国宝・重文級刀剣や甲冑…刀剣女子必見の「侍」展が福岡で開幕

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国宝や重文の刀剣や甲冑かっちゅうを集めた特別展「侍 ~もののふの美の系譜~ The Exhibition of SAMURAI」(読売新聞社など主催)が11月4日まで、福岡市博物館(福岡市)で開催されています。

この展覧会では、平安時代中期から桃山時代までの刀剣や甲冑が、実戦を通していかに進化をとげたかという視点から紹介するものです。昨年、京都国立博物館で開催された「京のかたな」展が、京都・山城系の刀匠の名品を中心にしていたのとは対照的に、「侍」展では、刀剣や甲冑を実戦の中で現在に残った「生きた道具」として扱っているのが特徴です。

単眼鏡で刀剣を鑑賞する来場者

全国各地の著名な博物館や神社などから約150点が出品されていて、「展示品の約6割が国宝や重要文化財です」と話すのは、同博物館「侍」展の担当学芸員の堀本一繁さんです。

オンラインゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」でもモチーフになっている刀剣も数多く含まれていることもあり、約1年前に展覧会の開催が発表された時には、ツイッターなどSNS上で話題になりました。開催を心待ちしていた審神者さにわ(ゲームプレーヤー)も多かったことでしょう。

初の里帰りを果たした大典太光世

展示品の中で、最も注目されているのは、国宝の「銘 光世作 名物 大典太おおてんた」です。この太刀は足利将軍家伝来で、日本刀の中でも特に名刀と言われた「天下五剣」の一振りに数えられています。

平安時代後期に、筑後国(福岡県)の刀工・三池典太光世によって作られたものですが、同じ時代の刀剣と異なり、先の方まで身幅が広く、腰反りが高い豪壮な姿をしています。「大典太光世は今回、九州初公開」(堀本さん)ということで、刀剣女子の間では、“大典太光世の初の里帰り”などと話題になっています。

この太刀は豊臣秀吉から加賀前田家に移り、同家において第一の宝刀として伝えられています。すさまじい切れ味を持つといわれる大典太光世は、病魔や物のを払ったとされているそう。「刀にはそれぞれの逸話があり、見る人が想像をふくらませていただけたら」と、堀本さん。

大典太光世を見た福岡市の女子大学生は、「迫力がすごくて、感動しています」と熱く語っていました。

国宝「刀 金象嵌銘 長谷部国重本阿(花押)/黒田筑前守(名物 圧切長谷部)」

「刀剣乱舞-ONLINE-」に登場している他の刀剣としては「五虎退ごこたい」「博多藤四郎」「骨喰ほねばみ藤四郎」「物吉ものよし貞宗」「江雪こうせつ左文字さもじ」「義元左文字」(10月6日まで展示)「圧切へしきり長谷部」が見られます。興味深かったのは、骨喰藤四郎の隣に、豊臣秀吉が豊後国の大名・大友義統から骨喰藤四郎を贈られたことに対する礼状が展示されていること。秀吉の喜んでいるさまが読み取れます。

新刀剣男士として9月24日にゲームに実装された打刀「桑名ごう」も今回、展示されているということで、さらに話題を呼んでいます。

展覧会とは別に、福岡市博物館所蔵でゲームにも実装されているやり「日本号」が、同館企画展示室で常設展示されています。審神者からは「いわゆる“黒田組”(黒田家に所有されていた圧切長谷部、博多藤四郎、日本号)が同じ屋根の下で展示されている!」と、興奮気味の声が聞かれます。

他にも、一文字派の「日光一文字」や「姫鶴一文字」などが著名な刀剣が並んで展示されている姿は壮観の一言です。

甲冑もスゴイ!

