女性のキャリアアップについて考えるワークショップ「女性のためのリーダーシップ」がこのほど、読売新聞東京本社で開かれました。OTEKOMACHIと「The Dream Collective(ドリーム・コレクティブ)」の主催。同社の創業者であるサラ・リューさんが講師として登壇し、参加者たちと女性のキャリアについて議論を交わしました。
全力を尽くし続けることが成功につながる
ドリーム・コレクティブ社は、オーストラリアを拠点に、女性のリーダーシップトレーニングプログラムを提供している企業です。これまでPWCやヤフー、ユニリーバなど250社以上で、働く女性たちのキャリアアップを支援してきました。
ワークショップの冒頭、サラさんは、日本の働く女性は世界各国の女性と比べて管理職の割合が低いというデータなどから、日本では働く女性がキャリアを積みにくいのが現状だと指摘しました。その上で、「日本でも女性のリーダーになることはできます。そのためには、自分自身の考えを持つことが重要。大変なことですが、仕事に全力を出し続けることで、成功への道が開けます」と熱く語りました。
“交渉力”アップのコツ!
「言いたいことをうまく伝えられない」「社内外での交渉が苦手」。職場での会話や話し合いの際に、そんな悩みや迷いを抱える人もいるのではないでしょうか。これについてサラさんは、交渉を成功させるための会話術を教えてくれました。

〈1〉 I、we、itのバランスに気を付ける
「『私は~したい』という自分の意見を重要視するあまり、周囲がどうしたいのかという視点を忘れがちではありませんか?」とサラさん。
大事なのは、共通の目標を確認し、共有すること。そのためには、「私は何をしたいのか」「ほかの人たちが何をしたいのか」「何を目標とするのか」という三つのバランスを意識するのがポイントなのだそう。
〈2〉会話の七つのステップを意識する
交渉を円滑に進めるには、七つのステップに沿って会話を進めると効果的です。
七つのステップとは、(1)相手の話を聞く(2)質問する(3)意見を要約する(4)内容を確認する(5)自分の考えを表現する(6)交渉する(7)決まったことに対して責任を持つ――のこと。
サラさんによると、(3)(4)を通して相手への理解を深めることが重要ですが、それをしなかったためにうまくいかないケースが多いのだそう。「ひとつひとつのステップに当てはめて会話を進めていけば、効果的な話し合いができますよ」と、アドバイスしました。
ワークショップで悩みを解決
この日は、首都圏のオフィスで働く約40人の女性が参加し、いくつかのワークショップを体験しました。なかでも盛り上がったのが、参加者同士でキャリアの悩みに対する解決策を見つけるというもの。
最初に、参加者はキャリアに関する悩みを付箋に書き出し、ホワイトボードに貼り出しました。サラさんは、付箋を「起業への不安」「職場での悩み」など五つのカテゴリーに分け、同じ悩みを抱えた参加者のグループを作りました。
最初は緊張した面持ちの参加者もいましたが、ワークショップが進むにつれ、会場は活気にあふれた雰囲気に。「自分が出世して組織を変える」「自分のロールモデルとなる人を見つける」など、各グループから様々なアイデアが提案されました。

ワークショップが進んでいくうちに、みんな少しずつ自信がついてきた様子。最後には、サラさんに促されて参加者全員がそれぞれ、自身の魅力を声に出し、全員で記念撮影を行いました。
参加した会社員の飯田はるかさん(25)は「いろんな人と話し合う機会があまりないので刺激的でした。人事部で女性のキャリアを考える立場にいるので、教えてもらったことを踏まえて考えたい」と話しました。会社員の古橋広子さん(31)は「最近、仕事で悩んでいたことがあったのですが、その答えをもらったような気分。自分ひとりでは、効果的なアプローチを見つけられなかったので、参加して良かったです」と目を輝かせていました。
(取材/読売新聞メディア局 安藤光里)