タイでも「タピオカ」が大人気! 過熱に潜むリスクとは!?

News & Colum・・・

タイの女性らの人気を集めるタイガーシュガー

日本で空前のブームが起きている「タピオカ」入りドリンクは、タイでも大人気です。専門店が続々とオープンし、タピオカの丸っこい形が「SNS映え」すると、行列もできています。流行を追いかけて、バンコク中心部にある様々なタピオカ店を訪れてみました。

「タイガーシュガー」に行列

9月下旬の日曜午後、「バンコクの原宿」ともいわれるサイアムスクエアでは、8月にオープンしたばかりの台湾発の専門店「TIGER SUGAR(タイガーシュガー)」に、長い行列ができていました。この店の定番商品は、1杯120バーツ(約420円)の黒糖タピオカミルク(Brown Sugar Boba Milk with Cream Mousse)です。50バーツでご飯とおかずの食事ができるタイでは、比較的高めの値段といえます

約40人が並ぶ列の最後尾に回り、待つこと約15分。注文後、手渡されたドリンクは上部がぴったりと密閉され、「虎」という漢字のロゴが入ったプラスチック容器に入っていました。黒蜜が牛乳やタピオカとまだらに混ざり合って、確かにトラの毛皮模様のように見えます。

ドリンクを受け取ると、まずはスマホで撮影

見渡すと、ドリンクを受け取った人たちはまず、店のロゴや自分がドリンクと一緒に収まるよう、スマートフォンで撮影してから、ストローを差していました。週2回はタピオカ入りドリンクを飲むという会社員タナンパット・チャンスワンさん(31)は、「牛乳がとてもなめらか。タピオカも弾力があり、おいしい」と気に入った様子でした。

人気は過熱、タイ発の店舗も

タピオカ入りドリンクは台湾が発祥ですが、タイでは今回、日本にやや先駆けて流行に火が付きました。タピオカの主な原料であるキャッサバが元々、タイで広く生産されてきた作物で、入手しやすかったことなどが背景にあるとみられます。キャッサバから取れたでんぷんを水で溶かして加熱し、粒状に固めたものがタピオカです。

ちなみに、タイでは「タピオカ」と言ってもあまり通じません。タピオカはタイ語で「カイムック(真珠)」といいますが、外国人の場合は、英語で「バブル(Bubble)」あるいは「ボバ(Boba)」と言った方が通じやすいようです。

サイアムスクエアにはタイガーシュガーの他にも、数多くの専門店が進出していました。

トラのモチーフやピンク色の内装が「SNS映え」しそうなファイアータイガーの店内

路面店を構える「FIRE TIGER BY SEOULCIAL CLUB(ファイヤータイガー)」は、トラのモチーフやピンク色に統一された内装が、まさに「SNS映え」を意識した造り。ミルクティー(Fire Tiger Milk Tea、150バーツ=約520円)には、タピオカだけでなくゼリーも入っていて、異なる2種類の食感が楽しめました。

「KOI The」のタピオカミルクティー

ほかにも、台湾発の「THE ALLEY(ジアレイ)」や「KOI The(コイティー)」、タイ発なのに日本語のような店名の「Ochaya(オチャヤ)」、「KAMUかむ」なども人気を集めていました。

日本語が店名に使われている「KAMUかむ」

いまや、一般の飲食店も顧客獲得のため、タピオカ入りドリンクをメニューに取りそろえています。サイアムスクエアでは数メートルごとに、タピオカ入りドリンクの看板や専門店が立ち並び、ブームの過熱ぶりがうかがえました。

甘党のタイ人、糖質過剰で健康に影響?!

 一方で、タイのNGO「消費者のための財団」は7月、市場に出回っているタピオカ入りドリンクの多くが糖質過剰であるとして、警告を出しました。国内でタピオカ入りドリンクを販売する25店舗から一定の基準の下、サンプルを集めたところ、23店舗で世界保健機関(WHO)が推奨する1日当たりの砂糖の摂取量を上回っていたということです。この財団は、糖質の過剰摂取が健康に悪影響を及ぼすとして懸念を示しています。

一般的に、タイ人は日本人より甘党です。タイ料理には調味料として砂糖が添えられていることが多く、パッタイやクイッティアオといった麺料理に足して食べる人をよく見かけます。コーヒーや紅茶も最初から加糖されていることが多く、そのまま飲みたい場合は、わざわざ「砂糖を入れないで」と伝えなければなりません。

記者は今回、7店舗でタピオカ入りドリンクを試してみました。多くの店で甘さが調節できるようになっていましたが、「一番人気のものを」と頼んだため、タイ人好みの甘さで提供されたと思います。いずれもおいしかったですが、「非常に甘い」とも感じました。

また、タピオカは高カロリーも指摘されています。糖質以外の栄養素はほとんど含まれていないため、食事代わりにするのは難しそうです。

タピオカ料理もはやるかも

とはいえ、最近はタピオカを使った料理も注目を集めています。

タピオカ入りトムヤムヌードルを注文した学生グループ。食べる前にスマホで撮影
タピオカ入りトムヤムヌードル

バンコク北部のディンデン地区にある屋台は、「タピオカ入りトムヤムヌードル」(45バーツ=約160円)で知られ、タイの有名女優がユーチューブで紹介したこともあり、大勢の客でにぎわっています。ある学生グループは注文の品が運ばれてくると、歓声を上げ、一斉にスマホをかざしていました。撮影後、「ドリンクに入っているタピオカと違って、すごく柔らかい。おいしいです」と味わっていました。

バンコク中心部のサトーン地区にあり、ミシュランガイド本で料理が紹介されたことがある老舗食堂「ペーンポーチャナー」では、「タピオカいため」(60バーツ=約210円)の人気が急上昇中だそうです。店を切り盛りするナワラット・サーヘーンさん(32)によると、実は10年以上前からあるメニュー。「最近になって注文が急増し、多い日で40皿は出ます」と教えてくれました。

人気急上昇中という「タピオカ炒め」をおすすめするナワラットさん(9月6日、タイ・バンコクで)∥大重真弓撮影

出来たての熱々をいただくと、タピオカのモチモチとした食感が、炒めた肉や野菜、卵と絶妙にマッチしていました。ナワラットさんは、「日本人の口にも合うと思います。一風変わったタピオカの楽しみ方をぜひ試してみて」と話していました。

英字紙バンコク・ポストによると、少なくともあと3店のタピオカ入りドリンク専門店がタイ進出を検討しているとのこと。タイでの流行はまだまだ続きそうです。
(読売新聞バンコク支局特派員 大重真弓、写真も)