筋肉はがんばる女性も裏切らない!「筋肉体操」谷本道哉さんが著書出版

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「筋肉は裏切らない」という決めゼリフが話題になったNHKの体操番組「みんなで筋肉体操」。指導役として出演した近畿大学准教授の谷本道哉さんがこのほど、著書『世界のビジネスエリートの常識 人生を変える筋トレ』(総合法令出版)を出版しました。筋肉は、仕事や家事・育児をがんばる女性の味方にもなってくれるのでしょうか。谷本さんに話を聞きました。

家で無理なく、効率的に

「みんなで筋肉体操」は、俳優の武田真治さんら筋骨隆々の出演者が黙々とトレーニングに励む5分間の番組。女性からも大きな反響を呼びました。

本書は、会社勤めのサラリーマンを意識して書いたそうですが、「仕事や家事・育児に奮闘している女性にも読んでもらえるとうれしいです。筋トレは男女とも一緒ですから」と、谷本さんは話します。

谷本さんによると、普段から筋肉を使っていれば、脂肪分解や認知症予防などの効果を持つホルモンの分泌が盛んになります。逆に何もしないと、30代から筋肉は減っていきます。男性より平均寿命が長い女性は、年を取ってからもアクティブに過ごすためにも、「筋肉貯金」を増やしておくのがおすすめだといいます。

本書で紹介されているのは、特別な器具は必要とせず、1日5分で出来る筋トレのメニュー。理論的に裏付けられた解説文と、分かりやすいイラストを見ながらチャレンジできます。

たとえば、お尻と太ももをまとめて引き締め、きれいな下半身のラインを作ってくれる「スクワット」。筋トレの定番メニューですが、多くの人はごまかしたフォームでやっていて、十分な効果が得られていないそうです。本書ではイラスト入りで、「お辞儀をしながらお尻を後ろに引いて、イスに腰かけるようにしゃがんで立ちます」「2秒下げ、1秒上げ」「10~20回をめどに」といったように、適切な方法を分かりやすく説明しています。

スクワットの正しいやり方を紹介するイラスト(『世界のビジネスエリートの常識 人生を変える筋トレ』より)

普通のやり方ではキツいという人には「レベルダウン」、もっと強くやりたい人には「レベルアップ」の方法も書かれており、体力に応じて無理なく取り組めます。

効果はすぐに出る?

筋トレをすると、筋肉の形に沿ってメリハリのついたカーブが生まれ、体のラインにくびれも生じます。女性の場合、健康的な美しさのある体になるというわけです。「本書の筋トレをきちんとやれば、最初の1か月から体が軽くなっていくのが感じられるはずです。2、3か月もあれば、体形の変化が目に見えてくると思います」と谷本さんは話します。

筋トレ効果のデータをパソコンで分析

しっかり鍛えて筋肉が増えれば、基礎代謝量が増えて、太りにくくなります。脂肪を大きく減らすには、さらに食事の見直しも必要です。本書にはそのためのコツも紹介されています。「極端なことはせず、出来る範囲で守るべきことを少しずつ増やしていく。続けていけば、歯磨きと同じで、自然な習慣になり、むしろ不摂生をすることが気持ち悪く感じるようになります」と谷本さん。

集中して限界まで

谷本流トレーニングで重要なのは、「短時間でも、限界まで自分を追い込む」こと。女性の場合は体が「ごつく」ならないよう、軽めのトレーニングを長時間やった方がいいという説がよく聞かれますが、それは「効果の低い方法を一生懸命がんばる、遠回りのような方法」だそうです。「ごつくなりたくなければ、効果の高い方法を少しやる。もし筋肉が付きすぎたら、行う量をさらに減らしてください。そう簡単にごつくはなりませんが……」

鏡の前でトレーニングをしたり、スマートフォンで動画撮影したりして、自分の動きをチェックするのもおすすめ。「トレーニングをしていると、無意識に動きをごまかしがち。きちんとやっているつもりでも、動きが全然小さい、といったことがよくあるからです」と谷本さんは説明します。

番組で話題の「あの」フレーズも

適切な「やり方」だけではなく、集中して全力を出し切るための「筋トレマインド」を身に付けることも大切です。本書では、「あと5秒しかできません」「キツくてもつらくない」「やり切る、出し切る、全部出す!」といった、番組でおなじみのフレーズに込めた真意も解説されています

これらのセリフは、谷本さんが自ら筋トレをしている最中に、自然と心の中に湧き上がってきた言葉。「きちんとやれ」という命令ではなく、「一緒にやろうよ」という誘いかけのつもりなのだといいます。ちなみに、こういったフレーズを集めた語録集のような本の出版も現在、準備しているそうです。

「楽して出来る」「テレビを見ながら」といったお手軽トレーニングの勧めが多い中、「筋肉体操」は「自分を限界まで追い込め」という異色の提案が人気につながりました。「やっぱり皆さん、『楽して変われる』という甘い話はそうはないとうすうす気づいているんだと思います。楽ちんダイエット法が効かなかったと本気で怒っている人を、私は見たことがありませんから」と谷本さんは指摘します。

「正しい筋トレの心構えは、仕事やプライベートに広く役立つはず」と谷本さん

筋トレマインドは仕事にも効く!

「正しい筋トレの心構えは、仕事やプライベートに広く役立つはず。そのことも伝えられないかと、自己啓発本のようなタイトルになりました」。自発的に前向きに取り組む「筋トレマインド」は、仕事やプライベートで効率よく充実した行動をめざす心構えに通じると、谷本さんは強調します。

たとえば、「キツい」と「つらい」は、意味が似ているようで、全く違うもの。「キツい」は高い負荷がかけられている状況を意味し、「つらい」は「いやなこと、やりたくないことをさせられている」時の精神状態を指します。

「キツい」は、効率的に成果を上げるため必要になる場面がありますが、「つらい」は、成果が上がるかどうかとは必ずしも関係しません。「自分はがんばった!」という自己満足で終わってしまうこともあるといいます。

筋トレは、「キツいけれど、結果につながるから楽しい」というメンタルを目指すもの。筋トレが毎日の習慣になると、何事もテキパキ、キビキビと行動するようになり、むしろ、「ダラダラ」が気持ち悪く感じるようになるそうです。
(読売新聞経済部 庄野和道)

谷本 道哉(たにもと・みちや)

 1972年生まれ、静岡県出身。大阪大学工学部卒。大手建設コンサルティング会社勤務を経て、東京大学大学院で博士号を取得。2013年から近畿大学生物理工学部准教授として、筋生理学などを教える。学生時代は空手に打ち込み、筋トレにも取り組んだ。NHK「みんなで筋肉体操」では筋トレメニューを考案し、自ら解説役として出演した。