仏の靴ブランド「ロジェ ヴィヴィエ」 キトゥン・ヒールやスニーカー充実

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フランスの高級靴ブランド「ロジェ ヴィヴィエ」は、独創的で美しく、華やかさを併せ持つデザインが特徴です。世界的に人気が高く、多くのセレブからも愛されています。クリエイティブ・ディレクターとしてブランドを率いるゲラルド・フェローニさんがこのほど、2020年春夏物の展示会のために来日しました。

東京都新宿区の小笠原伯爵邸。普段はレストランとして使用されている建物を貸し切って、展示会は開かれました。フェローニさんは展示会場を毎回「ホテル・ヴィヴィエ」と名付けて架空のホテルに仕立てています。今回は「バックステージ」がテーマ。着物が飾られた部屋、ピアノのある広間など、趣向を凝らした各部屋にさりげなく新作の靴が飾られています。部屋ごとに異なる衣装の女性たちがいて、時空を超えた劇中にいるような、不思議な感覚に襲われました。

「創業者のロジェ・ヴィヴィエは天才。特別な存在であり、いつも私の夢でした」。来日した際の取材で、フェローニさんはこう語っていました。

ブランドの起源は、パリに最初の店を構えた1937年。創業者で靴デザイナーのロジェ・ヴィヴィエは、コンマなどをモチーフに革新的な形のヒールを生み出すなど、アート作品のようなデザインを提案してきました。英国のエリザベス2世の戴冠式(53年)に靴を提供し、フランス映画「昼顔」(67年)で主演のカトリーヌ・ドヌーブが履いた四角いバックルのついた「ベル・ヴィヴィエ」は大流行しました。

エポックメイキングな靴で知られるだけに、クリエイティブ・ディレクターとして契約した時にはかなりのストレスだったといいます。

「私にとっては挑戦です。でも、まったく新しいロジェ ヴィヴィエを見せるのではなく、私のブランドに対するヴィジョンを見せればいいのだと思うようになりました」

フェローニさんはイタリア・トスカーナ生まれ。父親が靴のビジネスに携わっていたため、幼いころから靴は身近な存在でした。20歳のころ、偶然、本の中で見つけたロジェ ヴィヴィエの鮮やかなピンクの靴に、一瞬にして引き込まれたといいます。その後、フランスやイタリアの有名ブランドで靴、アクセサリー部門の企画責任者を歴任しました。

昨年3月のクリエイティブ・ディレクター就任以降、フェローニさんは自分らしさを随所に打ち出しています。ブランドのアイコンでもある「ベル・ヴィヴィエ」を現代流にアレンジし、種類を増やしています。

そしてこだわっているのが、ヒールの高さです。3.5~6センチほどの「kitten heel(キトゥン・ヒール)」と呼ばれるものを充実させています。またスニーカーやバッグなどにも力を入れています。展示会ではそうした新作が並びました。

「女性のライフスタイルは大きく変わり、自由になりました。それに誰かに何かを強いることはできない。細くて高いヒールもいいけれど、女性たちに多くの選択肢を作りたい」。

フェローニさんはインタビューでよくターゲットの女性像を聞かれるそうですが、「私にとってすべての女性がターゲット。靴が美しくて履き心地がよければ、自信にもつながるはずです」と、確信に満ちた表情で話していました。

フェローニさんはとても個性的。音楽学校で声楽を学んだそうで、展示会でもその歌声を披露しました。また、常に豪華なアクセサリーを胸元につけています。収集しているアンティークジュエリーで、必ずシャツの上からつけるのがフェローニさん流です。

(読売新聞編集委員 宮智泉)

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