キンプリ 岸、神宮寺が熱演、KinKi 光一が指導した新生「ドリームボーイズ」

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会見の様子。左から紫吹淳さん、岩崎大昇さん(ジャニーズJr.「美 少年」)、神宮寺勇太さん、岸優太さん、髙橋優斗さん(ジャニーズJr.「HiHi Jets」)、鳳蘭さん

ジャニーズの人気タレントによって受け継がれてきた舞台「DREAM BOYS(ドリームボーイズ)」(作・構成・演出・ジャニー喜多川)が、東京・帝国劇場で行われています(9月27日まで上演、チケットは完売)。今年はKing & Princeの岸優太さんが主演に抜てきされ、神宮寺勇太さんがライバル役として出演。KinKi Kidsの堂本光一さんが助っ人として演技を指導するなど、話題を集めています。Wユウタとして知られる岸さんと神宮寺さんの熱演、光一さんの助言によって新たな輝きを放つ舞台の魅力を紹介します。

ファンの間で「ドリボ」の愛称で親しまれる同作品は、2004年1月が初演。ボクシングを通して、若者たちの友情や夢、挫折などを描く作品です。これまで滝沢秀明さん、亀梨和也さん、玉森裕太さんらジャニーズの人気タレントが主演を務め、内容を一新しながら、上演を重ねてきました。

岸さんの役どころは、高い実力を持ちながらボクシングを諦めた「ユウタ」。神宮寺さんはユウタの親友で、伝説のチャンピオンとなったボクサーの「ジン」を演じます。ある時、ジンの半生をモデルにした映画を制作することになり、ユウタが主演に選ばれますが、背景には大人たちの思惑が……。大人にほんろうされ、時に対立しながらも、ユウタやジンたちは互いの理解を深めていきます。

光一さんの指導に称賛

今回は、光一さんが、滝沢さんとタッグを組んで指導に加わると、会員向け有料サイトなど で表明しました。光一さんは2000年から続く主演舞台「Endless SHOCK」で演出、脚本、音楽などを手掛け、豪華で完成度の高い同舞台は、ジャニーズファン以外からも定評があります。そんな光一さんによってドリボがどう進化するか、楽しみにしていました。

そして、迎えた公開稽古。「さすが光一くん!」。終演後、集まった記者たちからはそんな声が聞こえてきました。記者自身も、ドリボを観劇して初めて涙してしまいました。
それは、まずストーリーが洗練され、起承転結が明確になったことに起因していると考えます。これまでのドリボは、フィクションとはいえ話が急展開し、正直「どうしてこうなってしまったの?」と見ている側が立ち止まってしまう箇所がありました。

しかし、今回は登場人物の思いや立ち位置がわかる演出が増え、観客がストーリーに引き込まれるよううまく組み立てられています。おそらく、演者にとってもより役に入り込めるようになったことでしょう。

例えば、頭蓋骨の異常に人知れず苦しむジン。1幕の中盤、苦悩に満ちた表情で髪を乱しながらダンサーと踊るミュージカル調のシーンは、ジンの症状の深刻さが表現されています。さりげない会話の中で登場した過去のエピソードなどが終盤で回収される点も見事で、ストーリー性に細部までこだわったことがうかがえました。

光一さんが携わってきたSHOCKも芝居を重視し、改良を重ねながら登場人物の葛藤や悲しみなどを奥深く描いています。だからこそ劇中のフライング、群舞、歌が意味のあるものとして引き立ち、観客を魅了します。光一さんの舞台愛や職人気質が、ドリボをより上質なものにパワーアップさせたのだと思います。

歌、芝居、アクション……Wユウタの力演

Wユウタの熱演も光ります。King & Princeといえば王子様、キラキラ、中性的というイメージ。しかし、2人には舞台を引っ張っていく重みがあり、安定した歌唱力、繊細な表情、激しいアクションといった引き出しも持っていたことに驚かされました。

