ソムリエおすすめ、オリーブオイルと一緒に取るといい食べ物

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すっかり日本の家庭にも浸透したオリーブオイル。最近は、「早摘み」のオイルに注目が集まっているそうです。国内でもオリーブオイル専門店が増え、通販などで世界各地の様々な種類のオリーブオイルが入手できるようになってきました。オリーブオイルの普及活動に取り組んでいるオリーブオイルマスターソムリエ・オリーブオイルコンポジターの梅北奈鼓さんに、オリーブオイルの健康効果やおすすめの食べ方などについて聞きました。

梅北奈鼓さん

高品質の「早摘み」

――世界最大のオリーブ生産地と言われるスペイン・ハエン県で、生産者や起業家たちが最高品質のオリーブオイル作りに挑戦する姿を映したドキュメンタリー映画「エキストラ・バージン~世界一のオリーブオイル〜」が日本で公開されます。梅北さんはこの秋、ハエン県に視察に行かれたそうですね。

ハエンには4年ぐらい前からずっと行きたいと思っていました。ただ、なかなかタイミングが合わなくて。オリーブの実の収穫期間はすごく短くて、10日間ぐらいしかありません。青かった実が熟し始めて紫色になり、黒っぽくなっていくのですが、熟し切る前に収穫して搾ることで、おいしくて品質の高いオイルが作れます。その収穫のタイミングに合わせて現地に行くのがすごく難しいんです。

今回は、オリーブの実の収穫からオイルが出来るまでの工程を3日間、朝から晩まで見ていました。栽培農家やオリーブオイル生産者のみなさんは収穫期間中、ほとんど寝ずに作業に当たります。オリーブの実は、収穫の直後から酸化していくので、実に傷が付いて酸化がさらに進まないよう、まるで宝石のように丁寧に扱うんです。そして、一刻も早く搾油することで、高品質のオイルを作ることができるというわけです。農家の方が、工場でオイルが出来上がるところをじっと見守っている姿も印象的でした。良いオイルを作るために、大勢の人が手をかけている様子を目の当たりにできて、ますますオリーブオイルが好きになりました。

『エキストラ・バージン〜世界一のオリーブオイル〜』12月6日(金)より YEBISU GARDEN CINEMAほか 全国順次公開 (c)2018 CAJA RURAL DE JAÉN, LÓPEZ-LI FILMS & ZAMPA AUDIOVISUAL

――現在は、世界中の生産地で早摘みの実を搾ったオリーブオイルを作り、品質の高さを競い合っているんですね。

早摘みの方が、オイルの栄養価が高く、味も良い。また、品種の特徴が表れやすいんです。そうしたことが広く知られるようになって、世界中で早摘みのオイルが生産されるようになっています。日本オリーブオイルソムリエ協会では2012年から国際オリーブオイルコンテストを開催していて、同様のコンテストが世界中でたくさん開かれていますが、最近は、早摘みのオイルが高い評価を受けるのが業界の流れになっています。

苦みの素ががん予防に

――「オリーブオイルマスターソムリエ」の肩書もお持ちですが、どんな活動をしているのですか。

オリーブオイルの専門家を育成する日本オリーブオイルソムリエ協会に所属していて、2013年にマスターソムリエの資格を取得しました。世界中から集められたオリーブオイルを格付けするコンテストで審査員を務めたり、国内のオリーブオイルの産地でアドバイザーを務めたりしています。

――オリーブオイルが体に良いことはもはや常識ですが、具体的にどんな効果があると言われているのでしょうか。

比較的新しい研究成果によると、エキストラ・バージン・オリーブオイルには「オレオカンタール」と呼ばれる成分が含まれていて、これはオリーブオイル特有の苦みの素でもあるのですが、前立腺がんや胃がん、アルツハイマーの予防に効果があるとされています。また、やはりオイルに含まれているビタミンEの一種「トコフェロール」が、血管を元気にする効果があると言われており、肩こりや腰痛などに効くとも言われています。

――オリーブオイルには「エキストラ・バージン」と「バージン」がありますが、何が違うのでしょうか。

バージンオリーブオイルは主に「エキストラ・バージン」「バージン」「オーディナリー・バージン」「ランパンテ」に分類されます。その違いは「酸度」です。酸度が0.8%以下がエキストラバージン、2.0%以下がバージンとなります。酸度2.0%以下のオリーブオイルは食用に使われますが、2.0%を超えるオーディナリー・バージン(酸度3.3%以下)やランパンテ(同3.3%超)は工業用油などとして使われますが、精製されて食用になる場合もあります。

