ささいなことが気になって生きづらい人へ お薦め本3選

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「周りの人が気付かない細かなことでも気になって、毎日、ぐったり」「イライラしている人が近くにいるだけで緊張する」。こんなつらさを小さい頃から感じているという人は、生まれつき人の気持ちや周りの刺激に敏感な「HSP(ハイリ―・センシティブ・パーソン)」なのかもしれません。

HSP 感触やにおい、音、味、人の気持ちなど、何に対して特に敏感かは人によって違いますが、「深く考える」「刺激を受けやすい」「共感力が高い」「ささいな変化に気付く」という4点が共通しています。アメリカの心理学者、エレイン・アーロン氏が概念を提唱しました。15~20%が該当するとの調査もあります。子どもの場合、「HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)」と呼ばれます。

この特性は、脳の仕組みが関係しており、5人に1人が持っているとも言われます。病気や障害とは違い、基本的に病院に行って治療を受けるものではありませんし、共感力や洞察力を生かして活躍している人もたくさんいます。ただ、敏感さゆえにつらくて悩んでいる人は、自分なりの対処法を持っていると、毎日の暮らしがちょっと楽になることも。対処法を探したい人に参考になりそうな本を3冊、紹介します。どの本も、HSPのセルフチェックテスト付きで、イラストもあって読みやすい内容です。

 『気がつきすぎて疲れる』が驚くほどなくなる『繊細さん』の本」(武田友紀著、飛鳥新社、税別1204円)

 HSPは、「気にしすぎだよ」「神経質だね」と言われ、「私が悪いのか」「気にしないってどうすればいいの?」と悩んでいることが少なくありません。著者の武田さんは、自身がHSP。ストレスで会社を休職したこともありましたが、自分の繊細さを知り、長所として生かし始めたことで、人生が大きく変わったといいます。

この本は、HSP専門のカウンセラーになった武田さんが、相談実績を基に、「無理に鈍感になろうとするのではなく、繊細さを大切にしたまま、楽に生きる方法」をまとめたものです。

例えば、HSPではない人の言動を見て、「どうしてそんなことをするの?」と怒ったり、「私、嫌われるようなことしたかな?」と悩んだりしている人は、「相手は配慮が苦手なんだ」と自分との感覚の違いを受け止めるだけで、ぐっと人付き合いしやすくなるそうです。また、職場で電話が鳴っている時、「どうしよう、今、忙しくて電話を取れない。けど、周りも忙しいのに、聞こえないフリをするのも罪悪感が……」とあれこれ考えてそれだけで疲れる。そういう人は、「電話に出るのは3回に1回」などとマイルールを決めて、悩む時間を減らすと良いそうです。こうした実践しやすいノウハウがたくさん紹介されています。

 ささいなことに動揺してしまう 敏感すぎる人の『仕事の不安』がなくなる本」(みさきじゅり著、秀和システム、税別1500円)

 著者のみさきさんもHSPです。会社員時代、「教わったことをじっくり考えてしまい、時間がかかる」「先輩のチェックが入ると、緊張するし、信頼されていない感じがして動揺する」など、HSPの特徴がマイナスに出てしまい、自信を失った経験があるそうです。そうした経験を生かし、今はHSP専門のキャリアコンサルタントとして仕事をしています。

 この本には、「自分が仕事を覚えるペースや体調の波を理解しておく」「周りを気遣うあまり、仕事を抱え込んでしまったら、『もう私はいっぱいいっぱい』と周りに伝える」といったアドバイスが載っています。「『人の出入りが少ない』など、自分が落ち着ける職場環境を知っておく」といった、仕事選びのうえで気をつけるポイントもまとまっているので、転職を考えている人にも役立ちそうです。

 HSCの子育てハッピーアドバイス HSC=ひといちばい敏感な子」(明橋大二著、1万年堂出版、税別1200円)

 精神科医の明橋さんが、「HSCを育てるうえで気をつけるポイント」について解説しています。HSCの赤ちゃんは、よく泣いたり、あまり眠らなかったりすることもあり、「育てにくい」「私の育て方が悪いのか?」と悩んでいる親が少なくないといいます。物心がつくと、ちょっと叱られただけでも、「お母さんは私のことが嫌いなんだ」と深く傷ついて自己否定感を持ってしまいがちです。強い口調で叱らずに、優しく注意したうえで、褒めることもセットにすると良いそうです。

 また、「服がチクチクする」「いつもと違う味がする」といった訴えを、「わがまま」「気にしすぎ」と否定するのではなく、「そうなんだね」と共感して、受け止めることも大切です。学校の先生が他の子を怒っているのが怖くて、学校に行くのがつらくなってしまうHSCもいます。本では、親だけでなく学校の先生へのアドバイスもまとめられています。

 HSPHSCといっても、何に対してどれくらい敏感かは、人によって様々です。いろいろな対処法を試してみて、自分に合うものを見つけてください。また、あまりにも日常生活がつらく、不眠などの不調まで抱えている場合、「HSPだから病気ではない」と自分で決めつけずに、精神科などの受診も検討しましょう。

(読売新聞社会保障部 田中ひろみ)

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