頭痛持ち、薬をやめたら痛みがひいた…そんなことってある?

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慢性的な頭痛に悩まされている、いわゆる「頭痛持ち」は、全国に約3000万人もいると言われています。痛みに襲われた時には頭痛薬が役立ちますが、読売新聞の掲示板「発言小町」には「頭痛薬を飲まなくても平気になりました」という投稿が寄せられました。頭痛持ちで2日に1度くらいの頻度で薬を飲んできた女性が、思い切って薬をやめてみたら、痛みが出てもしばらくすると自然にひくようになってきたという内容です。なぜ、そんなことが起きるのか。専門家に聞いてみました。

トピ主の「まる」さんは、フルタイムで働く55歳の女性。子供のころから頭痛に悩まされてきましたが、CTやMRIなどで脳を調べても異常なし。眼鏡が合わないせいかもしれないと思い、眼鏡を何回も作り替えたこともありました。

頭痛薬を飲み続けているうちに効かなくなった

主治医に「あなたは頭痛持ちなんだから、痛くなったら頭痛薬を飲みなさい」と言われたことから、2日に1度くらいの頻度で、多い時は1日に2回ほど頭痛薬を飲んできました。ところがこの夏、体調を崩してひどい頭痛が続いた時に、いつものように薬を続けて飲んだのに、全く効かなくなっていました。

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そこで、思い切ってこの頭痛薬を飲むのをやめてみたら、痛みが数時間続くことはあるものの、その日のうちには痛みがひくことを実感したそうです。「まる」さんは「なんだか信じられない、うれしい驚きです。私の頭痛ってどういう種類だったんでしょうか?」と発言小町に問いかけました。

「まる」さんの疑問に答えるべく、富士通クリニック(川崎市)と東京クリニック(東京都千代田区)で頭痛外来を担当する北里大学客員教授の五十嵐久佳さんに話を聞きました。

「もともと片頭痛や緊張型頭痛をもっていた方が、痛みが起きたときに使う薬(急性期治療薬)を月に10日以上飲んでいる状態が3か月以上続くと、痛みの閾値いきち(痛みを感じ出す境目となる値)が低下して、脳や神経が少しの刺激でも痛みを感じやすくなり、かえって頭痛が増えてしまうことがあります」と五十嵐さんは話します。

急性期治療薬を月に10日以上使うケースは要注意

こうした頭痛は「薬物の使用過多による頭痛」(通称は「薬物乱用頭痛」)と呼ばれ、もともと片頭痛や緊張型頭痛を持っている人が、市販の鎮痛薬や医師から処方される鎮痛薬や片頭痛の治療薬であるトリプタンを多用した場合などに起きます。鎮痛薬やトリプタンは、月3~4日程度ならほとんど問題はありませんが、あまり薬を飲みすぎると、かえって頭痛を増やしてしまうことがあります。「薬物の使用過多による頭痛」は、もともと頭痛持ちの人がなる症状なので、薬をやめたからといって症状がすべてなくなるわけではありませんが、かなりの割合で改善されるそうです。

「もともとの頭痛を複雑化させてしまった原因を取り除くことが大事ですね。『薬剤の使用過多による頭痛』は市販薬を使いすぎている場合が最も多いです。頭痛で医療機関を訪れるかどうか、受診率を調べると約30%だったという調査もあります。女性の場合、月経痛の一部と思い込んでいるケースや、頭痛持ちだった母親の姿を見て育ったので、薬で抑えられるなら特に受診する必要はないと思っている人もいますね」と五十嵐さんは話します。

「頭痛ダイアリーを付けることがまず第一歩です」と話す五十嵐久佳医師(東京・大手町の東京クリニックで)

セルフチェックで予防も可能

次のような症状に当てはまる場合は、「薬物の使用過多による頭痛」である可能性が高いそうです。

・月に15日以上頭痛がある

・急性期治療薬を10日以上飲んでいる

・朝起きた時から頭痛がする

・急性期治療薬を飲んでもまた頭痛が起こる

・痛みの程度や性質、痛む場所が変化することがある

・以前は月に数回、片頭痛が起こっていた

などです。

毎日「頭痛ダイアリー」を付ける効果

「薬物の使用過多による頭痛」ではないかと疑う人に、五十嵐さんは、これまで使ってきた薬をやめるほかに、日本頭痛学会のホームページでダウンロードできる「頭痛ダイアリー」の活用を勧めます。

「頭痛ダイアリー」には、頭痛のタイプや前触れ、吐き気の有無、誘因、痛みの程度、飲んだ薬などが簡単に書き込めるようになっていて、4週間単位で推移がわかるようになっています。これに記入したうえで頭痛外来を訪れれば、頭痛のタイプやこれまで服用してきた薬が本当に合ったものだったのかなど、情報を共有しながら医師に相談することもできます。

「一口に頭痛といっても、どのタイプかによって対処は違ってきます。薬の効きがあまりよくないのに頭痛薬を使い続けていたり、頭痛薬の使用が習慣化していたりする方は、悪循環が始まっている可能性があるので、ぜひ専門医を受診してほしい」と五十嵐さんは強調します。

専門医を受診すれば、症状に合わせて予防薬を処方することもできます。予防薬は穏やかに効果を発揮するタイプが多く、通常2か月程度は継続して服薬する必要があるそうです。

医療機関にかかるのはまだちょっと抵抗があるという人でも、「いよいよ」という時のために、「頭痛ダイアリー」を活用して日頃から症状を記録しておいた方がよさそうです。

(読売新聞メディア局編集部 永原香代子)

【紹介したトピ】

頭痛薬を飲まなくても平気になりました

【お役立ち情報】

▽日本頭痛学会 頭痛ダイアリーで頭痛を攻略