大学生が投票を呼びかけ 助っ人はゆるキャラ?

参院選・辛酸なめ子が行く(下)

        イラスト・辛酸なめ子

21日に投開票が行われた参院選。社会保障や改憲、消費増税などを争点に舌戦が繰り広げられました。選挙戦はどう行われ、どんな人々が携わっているのでしょうか。読売新聞長野支局の企画として、独特の視点で世間を描くコラムニスト、漫画家の辛酸なめ子さん(44)に長野選挙区(改選定数1)の選挙現場を歩いてもらいました。

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若者の投票率をどう上げるかが課題となっています。2016年の参院選長野選挙区では10代の投票率は45・32%で、全体の62・86%を下回りました。若者と選挙を取り巻く状況などを取材しました。

まず訪ねたのは、若者の選挙啓発に取り組む信州大学教育学部(長野市)の公認サークル「信州投票率上げようプロジェクト(STAP)」。高校や大学などで出前授業を行い、17年には総務大臣表彰を受賞しています。

副代表の中村祐斗さん(22)と木村秀徳さん(22)によると、進学で住民票を残したまま親元を離れる人が多いためか、18歳より19歳の投票率が低いそう。住民票のある市町村を離れている人たちを対象にした不在者投票も、若者にはあまり知られていないようです。

自分の1票では何も変わらない、どう投票先を選ぶのか分からない、面倒くさい……。若者が選挙に行かない理由は様々です。

「政治は遠く感じるが、実は生活と結びついている。選挙を自分事として捉えてほしい」。澄んだ瞳で訴える2人を前に、こんなに立派に成長してさぞかし故郷の親御さんは喜んでいるだろうと思うばかりです。

信州大のSTAPメンバーから話を聞く辛酸さん(右)(長野市で)

出前授業で投票促す 着ぐるみも登場

それにしても、サークルの略称「STAP」が気になります。「出前授業で『STAP細胞とは無関係です』と場をほぐしがてら挨拶あいさつしますが、ニュースから年月がたち、高校生らに通じなくなっていて……」と2人。出前授業でのトークも課題のようです。

8日は、伊那市の伊那西高校で、3年生約150人を対象にした啓発活動を見学しました。市選管の担当者らが、ホームルームで投票方法などを説明します。

最も盛り上がったのは、投票箱をモチーフにした選挙啓発キャラクター「選挙のめいすいくん」の着ぐるみが登場した時。「若年層の投票率を上げたいが、教育には限界がある」と考え込んでいたSTAPの2人に、ゆるキャラの活用を提案したくなりました。

めいすいくんは、地域の名産品などを組み合わせたご当地版もあるようです。アレンジを柔軟に認め、多様なコラボレーションを展開するキティちゃんと似ているかもしれません。

ホームルーム後、最前列にいた女子生徒4人に「投票に行きますか?」と尋ねると、全員が挙手。「雰囲気に流されず、慎重に1票を投じたい」と答える女子もいて、日本の未来は明るい気がしました。

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辛酸 なめ子(しんさん・なめこ)
コラムニスト・漫画家

 1974年生まれ。独特の視点で世相を分析するスタイルが人気。著書に「大人のコミュニケーション術 渡る世間は罠だらけ」など。