女性の飲酒の適量はどのくらい? 危険度をチェック

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酒は「百薬の長」とも言われますが、飲み過ぎてしまうと健康に害を及ぼす恐れが高まります。読売新聞の掲示板「発言小町」には、昼間の飲酒を夫や親にとがめられ、禁酒を強いられたという在宅ワークの女性から投稿が寄せられました。お酒とうまく付き合うために、知っておきたいことを専門家に聞いてみました。

「母親なのに酒を飲むなんて」と言われ

トピ主の「さけこ」さんは、3歳の息子がいる27歳の女性。若いころからビールや焼酎をよく飲んでいましたが、妊娠を機にひたすら我慢を重ねてきました。ようやく息子が母乳を卒業したため、以前のように飲み始めたところ、夫に「母親なのに酒を飲むなんて」「主婦なのに飲んだらダメ」と怒られたそうです。

「大量に飲んでません。ビール2、3杯で終わってるんです。けれども、義母や実母には『母親の自覚がない』とまで言われました。今では、子供が保育園に行ってる間にビール片手に仕事しながら飲んでます。その方が家事も仕事もストレスなく調子よく出来ます」とトピ主さんは明かしています。

夫は自分だけ飲んで、妻には禁酒

さらにトピ主さんは、在宅ワークをしていて、家事代行やベビーシッターを頼めるぐらいの収入を得ていることや、夜は夫に見とがめられてしまうため、昼間から飲むようになったこと、本当は夫婦で晩酌の時間を持ちたいけれども、夫は自分だけ飲んで、妻には禁酒を強いていることなどを、追加投稿でつづっています。

トピ主さんと夫は離婚覚悟で話し合い、その結果、トピ主さんは昼間のお酒はやめて、夫婦で晩酌の時間を持つことになったそうです。ところがその後も、「朝方に仕事が終わった達成感でビールを開けてゴクゴク飲んでたら、実母がサイレント訪問してきて、相当怒られました」との投稿が続き、なかなかスッキリと問題解決とはいかない様子です。

お酒を楽しむ権利はある、ただし「節度」と「適量」を

この投稿について、アルコールなど依存症の全国拠点病院である国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の精神科医、岩原千絵さんに話を聞きました。

岩原千絵医師(神奈川県横須賀市の久里浜医療センターで)

「母親だから、女性だからと古い固定概念で、人の行動を縛るのはいかがなものでしょう。妊娠・授乳期以外は母親だってお酒を飲んで良いと思いますし、主婦だってお酒を楽しむ権利はあります。ただし、『節度ある適量の範囲』で。これが案外知られていないのが問題なのです」と岩原さんは話します。

アルコールの分解速度に男女差

飲酒によって摂取したアルコールが体内で分解される速度を男性と女性で比較すると、女性は男性に比べ、分解速度が2分の1から4分の3程度と遅く、同じ量を飲酒したとしても、女性は男性よりも臓器障害を起こしやすいことなどが、医学界では知られています。

「女性の飲酒量は、男性の2分の1から3分の2程度が適当と考えられています。厚生労働省が出している飲酒のガイドラインでは、『節度ある適度な飲酒』は成人男性で1日平均、純アルコールで20グラム程度ですから、女性はこれの半分として、10グラム。つまり、1日で350ミリ・リットルの缶ビール1本以下なんです」と岩原さんは強調します。

女性の適量は缶ビール1本以下

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1日で350ミリ・リットルの缶ビール1本以下、と聞くと、「それ以上、飲んでいる……」と思う人も多いかもしれません。岩原さんは「まずは、お酒の適量に男女差があるということを知ってほしいです。女性のアルコール依存症患者は、2013年までの10年間で、1.6倍の約13万人に増えています。しかも、男性の患者が50代中心なのに対して、女性は30代がピークになっているので、用心に越したことはありません」と話します。

セルフチェックで自分の危険度がわかる

飲酒に関しては、<1>家族に隠れて飲む、<2>昼間から飲む、<3>記憶をなくすまで飲む(ブラックアウト)、<4>飲むか寝るかのサイクルにはまることがある――などが問題行動として知られています。もちろん、お酒に強い弱いは個人差もあります。自分のお酒の付き合い方について、セルフチェックしたいときには、久里浜医療センターのホームページで公開しているAUDIT (Alcohol Use Disorders Identification Test)が便利です。世界保健機関(WHO)が作成したもので、10問の設問に答えるだけで、自分の飲酒の危険度がわかるそうです。

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岩原さんは「お酒は適量の摂取なら健康にいいと言われてきましたが、最近では全く飲まないのが最も健康にいいと言う調査結果も出ています。お酒は飲み物と言うより薬物。飲まないに越したことはありませんが、飲むなら節度ある適度の飲酒を守って、さらに週に2日は休肝日を設けて、肝臓を休ませることが大切です」とアドバイスします。

「たしなむ程度なら」と思っていても、つい気が緩んで飲み過ぎてしまうのが人間の弱さ。酒に飲まれて失態を演じないためにも、付き合い方を一度点検してみる必要はありそうです。(読売新聞メディア局編集部 永原香代子)

【紹介したトピ】
母や主婦は酒を飲んではダメですか?

【参考情報】
厚労省の飲酒のガイドライン

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