傷んだ服をかわいく繕う刺しゅうやダーニング、どうやるの?

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着古して傷やシミのある服を自分好みに繕う手仕事が注目されている。色とりどりの糸で縫って補修する「ダーニング」や、刺しゅうを施す方法などがある。服の寿命を延ばすだけでなく、好みのデザインを加えることで特別な一着に生まれ変わる。

穴をふさぎつつ、好みのデザインを付加

ニットの穴の開いた部分を覆うように、縦糸を何本か通し、縦糸を1本おきにすくいながら、横糸を渡していく。平織りのような要領で繰り返すと、新しい小さな生地が出来て、穴が塞がる――。

先に通した縦糸を1本おきにすくって横糸を通すと、新しい生地で覆うように穴が塞がる

「ダーニング」は、服のダメージを補修する手仕事。穴や破れは塞ぎ、シミや変色した部分は隠す。英語でdarningとつづり、「ほころびをかがること」を意味する。ニットデザイナーの野口光さんは「繕った跡が分からないように直すのではなく、あえて目立たせる。魅力を足しながら、古いものを大切にする方法です」と話す。

野口さんは、イギリスで習得した技法を独自に磨き、書籍や教室で紹介している。糸がたくさんの点に見えるように縫ったり、両面に施してリバーシブルにしたり。どれも、味わい深く愛らしい。「見本があるわけではなく『これでいいかな』と思ったら完成。慣れていない方が面白く仕上がったりします」

東京都内で先月開かれたイベント「東京スピニングパーティー2019」では、野口さんが実物を展示。「カラフルですてき」「まるで芸術品ね」と人だかりができた。

ダーニングの糸に特に決まりはなく、素材によって異なる風合いが楽しめる。ルシアン(京都)によると、同社が3月に発売した刺し子用糸「hidamari」を使う人もいる。「デニムに合うよう企画された色や、1本に4色が入ったマルチカラーなどが人気です」と広報担当者。

専用の道具も増えつつある。クロバー(大阪)は昨年4月、ダーニング用の糸や、縫う時に布を当てるキノコ形の道具「ダーニングマッシュルーム」を発売。糸はニットのお直しにも使いやすいという。

刺しゅうでかわいらしく

刺しゅうを使えば、デザインの幅はいっそう広がる。服飾デザイナーの藤本裕美さんは、著書の「刺しゅうでお直し」(産業編集センター)で、着古したシャツやトートバッグなど、15のお直し例を紹介している。

藤本さんが刺しゅうしたリネンの部屋着。わきの破れを補修し、補強も兼ねて花模様をあしらった

襟が色落ちしたブラウスは、草花の模様を刺しゅうし、隙間をビーズで埋めた。カフス部分が破れたチェックのシャツは、トリコロールカラーでステッチを施した。傷の補修や生地の補強に加え、持ち主の雰囲気に合わせ、アクセントになるようデザインした。

藤本さんは以前、パタンナーとしてパリの有名ブランドのアトリエで働き、今は日本でオーダードレスなどを作る。

「服の作り手として、大切に長く着てほしいという思いがある。傷みがあっても捨てずにいる服は、着心地が良かったり、思い出があったりして、愛着があるはず。お直しすることで、新鮮な気持ちでまた楽しんでもらえたら」と話す。

(読売新聞生活部 大石由佳子)