クラス対抗リレー廃止も…広がる“時短”運動会に賛否

News&Column

写真はイメージです

秋は学校運動会のシーズン。最近は種目を絞って、午前中や午後の早い時間帯に終了する“時短”の運動会が増えているようです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」にも、「リレーのない運動会」と題する投稿がありました。保護者などからは、「見ていてつまらない」という意見がある一方で、「弁当要らずの時短化で、負担が減った」という声も聞かれます。なぜこんな動きが起こっているのか、専門家に聞いてみました。

トピ主「イカルド」さんの住む地域の小学校では、今年から全員参加型のリレーがなくなりました。応援合戦も廃止に。「なんだか見ていてもつまらないなというのが正直な感想です。運動でしか目立てない子や、リレーで足の速い子の舞台が奪われたのでは。みなさん、どう思われますか」と投げかけました。

足の速い子の舞台が奪われた?

この投稿には、70件を超える反響がありました。

「今日、子どもの小学校の運動会でした」と書いてきたのは、「たろすけ」さん。「熱中症対策で、学校は時短を求められています。クラス数・児童数の少ない同じ市内の学校では午前中で終了するところもあります」と言い、「イカルド」さんの学校と同じく、クラス対抗全員リレーはなくなったそうです。「入退場の時間を少なくするため、入場門以外から前の競技中に準備するなどの工夫をしていますし、昼食は、クーラーの効いた教室で体を休めつつ、となりました」とも報告しています。

危険な組み体操を廃止、熱中症対策も

北国の小学校に子供を通わせている「しん」さんからは「6年生の組み体操は危険なので段階的に廃止になり、5年生の借り物競走もなくなって、なぜか5、6年合同のダンスに。今年、天気の関係で種目を減らさずに、お弁当なしの運動会となりました」という書き込みがありました。「子供はお弁当がないことを残念がっていましたが、私はとても楽でした。席取りにもいかずに済んだし。あれでいけるなら、来年以降もお弁当なしでしょう」ともつづっています。

写真はイメージです

運動会といえば、かつては徒競走やリレーのほか、綱引き、騎馬戦、組み体操、ダンスなどさまざまな種目が用意され、午後3、4時ごろまで行われるのが一般的でした。しかし、様相が変わってきているようです。

運動が苦手な子には、つらい経験?

「私は運動がまるっきりできません。同級生からバカにされたり、さらし者になったりで、運動会は大嫌いでした」と書き込んだのは「じゅのん」さん。自分に似て運動が苦手な娘が、同じように運動会嫌いになるかと思いきや、そうではなかったそうです。

「娘がなぜ、嫌な思いをしなかったか?……それは昔のように一目瞭然りょうぜんじゃないからです。徒競走は、あらかじめ50メートル走のタイムが似た子を同じグループにして、大差がつかないように配慮しています。全員リレーも、自分で走る距離を選べます。走るのが苦手な子は短い距離を走ります。その他、応援団などで頑張るという手段もあります。反面、運動神経抜群の子は、徒競走や選抜リレーで張り切ることができるし、全員リレーも一番長い距離を選びます。今は昔と違って、そういった配慮があるから、どんな子も楽しめます」。学校側のきめ細かい指導を評価しているようです。

写真はイメージです

教育評論家の親野智可等さんに、“時短”の運動会が広がる背景について聞きました。

公立小学校で23年間教べんを取った経験のある親野さんは、「低学年から英語が教科になったり、アクティブ・ラーニングが導入されたり。教科書は分厚く、授業時間数は増える一方なのに、昔と同じように『行事に力を入れて』ということ自体に無理があります」と指摘します。

郷愁と子供の実態は別

「小学校の運動会というと、祖父母や親、きょうだいと弁当を囲んだことなどに郷愁を感じる人も多いでしょうが、だれのための運動会かと言えば、『子供のため』。何時間も時間をかけて入場行進を教え、見栄え良く振る舞わせるのが、本当に子供のためでしょうか。教育に求められるものとして、『ビジネスでもプライベートでも主体的に考え、斬新なアイデアを生み出せる人』を育てることが重視されていることも大きいですね」と話します。

子供たちの活躍や成長の場をどうサポートするか。それが学校側にも保護者側にも問われていることかもしれません。

(読売新聞メディア局編集部 永原香代子)

【紹介したトピ】

リレーのない運動会