パンダになった気分…竹で作った和菓子を食べる意味とは?

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パンダになった気分でモグモグ――。めったに口にすることのない、竹を食材にした和菓子を試食するイベント「地球料理 -Earth Cuisine-」がこのほど、東京都江東区の都現代美術館で開かれました。竹を食べることで、「放置竹林」の問題に気づいてもらおうという取り組みです。

不動産情報サービス大手「LIFULL(ライフル)」(東京都千代田区)が主催。まだ光の当たっていない新たな食材を見つけ、食の新たな可能性を探るプロジェクトで、この日は、フレンチシェフの薬師神陸やくしじんりくさんと和菓子作家の坂本紫穂さんが腕を振るいました。

薬師神さん

竹は、建材や工芸品、燃料炭をはじめ、様々な用途がある身近な資源です。しかし、林野庁によると、プラスチックなど代替材の普及や安い輸入品の増加で需要が減り、生産者の高齢化、後継者不足で生産量も減っています。ところが、竹林の面積は拡大傾向にあり、その多くが放置されています。竹は成長が早く、繁殖力が強いため、生態系に悪影響を与えます。また、地表から30センチ程度の浅い場所に根を張るため、大雨などで地滑りや土砂崩れを招く危険があります。

こうした「竹害」の現状に目を向けてもらうため、放置竹林の竹を「食べる」という新たなアプローチで問題提起をしたのが、今回のイベント。薬師神さんと坂本さんが、「BAMBOO SWEETS  –竹害から生まれた和菓子」計8品を披露しました。

薬師神さんは、「風」をテーマに4種類の和菓子を創作。「放置竹林に新たな風を吹かせたい」との思いを込めました。

フレンチシェフの薬師神さんが手がけた和菓子(左から)「竹のササート」「竹団子 白餡ショコラとともに」「葛豆腐 竹炭仕立て」「竹香る和ナンシェ」

【1】笹の葉をライムと合わせ、さっぱりとしたモヒート風にアレンジした「竹のササート」

【2】素朴な手亡豆てぼうまめの白あんに寄り添うチョコレートを竹で包んだ「竹団子 白餡しろあんショコラとともに」

【3】なめらかな葛豆腐にゴマと竹炭を加え、優しい甘みの京都・山利商店の白味噌のソースをかけた「葛豆腐 竹炭仕立て」

【4】どら焼きとフィナンシェの生地をあわせ、竹の幹そのものを入れた「竹香る和ナンシェ」

自ら竹の生産現場に足を運んだという薬師神さんは「これまで扱ったことのない素材で苦労しましたが、竹を食べることで竹林の問題に目を向けてもらいたい」と話していました。

試食する来場者と話す坂本さん(右)

一方、坂本さんは「なぎ」をテーマにイメージを膨らませ、竹害の問題を和菓子で表現したそうです。

【1】竹のしなやかな強さと、竹による害を竹炭の漆黒に込めた「黒羊羹ようかん 竹砂糖添え」

【2】竹から生まれた竹水に和三盆のやわらかな甘みを加えたドリンク「竹しずく」

【3】空に向かってまっすぐ伸びる竹を、寒梅粉で形づくった「青竹の落雁らくがん

【4】こっくりと風味豊かな大和いもで作った「白きんとん 竹包み」

和菓子作家の坂本さんが作った和菓子(左から)「黒羊羹 竹砂糖添え」「竹しずく」「青竹の落雁」「白きんとん 竹包み」

試食をした来場者は「抹茶のような風味がする」「竹の香りが爽やか」などと感想を語っていました。20代の女性会社員は「竹がこんなにおいしいなんて。パンダが好むのも分かります」と笑顔で話していました。

今回お披露目された「BAMBOO SWEETS」は、東京・麹町にある飲食店「LIFULL Table」で近々販売される予定です。