ジャニーさんお別れ会 嵐やKinKi Kidsらタレントの結束、ファンの感謝

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7月に87歳で世を去ったジャニーズ事務所社長、ジャニー喜多川さんのお別れ会が9月4日、東京ドームで行われました。ジャニーズの取材に携わってきた記者にも、お別れ会の招待状が届き、参列してきました。

愛用品、イラスト並ぶ祭壇

4日午前11時から行われた「関係者の部」。東京ドームのグラウンドには椅子が並べられ、正面にはジャニーさんの写真、愛用の服、ジャニーさんと所属タレントを描いたイラストなどが置かれた祭壇が設置されていました。数年前のジャニーさんの誕生日会でタレントが贈ったというイラストには、元SMAPの5人や元関ジャニ∞の渋谷すばるさんらの姿もあり、式典前から胸が熱くなります。

同時に、ジャニーさんとのささやかな思い出に思いをはせます。言葉を交わしたのは、数年前に記者が執筆したジャニーズの舞台記事について、「いやあ、良かったですよ。(あなたの)ファンになっちゃいましたよ」と褒めてくださった時です。なんともチャーミングな表現、そして楽屋にその記事が置いてあったことは、今でも記者の支えになっています。舞台に出演する若手タレントに話が及ぶと、「公演を重ねるごとに上達する。彼らからパワーをもらうばかりですよ」と、うれしそうに目を細めていた姿が印象的でした。

ジャニーズらしさ全面に

式典は、冒頭で嵐やKAT-TUNなどの迫力あるコンサートや舞台の映像が次々に流れ、お別れ会とはいえ、ジャニーズらしい華やかなスタート。その後、数年前に開かれたジャニーさんの誕生日会での貴重な映像が初公開されました。近藤真彦さん、中居正広さん、二宮和也さん、Hey!Say!JUMPのメンバーなど大勢の所属タレントに囲まれたジャニーさんが、「人生の中で今日は一番楽しい。ありがとうございました」と感謝を伝えます。タレントたちが「ハッピーバースデー、ジャニーさん」と大合唱すると、ジャニーさんはちょっぴり恥ずかしそうに笑みを浮かべていました。

次に東山紀之さんのナレーションにのせて、ジャニーさんがKing & Prince、Sexy Zoneといった所属タレントと楽屋などで撮った秘蔵ショットが映し出されました。東山さんは「その生涯を通じ、ジャニーズに命をかけた男の物語。今その第一幕が幕を下ろしました。これからはジャニーさんの思いを胸に、ジャニーズ事務所のタレント、スタッフ一丸となって、ジャニーさんが思い描いた世界の続きを第二幕としてお見せしていきたいと思います。ジャニーさん、ありがとう!」と決意を述べました。

そして、ジャニーズJr.も含めた所属タレントが「ジャニーさん、ありがとう」と代わる代わる述べ、ジャニーズ事務所の結束や絆を感じるメッセージVTRが続きます。
それが終わると……、パーン!! 「Thank You & Forever Johnny」と書かれた銀テープが客席に勢いよく放たれました。銀テープは、ジャニーズコンサートでの定番演出。どこまでもジャニーズらしさを貫いたお別れ会です。

元ジャニーズも参列

VTR後は、所属タレント約150人が祭壇の前にずらりと並び、事務所の長男的役割を担ってきた近藤真彦さんが代表であいさつ。近藤さんは、ジャニーさんの病室で普段あまり関わりのなかったタレントたちが交流を深め、回復を祈りながら千羽鶴を折ったことを明かしました。近藤さんは「ジャニーさん、ジャニーさんの大好きな野球、球場です。まさか自分のお別れ会をやるとは思ってなかったでしょうね。ジャニーさんらしく、SHOW MUST GO ON、笑顔で送ってあげてください」と語りました。

引き続き、近藤さんは「ジャニーさんはショービジネスの世界に新風を吹き込み、エンターテインメントの新たな可能性を追い求めてきた。東京五輪、大阪万博など日本全体が大きく盛り上がっていくこの時代に、ジャニーさんを失ったことは残念でならない」という安倍首相からの弔電を代読。所属タレント、縁のある著名人らが白いコチョウランを献花し、最後の別れを告げました。その中には、郷ひろみさん、元タッキー&翼の今井翼さん、元NEWSで今は「ONE OK ROCK」のメンバーとして活躍するTAKA(森内貴寛)さん、元KAT-TUNの田中聖さんら、かつて事務所に所属していた人たちの姿もありました。

