ジャニーズJr.から2グループ同時デビュー発表、シビアな競い合いも

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デビュー発表会見のフォトセッションに応じる「Snow Man」(左9人)と「SixTONES」。(沼田光太郎撮影)

8月8日に東京ドームで行われたコンサート「ジャニーズJr.8・8祭り~東京ドームから始まる~」で、ジャニーズJr.のユニット「SixTONES(ストーンズ)」と「Snow Man(スノーマン)」が2020年にメジャーデビューすることが発表されました。ジャニーズから令和初のデビューは、まさかの2グループ同時。ジャニーズ事務所の新人が同時にデビューするのは、初めての試みです。長年のジャニーズファンである記者は、コンサートの抽選には漏れたので、リアルタイムの配信でました。

今回、ジャニーズJr.による東京ドームでの単独コンサートは19年ぶりの開催。コンサート前から「大舞台で何か発表があるのでは」とファンはザワザワしていました。デビュー発表に「やはり」と思った人も多かったのではないでしょうか。コンサート中盤のMCコーナーの最後、メンバーが「発表がある」と真剣な表情で口にすると、スクリーンに「2020年同時デビュー決定!!」の文字が映し出されました。ファンは大絶叫し、喜びを爆発。この日は「SixTONES」「Snow Man」「同時デビュー」がツイッターのトレンドに上がり、SNSでも大いに盛り上がりました。

高身長、ワイルド路線

SixTONESは、ジェシーさん、京本大我さん、松村北斗さん、森本慎太郎さん、田中樹さん、高地優吾さんによる6人組。全員が身長170センチ以上というステージ映えするスタイルの良さ、ワイルド路線のクールなパフォーマンスなどがウリです。

迫力満点のアクロバット

Snow Manは元々、岩本照さん、深澤辰哉さん、渡辺翔太さん、阿部亮平さん、宮舘涼太さん、佐久間大介さんの6人で活動していました。今年1月、関西ジャニーズJr.の向井康二さんのほか、目黒蓮さん、ラウールさんが加わり、9人に増員。高い身体能力を持ち、ダンスや迫力満点のアクロバットが武器です。

2グループはファンの間では「スノスト」と呼ばれ、横浜アリーナで単独公演を行うなど、ジャニーズJr.全体を牽引けんいんしてきました。YouTubeの「ジャニーズJr.チャンネル」を見ても、2グループはトークスキル、バラエティー力など抜群の安定感を誇り、彼らがデビューするのは納得です。

むくわれた苦労

Snow Manの深澤さんと阿部さんは15年前にジャニーズ事務所に入所するなど、下積み歴が10年以上のメンバーも目立ちます。深澤さんは、以前所属していたグループから、自分以外の多くのメンバーがHey! Say! JUMPに抜擢ばってきされました。SixTONESの松村さんと高地さんもかつて、Sexy Zoneの中島健人さん、菊池風磨さんと共にB.I.ShadowというジャニーズJr.のグループに所属。Sexy ZoneのデビューでB.I.Shadowは自然消滅となり、松村さんと高地さんは辛酸をなめました。ようやくデビューをつかみ、こうした彼らの苦い思いや挫折が報われたのは心底良かったと思います。

これまで、デビュー時の平均年齢が最も高かったのはA.B.C-Zの23.6歳でした。現在、各グループの平均年齢はSixTONES23.7歳、Snow Man24.4歳で、デビュー時の最年長記録を更新します。2グループの中で最年長はSnow Manの深澤さんで、来年28歳を迎えます。新人アイドルとして決して若いとはいえない年齢に、焦りを感じていたであろうことは容易に想像できます。

「上が詰まっているので、下もそれなりの年齢にならないとデビューできない」という渋滞が起こっているためか、アイドルの世界でも高齢化が進んでいます。デビューするジャニーズアイドルは10代~20歳そこそこというイメージは、過去のものになりつつあるかもしれません。デビューまでに時間を要することは、フレッシュさは劣るかもしれませんが、多方面で経験を積んだ完成形の即戦力アイドルが世に出るとも言えます。

発表のあり方には賛否

今回デビューに恵まれなかったジャニーズJr.もおり、ジャニーズJr.一同が集う場でのデビュー発表には、賛否両論があります。ジャニーズのデビュー発表はタレントやファンの様々な感情が交錯し、穏やかではないことも。

思い返せばHey!Say!JUMPは、ジャニーズJr.の複数のグループを解体して結成。先輩で、当時まだジャニーズJr.だったKis-My-Ft2やA.B.C(現A.B.C-Z)の先を越し、デビューを決めました。ジャニーズWESTは大みそかのジャニーズカウントダウンコンサートで、メンバー4人が、グループ名が書かれた紙を掲げてデビューを発表。当初、関西ジャニーズJr.として共に活動をしてきた神山智洋さん、藤井流星さん、濵田崇裕さんが選ばれなかったことに、ファンは大きく動揺しました。

SixTONES、Snow Man以外のJr.ファンで、8日のコンサートに行ったという女性は、「スノストには申し訳ないが、デビュー発表後は号泣でコンサートの記憶がない。悔しくて、悔しくて……」と振り返ります。別の30代の女性は、「もしあの場所にいたら、耐えられなかった。Jr.コンサートのチケットが取れなくて正直良かった」。お目当てのグループが出演するコンサートや舞台に足しげく通って、グッズを買い込んで……。ジャニーズJr.ファンの多くはデビューをタレントと共に夢見て情熱的に、そして献身的に応援しているからこそ、複雑な思いに駆られるのも無理はありません。

SixTONESとSnow Manのデビューはコンサート中盤で発表されましたが、その後、他のグループはどんな気持ちでステージに立っていたかと思うと、私自身も胸の奥がチクチクします。そんな中、SixTONES、Snow Manと同じような立ち位置で活躍してきた7人組、Travis Japanのパフォーマンスは印象的でした。熱量のこもった、一糸乱れぬ踊り。「落ち込んでいる場合じゃない、絶対にデビューする」。そんな気迫が伝わってきました。

一方、もっとクローズな場でデビューを発表していたら、ほんの一部のファンしか立ち会えず、「不公平だ」という意見も出たことでしょう。8日のコンサートの様子はジャニーズJr.の公式エンタメサイトで全編ライブ配信され、多くの人がデビュー発表をリアルタイムで観ることができました。一体どんな発表方法がベストかは、難しいところです。

デビューの仕方より、その後の活躍

ジャニーズグループの多くは、デビュー発表時に波乱やドラマがあったものの、デビュー後の飛躍ではね返しています。SixTONESとSnow Manも、「そんなことあったね」なんて振り返られる日が来るよう、東京ドームで同じステージに立っていた他のジャニーズJr.やファンの思いを胸に、切磋琢磨せっさたくましてほしいです。

とはいえ、世はアイドル戦国時代。同時デビューということで、まずデビューCDの売り上げが競い合いになることが予想されます。2グループはどちらが先にデビューするのか競っていたのに、デビューしてもなお戦いが続くのです。ビジネスモデルとしてはありかもしれませんが、なかなかシビアでつらいものがあります。CD売り上げをアップするにはどうしたらいいかについて書かれたファンのツイートも、早速登場しています。

デビュー後は、このほかにも様々な難局や苦労があることでしょう。SixTONES、Snow Man以外のジャニーズJr.も自分磨きに励む日々が続きます。8日に東京ドームにいたジャニーズJr.全員に、光あふれる未来が待っていることを願わずにはいられません。
(読売新聞東京本社 山村翠)