美白美人? それとも日焼け美人? 世界の「美しい肌」感覚

サンドラがみる女の生き方

写真はすべてイメージです

前回、日本と海外のスキンケアの違いについて書きましたが、そもそも、どういう肌を“魅力的”だと感じるのかにも文化の違いがあります。日本では近年、「美白」がもてはやされていますが、海外ではどうなのでしょうか。

「美白」がブームの日本

昨今、日本の化粧水や乳液などのスキンケア商品には「美白」をうたったものが少なくありません。そんな「美白ブーム」のニッポンですが、90年代後半2000年代前半には、顔を黒く見せる、いわゆる「ガングロ」や「ヤマンバ」がブームになったこともありますし、もっと前の1970年代には、カネボウ化粧品のキャンペンガールに選ばれた故・夏目雅子さんの小麦色の肌が注目を集めました。

このように日本でも「日焼けブーム」のようなものはちょくちょく起きているのですが、どちらかというとブームは「たまに」であり、根強いのはやはり「美白」の印象です。考えてみれば、日本には「色の白いは七難隠す」なんていう昔からのことわざもあるぐらいですものね。

韓国の女優さんを見ていても、肌の色の白い人が多い印象ですし、中国でも色白が好まれる傾向があるといいます。中国では酒井法子さんが昔から人気ですが、中国人の知り合いに聞いてみたところ、顔立ちだけでなく、彼女の透き通るような白い肌がやはり好まれているのだといいます。そう考えると、日本を含めたアジアは「美白志向」だといえるのかもしれません。

一方、「ガングロ」「ヤマンバ」に関しては、その姿をすっかり見かけなくなりました。かつてのガングロが流行した世代の人は現在、30代後半ぐらいになっているはずですが、その年代で日に焼けた女性はあまり見かけないので、もしかしたら、かつてのガングロギャルも今は「美白」に走っているのかもしれません。

「日焼け」がステータスのヨーロッパ

それではヨーロッパはどうでしょうか。ヨーロッパの中央にあるドイツやその周辺諸国、北ヨーロッパなどは、1年にわたって日照時間が短いこともあり、とにかく「太陽」を求める人が多いです。休暇が取れると南の島で思いっきり陽光を浴び、日焼けをして国に戻ってくることが一種のステータスになっていることもあり、「日焼け美人」がもてはやされています。

ドイツの場合は、日焼けをせずに年がら年中、白い肌のままでいると、周囲から「南の島に遊びに行けないかわいそうな人」というレッテルを貼られてしまうこともあり、何げに皆「日焼け命」だったりします。そんなこんなでヨーロッパでは「日焼けしている肌」に憧れる人が多いのですが、休暇で日焼けしただけでは「こんがり肌」を保ち続けることはできないので、自国に戻ってから日焼けサロンに通う人も多いです。

また、塗るだけで日焼けしたように見せてくれるセルフタンニングローションも人気で、ドイツの化粧品売り場に行くと、たくさんの商品を見かけます。それを使って多くの人が顔だけではなく、体全体を自然に「こんがり肌」にしようとしていますが、背中などには自分で塗りづらいのが難点です(笑)。

「こんがり肌」に見せるのも一苦労というわけですが、実際に南の島のビーチなどで長時間「肌を焼く」ことに関しては、ヨーロッパでは皮膚がんとの関連も問題になっており、近年ドイツでは「行き過ぎた日焼け」はしないよう注意を呼びかけています。

このように「極端な日焼けは肌に悪いのでやめましょう」という動きはドイツにもあるのですが、かといって「美白」がブームになることはありません。そもそもドイツで美白関連の化粧品を見たことがないのです。「行き過ぎた日焼け」に注意するようになった人が多いものの、そうはいってもやはり「美」の基準は「日焼け」と結び付けて考えられているようです。

欧米人がオープンカフェ好きな理由

日本では、夏の暑い日に外に出たいという人はあまりいません。ところが、ドイツにはオープンカフェが多く、少しでも太陽が出ると、まだ肌寒くても外に座ります。逆に、かんかん照りの時でも外に座ります。「太陽は絶対に逃したくない」という人が多いのです。

日本の暑い夏でも、オープンカフェでは欧米人をよく見かけます。先日も都心のカフェで、今はやりの「持ち歩ける小さな扇風機」を手に持ちながら外に座っている欧米人がいました。やはりヨーロッパ流の「中にいるより、断然外!」という考え方が根強いのですね。

逆に日本人では、日射病予防やシミ防止、そして何よりも「美白」の観点から外に座りたがる女性は少ないのです。私自身はオープンカフェに座るのは大好きですが、気持ちがいいのはやはり5月や10月あたりなので、今の季節はちょっと遠慮したいです(笑)。

ハワイで一部の日焼け止めを禁止する法律

日本では、海水浴などの際、肌を守るために日焼け止めを使う女性が少なくありません。しかし、米ハワイ州では2021年1月から、紫外線吸収剤の「オキシベンゾン」と「オクチノキサート」が含まれる日焼け止めの販売と使用が法律上禁止となります。研究者が以前から、これらの物質がサンゴの白化などの原因になると指摘しており、サンゴ礁への影響を考えて、この法律が施行される予定とのことです。

ハワイでは、法律がまだ施行されていない現段階で既に、これらの物質が使用されていない「サンゴ礁にやさしい日焼け止め」が販売されているそうです。日本から持っていった日焼け止めに対しては、現地で明確な規制はないものの、サンゴ礁をはじめ、海洋環境への影響を考えると、やはり現地で売られている日焼け止めを使ったほうがよいでしょう。

太平洋に囲まれた国・パラオでも、環境保全のため2020年から化学物質を含んだ日焼け止めの販売・使用が禁止となる予定です。今は、プラスチックごみの増加による海洋汚染も世界的に注目されており、「地球に優しい視点」が求められています。そう考えると、美白も日焼けも「ほどほどに」がいいのかもしれません。

 

サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト

 ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオ共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(ともに流水りんこ共著/KKベストセラーズ)など。
 「ハーフを考えよう!」http://half-sandra.com/