パリオートクチュール ダイバーシティーを意識?!

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シャネル

2019~20年秋冬オートクチュールコレクションが6月30日から7月4日まで、パリ市内で開かれました。オートクチュールといえば、伝統と高度な職人の技術が凝縮した最高級の注文服です。この世界にも、ダイバーシティー(多様性)の波が来ていることを感じました。

シャネル、クリスチャン・ディオール、ジバンシィ。三つの有名なブランドが女性デザイナーでした。意外ですが、これまでデザイナーは男性が多く、3ブランドとも女性というのは珍しいことです。

シャネル

シャネル

シャネルは、今年2月にデザイナーのカール・ラガーフェルドさんが亡くなり、カールの右腕だったヴィルジニー・ヴィアールさんが引き継いでから、初めてのコレクションでした。会場は本好きだった創業者のガブリエル・シャネルの書斎風です。細身のラインで、白い襟やカフス、ボタンの白さがアクセントになっています。モデルが眼鏡をかけたり、フラットな靴をはいたり。派手ではありませんが、知的な雰囲気を醸し出していました。

ディオール

ディオール

マリア・グラツィア・キウリさんが手がけるディオールは、服の大半が黒。古代の寺院やパリにある建築物で柱の役割をするカリアティード(女性の立像)をイメージしたそうです。刺しゅうや羽根、レースなど多彩な材料と手法で作り込み、黒の美しさを際立たせていました。

ジバンシィ

ジバンシィ

ジバンシィは、英国王室メーガン妃のウェディングドレスをデザインしたクレア・ワイト・ケラーさんが担当。フランスの城にある室内装飾などから着想を得たドレスを披露しました。デフォルメした形や髪形などで、ちょっと過激さを盛り込んだのが特徴です。

ヴァレンティノ

ヴァレンティノ

多様性がショー全体に表現されていたのは、ヴァレンティノ。服は民族衣装風もあれば正統派のドレスもあり、色も形も多様です。さらに75歳の女優、ローレン・ハットンさんをはじめ、年齢も肌の色も異なるモデルを起用。それぞれの服には作った人の名前をつけ、ショーの最後にアトリエのスタッフらも登場し、裏で支える人への敬意を表したのが印象的でした。

ジョルジオ・アルマーニ・プリヴェ

ジョルジオ・アルマーニ・プリヴェ

一方、正統派の美しさが表現されていたのは、ジョルジオ・アルマーニ・プリヴェ。淡いピンクやブルーなどのパステルカラーを多用しており、パールやクリスタルを縫い付けたり、フリルやプリーツも使ったりと、華やかさを盛り込んで、しかも軽やかでした。

オートクチュールは一時期、注文する人が減り、「絶滅」の危機が言われたこともありました。しかし、近年、若い富裕層が増加し、ショー会場では若い世代も目につき、活気づいていました。(読売新聞編集委員 宮智泉)