献花の後は、次期社長とされる姪の藤島ジュリー景子さん、東山紀之さん、TOKIO、嵐、KinKi Kidsらが並んで参列者をお見送り。一枚岩となってジャニーさんの意志を引き継ぐという決意を感じました。

「香典返し」は貴重な記念本

退場時には、参列者にお礼状と記念本が配布されました。表紙に「Thank You & Forever Johnny」と書かれた白い記念本は、A5判で厚さ1.5センチほど。めくると、SMAPの「Spring SMAP ‘92」、嵐の「嵐 FIRST CONCERT 2000」、関ジャニ∞の「関ジャニ∞ X’mas パーティー 2004」……、ジャニーさんが手掛けたコンサート、舞台の写真が満載です。ジャニーさんの幼少期や青年時代、メリー喜多川副社長と稽古を見守る姿など、貴重なプライベートショットも多数ありました。

その中で、最も目をひいたのは、誕生日会の集合写真です。ジャニーさんを囲み、近藤真彦さん、中居正広さん、嵐、Hey!Say!JUMPなど50人ほどの所属タレントがピースサインで写っています。全員がとびきりの笑顔を見せる写真に「ああ、やっぱりジャニーズっていいな」と胸が熱くなり、しばし写真から目が離せなくなりました。同時に、アイドルである以前に、人として所属タレントに接してきたジャニーさんの人柄も伝わってきました。

何となくしんみりしながら最終ページをめくると、そこに載っていたのはジャニーさんがタレントらにかけた言葉が書かれたパネルの写真でした。「もしもし、You誰?」「君はマネージャーではなくだめージャー」。思わずクスッっとしてしまう、おもしろ名言の数々を散りばめた粋な締めくくり。明るく楽しいことが好きだったというジャニーさんらしさがあふれていました。

喪服のファンであふれる東京ドーム

4日午後2時からは、招待状がなくても参列できる「一般の部」が執り行われました。東京ドームでのお別れ会自体が異例なことですが、周辺は黒や紺の服に身を包んだ人であふれ、全く見たことのない光景でした。

シニア、社会人、学生、小学生ぐらいの子ども、カップル、親子連れ……。実に様々な人が、そこに集っていました。たのきんトリオ、光GENJIなどが活躍していた1980年代はティーンが支え、アイドルの絶頂期も短かった。しかし、90年代半ば頃からSMAPがバラエティー番組で成功を収めたことなどを機に、アイドルの寿命は伸び、大人ファンや男性ファンも増えていきました。参列したファンの多様性は、そうしたジャニーズの発展を体現していました。

「恋人」のお父さんのお別れ会

東京ドームにいたファンに、参列した理由などを聞いてみました。黒いスーツとネクタイをまとった30代の男性は、「就職活動がちょっとうまくいかなかった時、嵐の楽曲に勇気づけられた」。Kis-My-Ft2のファンという20代の女性は、「親には『ジャニーさんに会ったこともないのに、なぜお別れ会に?』って不思議がられたけど、『恋人』のお父さんのお別れ会に行くような感覚です」。娘と2人で足を運んだ50代の女性は「ジャニーズという共通の話題で家族が仲良くなれた。けんかをした時でも、ジャニーズのニュースがテレビで流れると自然と会話が始まる」と答えてくれました。

参列したファンの多くが口にしたのは、「感謝」という言葉です。人生のどこかの1ページで各々おのおのの支えになり、生活を彩ってくれたジャニーズ。「家族」「恋人」「友人」のような存在だったジャニーズのアイドル。そんなジャニーズを創設し、男性アイドルの礎を築いたジャニーさんに、多くの人が謝意を伝えにきていたのです。

入場を待つファンの列は東京ドームの敷地外にまで延び、午後3時に並び始めたファンによると、2時間かかったそうです。一般の部では入場時に花びらの色紙が配られ、ファンはそれにジャニーさんへのメッセージを書き込みました。

ジャニーズは不滅

ジャニーさんが亡くなった時、さみしさと同時に、今後、ジャニーズがどうなってしまうのか不安にかられました。実際、「ジャニーズ帝国崩壊」などとメディアでも度々報じられています。しかし、お別れの会でジャニーズタレントの絆や決意、ジャニーズを愛する大勢のファンを目の当たりにし、「創設者がいなくても、上質なエンターテインメントは生き続ける」と妙に安堵あんどしました。「ユー、最悪だよ」「ユー、出ちゃいなよ」。きっと所属タレントは天国から聞こえてきそうなジャニーさんの言葉を胸に、ジャニーズのエンターテインメントは「第二幕」でも輝くことでしょう。ジャニーさん、ありがとうございました!

(読売新聞東京本社 山村翠)