「小1の壁」に悩む共働き家庭に、民間学童が人気のワケ

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東急キッズベースキャンプ提供

放課後の小学生を預かる学童保育の申し込み時期が近づいてきました。最近は企業が独自に運営する民間学童も増えています。料金が公設より高いものの、夜遅くまでの延長預かりや、オリジナルの体験・教育プログラムが人気です。

送迎に延長、夕食も

「ただいまー」。送迎車を降りた子供たちが、東急田園都市線二子玉川駅そばの学童保育「キッズベースキャンプKBC)」に入っていきます。キッズコーチと呼ばれるスタッフが「おかえり!」と、出迎えます。

東急グループの運営で、施設スタッフが子供たちを学校まで迎えに行きます。子供が施設に到着すると保護者にメールで到着の連絡が行くので、低学年でも安心です。広さが100平方㍍超で、児童数は40~50人。公立小学校の教室と、おおむね同じ「人口密度」です。

東急キッズベースキャンプ提供

まずは、宿題を済ませます。それから広い部屋で友達と遊びの時間。おやつを食べたら、イベントプログラムが始まります。知育・外遊び・社会科見学など、KBC独自の「楽しくてためになる」日替わりメニューです。この日は「世界一周スープ旅行」。外国料理を作って味わい、その国についての知識も学びました。

 最後にみんなで部屋の掃除をして、夜7時に終業です。保護者の迎えを待つ子も、KBCの送迎車で家に帰る子もいます。夜10時までの延長や夕食も頼めます。延長時間は本を読んだり、キッズコーチと遊んだり、持参の学習ドリルをしたりして過ごします。

 学童保育の預かり時間は、共働き家庭にとっては重要な問題です。一般に公設の学童保育は保育園より終了時間が早いことから、「小1の壁」とも言われ、保護者の大きな悩みになっています。

 そこをサポートしてくれると人気なのが、民間学童です。

民間学童は、施設の広さは公設と同じかそれ以上で送迎付き。スタッフの人数は児童10人あたり1人程度で、公設の倍の水準が主流です。夜も10時まで延長可能。さらに、運営事業者が知育や体育などの独自プログラムで違いをアピールします。

 ただその分、費用がかかります。公設は月5000~1万円がほとんどですが、民間だと5万円を超えることも少なくありません。

 鉄道会社が続々参入

業界の草分けが、私鉄大手・東急グループのKBCです。沿線に共働きの子育て家族を呼び込もうと、2008年から現在の体制で展開しています。現在は23施設。利用料金は、週5日で月4万~6万円程度です。沿線のイメージアップが大きな目的なので、利用しやすいよう料金を抑えている面もあるそうです。

阪急阪神グループも2015年から、「アフタースクールKippo(キッポ)」を関西で展開。ほかにも小田急電鉄や京浜急行電鉄など、鉄道会社の参入が相次いでいます。

公共イメージの強い鉄道会社への信頼感も、利用者からの人気の背景にあるようです。

 学習塾・語学スクール系も

学習塾や語学スクールなどが運営する学童保育も増えています。少子化が進む中、「お客さま」を小さい頃から囲い込もうという狙いです。

アフタースクールワイズ提供

 通信添削などでおなじみのZ会グループが運営する「アフタースクールワイズ」は、読み書き計算や英語、プログラミングなど、自社開発の知育プログラムが人気です。

低学年のうちは基礎学力や学習習慣をしっかり身につけさせ、学年が上がってきたらグループの受験塾「栄光ゼミナール」や「シェーン英会話」も紹介します。週5回の利用料で7万~8万円がめどで、現在は関東・東海地方に14教室を開いています。

「ECC外語学院」のECCグループも、関西を中心に「ECC学童スクール」を運営しています。こちらは充実した英会話プログラムがあり、関東にも本格展開する方針です。

 習い事もできちゃう

水泳、体操、習字にピアノなどの「習い事」ができる民間学童もあります。

ティップネス・キッズ アフタースクール提供

東京・神奈川の4か所で展開する「ティップネス・キッズ アフタースクール」は、スポーツクラブ大手ティップネスに併設され、その施設やスタッフを活用した体育プログラムが人気です。水泳やサッカーに体操教室、バレエにダンスなど、幅広く、ピアノや習字、工作教室などスポーツ以外のメニューもそろいます。

週5回利用すると8万~9万円程度になることもありますが、学習塾や学習塾系学童との掛け持ち利用も少なくないそうです。

 3歳から入会準備

ただ、人気の民間学童は申し込みが多く、簡単に入れるわけではありません。事業者が新規開設や増設をしようと思っても、交通の便が良く、十分な広さのあるテナントスペースを探すのは難しく、「簡単には増やせない」(関係者)といいます。

人気学童には「プレスクール」などと呼ばれる、幼児向けの体験会員制度があります。本会員の申し込みはプレ会員が優先されるので、子供が3歳になったらプレ会員に申し込んでおく保護者も少なくないそうです。

学童保育を選ぶときは、複数の施設を下見してから選びましょう。シックな内装で高級感を漂わせる民間学童もありますが、実際に放課後を過ごすのは大人でなく、騒ぎたい盛りの小学校低学年です。「親として通わせたいか、なにより本人も通いたいと思えるか。親子で実際の設備と雰囲気を、じっくり見学されるのがお勧めです」と施設関係者は話しています。

(読売新聞経済部 庄野和道)