刀剣と共に展示されている甲冑も、時代の変遷と共に徐々に変化してきたのがわかりやすく展示されています。

たとえば、国宝の「小桜こざくらがわおどしよろい かぶと・大袖付」(10月6日まで展示)は平安時代後期(12世紀)のものですが、「馬に乗って矢を射ることに特化していて、重さは約20キロ」(堀本さん)なのだそう。

それが、16世紀になると、重量が半分以下のものも出てきました。たとえば、「豊臣秀吉が伊達政宗に贈った『ぎん伊予いよざね白糸しろいと素懸すがけおどし胴丸どうまる具足ぐそく』(10月16日から展示)は9キロもないんです」と、堀本さんは解説します。

(左上から時計回り)展示されている戦国時代の兜、黒田一成が関ヶ原の戦いで身に着けた「銀大中刳大盔旗脇立頭形兜」、徳川家康の南蛮趣味を示す「南蛮胴具足」

軽くなった甲冑と共に、個性が出てきたのはかぶとで、特に最後の方に展示されている“変わり兜”は興味深いものです。黒田家の重臣・黒田一成が関ヶ原の戦いで身に着けた「ぎん大中刳おおなかぐり大盔旗おおたてもの脇立わきだて頭形ずなりかぶと」は、円をくりぬいたようなフォルムの銀飾りが付いています。「戦場で目立ちすぎて、よく大砲で狙われた」(堀本さん)ということですが、今見てもあまりにも斬新なデザインで驚きます。

展覧会には最近かかせないものとなっている音声ガイド。今回のナビゲーターは、ゲーム内で日本号役を演じている声優の津田健次郎さんが担当しています。「借りない理由がない」「日本号推し審神者がショック死するのではないかと思うほどの破壊力」など絶賛されています。

大阪市から来た30代の女性は「展覧会に来てよかったです。非常に満足しました」とコメント。堀本さんは「ぜいたくな内容となっているので、ぜひ見てほしい」と話しています。

展覧会初日の撮影会に登場した「刀剣乱舞-ONLINE-」原作プロデューサー  でじたろう氏(右)、「刀剣乱舞-ONLINE-」宣伝隊長の「おっきい こんのすけ」(中央)と福岡おもてなし武将隊

 

ゲームとのコラボ企画も

ゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」とのコラボ企画として、博物館1階グランドホールに刀剣男士の等身大パネルが展示されています。9月28日からは新刀剣男士の桑名江も追加されて、計10体となりました。このうち6振り(大典太光世、江雪左文字、宗三左文字、博多藤四郎、骨喰藤四郎、物吉貞宗)に関しては、展覧会を記念した新規イラストも同時に展示されています。

(左から時計回り)大典太光世、博多藤四郎、五虎退

グッズ売り場も大盛況。“予想を超えた”人気を博しているのは「侍」展オリジナルメジャー圧切長谷部(税抜き1200円)のようです。公式のツイッターグッズアカウント(@SAMURAI2019shop)を事前にチェックしておくことをおすすめします。

審神者のみなさんは、展覧会の後、近隣にある福岡タワーに向かってはいかがでしょうか。「刀剣乱舞-ONLINE-」のコラボ企画として、「侍」展にパネル展示されている9振りの刀剣男士が展望室の窓に等身大シートとなって展示されています(11月4日まで)。「侍」展のチケットの半券を提示すると、特別割引料金で福岡タワーの入場券が購入できます。

プチ情報ですが、地下鉄祇園駅近くにある櫛田神社内にある博多歴史館に、前出の刀工・三池典太光世の刀「光世」が展示されていますので、訪れてみてはいかがでしょうか。

(取材/メディア局編集部 杉山智代乃、写真/安藤光里)

「特別展 侍 ~もののふの美の系譜~ The Exhibition of SAMURAI」
福岡市博物館(福岡市早良区)で11月4日まで。月曜休館(月曜が祝休日の場合は翌平日)。展覧会公式ホームページはhttps://samurai2019.jp/です。

関連情報

よみうりカルチャー北千住では、1012日(土)に「侍」展の夜間貸切講座を開催します。15時30分、受け付け開始。17時20分までは常設展や日本号が展示されている企画展示室を鑑賞でき、学芸員の事前レクチャーのあと18時から20時まで、侍展を貸し切りで鑑賞できます。詳細はこちらをチェック!

刀剣関連では、同センターで刀剣マスター末兼俊彦の日本刀講座1.2.3. 」も 開催されます。去年11月に行われた「京のかたな」展の大手小町ナイトでも、ユーモアを交えたトークで聴衆を魅了した京都国立博物館主任研究員・末兼俊彦さんが1012日、119日、1214日(いずれも土曜)の3回にわたって日本刀が文化史や美術史の上でどのような役割を果たしてきたのかを解説します。詳細はこちら