梅北さんがスペインから持ち帰った4品種のオリーブオイル。(左から)ピクアル、オヒブランカ、アルベッキーナ、フラントイオ

――産地によっても違いはありますか。

オリーブオイルの生産量が最も多い国は、スペインです。その代表的な品種が「ピクアル」です。オリーブオイルの中でもポリフェノールの含有量が最も多いと言われていて、抗酸化作用が強く、アンチエイジングにも役立つとされています。味もスパイシーですごくおいしいです。ピクアル種は、アメリカ西海岸やオーストラリアなどでも生産されていますが、品種が同じでも気候や土壌が違うと、味は微妙に異なります。

オイルの生産量が最も多いのがスペインなら、オリーブの栽培品種が最も多いのがイタリアです。現在、700種以上が栽培されています。代表的な品種に「レッチーノ」や「コラティーナ」などがあって、とても辛口で濃いグリーンのオイルなのが特徴です。

発酵食品との相性バツグン

――オリーブオイルをどのように体に取り入れるのがいいのでしょうか。

全国のいろいろなところでオリーブオイルに関するセミナーを開いていますが、参加者からの質問で一番多いのが、それです。オリーブオイルをサラダに使ったり、パスタに使ったりはしているけれど、他に使い方が分からないという方が多いんです。私が推奨するのは、オリーブオイルと、和食に多い発酵食品を組み合わせることです。便秘などに悩む女性の間で「腸活」が広まっていますが、オリーブオイルも発酵食品も、腸の働きを良くする効果があると言われていて、一緒に取ると相乗効果が期待できます。朝の起きたては腸が活発に働くので、朝食で納豆やみそ汁に良質のオイルを少量かけて食べるのが良いと思います。ちなみに私は、甘酒にオリーブオイルを入れて飲むことをずっと続けています。

納豆やみそ汁とオリーブオイルの相性はバツグン

それから、ビタミンEの一種の「トコフェロール」は、ビタミンCと一緒に取ると効率よく体に吸収されるので、オリーブオイルと果物の組み合わせもおすすめです。例えば、忙しい朝の食事をバナナだけで済ませている女性は、自分のためにちょっとだけ時間を割いて、切ったバナナをお皿に盛り、オリーブオイルをかけて食べてみたらどうでしょうか。今の季節なら、ビタミンCが豊富なキンカンやイチゴなどにかけて食べるのもいいと思います。

オリーブオイルは品種によって味も様々ですから、気分によって使い分けるのもいいですね。例えば、そうめんを食べる時、めんつゆに薬味としてワサビやショウガを入れたりしますが、これに代わって、大根おろしのような辛みがある「オヒブランカ」という品種のオイルを入れると、すごくおいしく食べられます。

――オリーブオイルを保存する際に注意すべき点は?

オリーブオイルに限らず、油は「熱」「空気」「光」に弱いです。最近は、ワインのようにかわいらしい瓶に入ったオリーブオイルも市販されているので、ついつい台所の火に近い場所に飾っておきたくなったりしますが、熱でオイルのクオリティーが下がっていくので、使ったら冷暗所にしまうべきです。容器を開栓したら、なるべく空気に触れないよう、ふたはしっかり閉めておくこと。透明なガラス瓶などに入ったオイルを買った場合は、アルミ箔などで瓶を包んで、光を遮るようにした方がいいです。いずれにせよ、いったん開栓したらオイルの酸化が進んでいくので、なるべく早く使い切ることが大事です。

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梅北 奈鼓(うめきた・なこ)

オリーブオイル・コンポジター。鹿児島県出身。鹿児島読売テレビ勤務などを経て、2013年にオリーブオイルマスターソムリエの資格を取得。15年、オリーブオイルの正しい情報の提供と普及を目的とする「照国オリーブラボ」を開業。オリーブオイルの研究所として注目を集める。日本オリーブオイルソムリエ協会で、世界オリーブオイルコンテスト審査員を務めるほか、アンチエイジングなどをテーマにした講演・セミナーを行っている。

『エキストラ・バージン〜世界一のオリーブオイル〜』
12月6日(金)より YEBISU GARDEN CINEMAほか 全国順次公開
(c)2018 CAJA RURAL DE JAÉN, LÓPEZ-LI FILMS & ZAMPA AUDIOVISUAL
配給:ピクチャーズデプト
2018年/スペイン/スペイン語、英語、イタリア語/94分/カラー/
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※12月6日(金)に映画公開初日トークイベント&オリーブオイルミニ試飲会が開かれます。詳細はこちら