King & Princeは8月下旬にシングルをリリースするなど、多忙なスケジュールだったことでしょう。共演するジャニーズJr.もドラマ出演やコンサートが続き、光一さんは稽古時間があまり確保できないことを会員向け有料サイト で明かしていました。老婆心ながらドリボの仕上がりを案じていましたが、オープニングでWユウタの伸びやかな歌声を耳にした瞬間、いい意味で裏切られました。

主演の岸さんは、持ち前の純粋さが、重病の弟を助けようと奔走する優しいユウタ役にハマっていました。体当たりの演技が、ユウタのいちずさにより深みを与えています。

以前、岸さんにインタビューした際、尊敬する先輩として光一さんを挙げていました。岸さんは2013~15年、SHOCKで光一さんと共演。「舞台に立つ上で必要なことは全て光一くんから教わった」と話していました。その光一さんが指導してくれたドリボですから、並々ならぬ気合で臨んでいることは容易に想像できます。

そしておそらく、岸さんは役に入り込みやすいタイプなのでしょう。SHOCK出演時、17、18歳だった岸さんは、クライマックスにかけて泣きっぱなし。共演する先輩に肩をたたかれ、フィナーレで涙を流しながら懸命に歌う様子は、10代特有の輝きを放つと同時に、かわいらしくもありました。それが今では帝劇のセンターに! 最後、客席に向かって誰よりも長く深々とお辞儀をする姿を見て、昨年デビューして人気を博しながらも謙虚さが変わっていないことに安堵する一方、成長を感じて感慨深い気持ちにもなりました。岸さんの実直さ、光一さんへのリスペクトがよい化学反応を起こしていました。

神宮寺さんも丁寧に役作りをし、風格あるチャンピオンを作り上げていました。会場を包み込むように優しく歌う岸さんに対して、神宮寺さんの歌声は鋭さ、重厚感があり、寡黙で孤高なチャンピオン役にぴったり。ユウタとジンが2年ぶりにボクシングの試合をすることになったシーンで、神宮寺さんがドリボの定番曲「Fight Man」をアカペラで歌い始めます。その力強くダイナミックな歌声は、間違いなく劇場を支配していました。

表情の豊かさも絶妙でした。ユウタと対立していた前半は、ユウタに険しいまなざしを向けていましたが、友情が深まる後半では柔和な表情に。歌声や表情が説得力を持って、観客に伝わってきました。

ジャニーさんの魂 継承

今回のドリボは「新しいものにしたい」とジャニー喜多川さんが構想を練っていたものです。しかし、ジャニーさんは幕が上がるのを見届けることなく、7月に亡くなりました。

劇中、ジンは亡くなりますが、心臓をユウタの弟・ユウトに移植し、ジンの魂は生き続けます。ジンは「いい仲間と過ごした人生、最高だった」と高らかに言い、旅立ちます。ユウタは「ジンは天国にいるけど、俺たちの心の中で生き続けるんだ。これからはジンの思い出と一緒に生きよう」と仲間を鼓舞します。

公開稽古後の会見で、岸さんは「(天国のジャニーさんから)『いいな』という声をいただけるようなパフォーマンスをしたいと思って、登場から胸を張ってステージに立ちました」と語っていました。神宮寺さんも「ジャニーさんは帝国劇場が大好きだったので、見に来てくれていると信じて、頑張りたい」と意気込んでいました。

今回のドリボは、光一さんらによる手直しが加わったものの、ジャニーさんが構築した華やかな歌や踊り、怒涛どとうの場面展開といった要素は継承されています。ジンが亡くなり、心臓を移植するシーンは、今も作品や演者の中に息づく「ジャニーさんイズム」と重なり、特に象徴的なものとして刻まれました。

会見で、岸さんは「何としてでもやり遂げたいし、千秋楽に『最高だったね』って言える舞台にしたいと思っています」と話していました。その決意や情熱が今作での好演につながり、先日、光一さんも自身のラジオ番組でWユウタを絶賛していました。次世代を背負っていくのは自分たちだという気迫や覚悟を感じ、すがすがしい気持ちで帝劇をあとにしました。

(読売新聞東京本社 山村翠)

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