非常時は、毎日、同じ服を着ることで気持ちが落ち込んでしまう女性も多いという。「お気に入りのかっぽう着が一枚あると、精神的にもプラスになります」とアドバイスする。
(読売新聞生活部 谷本陽子)
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