洋服や化粧品、掘り出し物がざくざく、「オフプライスストア」が日本にも

News&Column

アパレルメーカーや化粧品会社の在庫品を正規ルートで買い集めて格安で販売する、「アウトレット品のセレクトショップ」ともいえる新業態「オフプライスストア」が、日本にも登場しました。手軽に掘り出し物探しが楽しめると、欧米で人気のお店だそうです。

「掘り出し物」パトロール 

大手アパレルメーカーのワールドは9月14日、さいたま市内にオフプライス店「アンドブリッジ」の1号店を開きました。幹線道路に沿ってマンションや一戸建てが広がる一帯にある、ミニショッピングモールの一角です。 

ジャズが流れる落ち着いた店内は、約990平方メートルの広さ。ファッションビルやショッピングセンター、百貨店などでおなじみの約60のブランドの服や雑貨、化粧品などが1万点以上並んでいます。1シーズンほど前の商品が中心ですが、値段は定価の5~7割引です。

すでにおなじみのアウトレット店は、特定の会社やブランドの商品だけを扱いますが、アンドブリッジはワールドだけでなく、ライバル社のブランドも幅広くそろえています。「訳あり品」を集めたディスカウント店と違い、不良品や偽物の心配もありません。

商品はブランド別ではなく、男性、女性、子どもといった分類で、ラックにぎっしりかけられています。運営会社の松下剛社長は、「子育て世代のお客さんが多い印象です。宝探し感覚で『何かいい物がないかな』と、陳列ラックを見て回る感じです」と話します。

1回の来店で夫婦と子ども用にそれぞれ一つずつ、計3点で5000~6000円の買い物をするお客さんが多く、週に何回も「掘り出し物パトロール」に来店する女性客も少なくないそうです。

車がないと行きにくい郊外のアウトレット店に対し、住宅街からそう遠くない場所で営業して、「日用品や食品などの買い物のついでに、ちょっとお立ち寄りを」というのが、オフプライスストアのコンセプトだそうです。

お得にステキなプチプラコーデを目指す「しまむらパトロール」愛好者や「ワークマン女子」にも、人気が出そうです。

 品ぞろえはどんどん豊富に

DVDや服など様々な商品のレンタルや買い取り・中古販売店を手がけるゲオホールディングスは4月、横浜市にオフプライス店「ラック・ラック クリアランスマーケット」の1号店を出店しました。2号店も7月、大阪府八尾市に開店し、来年4月までに5店舗まで増やす予定です。

1000平方メートル規模の店内に100以上のブランドの商品約5万点が、定価の3~8割引きで並びます。小刻みに値下げして売れ残りを防ぎ、常に新鮮な品ぞろえになるよう、工夫しています。

運営会社の川辺雅之社長によると、開店前に心配していたのは「アパレルメーカーや化粧品会社が、在庫品を売ってくれるかどうか」でした。

アパレルメーカーはこれまで、「自分たちの知らないところで安売りされると、ブランドに傷がつく」と考え、売れ残りはまずセールで、ダメなら自社直営のアウトレット店で値引き販売し、それでも残った在庫は焼却や裁断などでゴミにして捨てることが普通でした。

実際に「ラックラック」を始めると、最初は取引を断るメーカーも少なくありませんでしたが、「あのブランドが取引に応じた」と業界に話が広まるにつれ、取引先が増えていったそうです。

ファストファッションの流行などで服の生産量は増える一方ですが、メルカリなどでの中古売買が定着し、新品の売れ行きは伸び悩んでいます。結果として、日本だけでも年間10億着近い売れ残りが生まれているとの見方もあります。

しかも、スウェーデンのH&Mや英バーバリーといった有名ブランドが在庫を焼却していたことが、海外では「資源の無駄使い」「地球に優しくない」と批判されるようになってきました。

こういったことが追い風となり、「仕入れのビジネスチャンスは十分。問題ありません。オフプライス店は、これからも伸びる業態だと思います」と、川辺社長は話します。

「覆面ブランド」で、お宝探し

とはいえ、「安売りすると思われたくない」と、オフプライス店を嫌がるブランドは少なくありません。そんなブランドを扱うのは、昨年10月からインターネット通販を始めた「リネーム」です。

ブランドのネームタグや洗濯表示を「リネーム」ブランドに付け替えて、おおむね半額以下で販売しています。運営会社の津田一志取締役によると、「ブランド名に左右されず、デザイン本位で掘り出し物が見つけられる」と、好評だそうです。

売れ残りというと、デザインに問題があったかのようにも思えますが、そうとは限りません。

「ブランドの個性からは少し外れていて、売れ行きが伸びなかったとしても、他のブランドから販売すれば、人気が出そうな商品はいくらでもある」ということに気づいたのが、リネームを始めたきっかけの一つだそうです。

人気商品でも、意外に多く売れ残り在庫が出ます。一部の色やサイズが売り切れになると、追加生産せず、店頭やネット通販から引き揚げてしまうブランドもあります。人気だからといって、シーズン半ばになってから追加生産しても間に合いません。また、店頭の陳列台やインターネット通販のおすすめ商品表示スペースには限りがあり、サイズが不足している人気商品よりも、別の新商品のアピールのために使った方が合理的だからです。

オフプライスストアが日本に定着するか、注目です。(読売新聞経済部 庄野和道)