女性が職場で怒ると「ヒステリーな怖い女」認定?

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 職場で怒りを感じたとき、あなたはどうしていますか? 女性の場合、「感情的」「イライラして怖い」などと言われてしまうためか、自分の感情をぐっとこらえていることが少なくないようです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、「男性がうらやましい。女性が同じように<怒り>を表現したら、<ヒステリーな怖い女>認定されるのでは?」という投稿がありました。女性が職場で怒りを感じたときの対処法を専門家に聞いてみました。

電話の相手に「ふざけんな!」は女性ならNG?

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 トピ主の「ぽこりん」さんは、ある日、職場の男性が、電話の相手に対して「おまえさ~、いい加減にしろよ!!約束してた納期と全然違うじゃねーか!!ふざけんな!!!」と怒鳴どなり、ガチャンと切ったのを聞きました。

 電話の相手は、社内の別の部署にいる男性。電話を切った直後に、当の本人は小声で「チキショ~」と言っていたのに、しばらくして同じ相手と電話をするときには普通に話し、周囲の人たちも何事もなかったように仕事を進めていたそうです。

 「仕事をしていて男性をうらやましく思うことがあります。それは怒りをストレートに表現出来る事です。もし女性が同じように怒りを(相手に)ぶつけたらどうでしょう? 一生その職場では<ヒステリーな怖い女>認定ではないでしょうか?」と、「ぽこりん」さんは問いかけました。

社会的に許容されにくい女性の「怒り」

 この投稿に、多くの反応がありました。

 「ダブルスタンダードなんでしょうね。男女平等が叫ばれる昨今ですが、男性と女性では社会的に許容される感情に違いがあって、女性の怒りや競争心は、感情的とか気が強いとか許容されにくい。心の奥底に根強く残っていると感じます」(「ライチョウのラリー」さん)

 「なんとなく、男性の方が(怒りの表現を)許される雰囲気はありますよね。特に、管理職を男性が占めているような古い職場ではそうだと思います。しかし、人前で大声で怒る男はいじめっ子気質で、陰ではものすごく嫌われていることもあります」(「mugi」さん)

 「前の職場のチームリーダー(アラフォー女性)が、よく仕事のデキる、そしてとても厳しい方だったのですが、クレームの言い方や部下への注意は感情的にならないようにしている感じでしたね。地声は高めの方だったのですが、なるべく低めの声で丁寧なしゃべり方という感じで。それがむしろコワくて? 効果的だったりして」(「クッキー」さん)

「女には女の戦い方」という意見も

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 「女には女の戦い方があるって思ってます」と書き込みをしたのは、「ひろこ」さん。「遅れるなら遅れるで早めに連絡もらえないと困ります!」といった強めの言い方は、男性が言う場合は効果があるのに、女性が言ってもあまり効果がないと感じているそう。

 「(私なら)『せめて昨日連絡もらえてたら、私の方でなんとかしたんですけど……、どうしよう…またお返事させてください』と、困っている演技をした後で、『なんとかなりましたけど、ぶっちゃけ泣きそうでしたよー。次からは前日までに連絡下さいね』という感じが一番効率的かな?」と言います。

 自分なりに作戦を立てて、職場での処世術を編み出している女性もいるようですね。一方で、職場での感情コントロールについて「男女に違いはない」という指摘もありました。

 「男女ともに、ヒステリー、切れやすい、感情的な人、うるさい、と(いう人がいるだけと)思うのですけど。(トピ主さんの)例だと男女ではなく、個人差のような気がします。許される人、許されない人は男と女でわけられません」(「ワーママ」さん)

 「会社で、汚い言葉を使うこと自体許されないと思います。男女の区別なくこのような言葉を使ってはいけません」(「かめ」さん)

「怒り」を感じたら、どうすればいい?

 日本アンガーマネジメント協会の戸田久実理事に、女性が職場で「怒り」を感じたときの対策を聞きました。

 企業研修などを通し、これまで20万人以上に指導・相談を行ってきた戸田さんは「怒りを感じるポイントについて、男女の性差はありません」と指摘します。

 ただ、世間には「女性は感情的」「女性は論理的に説明できない」といった先入観や偏見があり、女性が職場でストレートに怒りを表現すると誤解を招く可能性も。「なんで、あんなふうに怒ってしまったのだろう」と後悔しないため、「怒り」を表現する場合には、男性よりも慎重になる必要があるそうです。  

 「私がどんなに大変か分かります?」

 「どうして私ばっかり……」

 「なんかイヤな感じ」

 戸田さんは、女性の「怒り」「不満」「イライラ」が、このような言葉で表現される傾向があると指摘します。女性は感情を大切にするあまり、何か解決策を求めるよりも、話しを聞いてもらい、「共感」を求めてしまいがち。

 こうした言い回しは、何に対して怒っているのかがぼやけてしまい、理解を得られないばかりか、「ぶちきれた」「文句を言われた」などと受け取られかねません。

「怒るのは悪いことではありません」と話す戸田さん(東京都内で)

「怒り」を伝えるときに注意すべき2つのこと

 怒りを的確に表現する「感情コントロール」を身に付けるには、「怒り」という感情への理解とトレーニングが求められます。職場などでは、次の2点を念頭に感情表現に注意してみるといいとアドバイスします。

〈1〉「怒り」の裏側にある感情を言葉にしてみる

 ・「なんできちんと報告をしないの!」「報告がなくて不安だった(心配した)」

 ・「どうして時間に遅れたの?」「約束を守ってもらえず、残念に思った(悲しく感じた)」

〈2〉「怒り」を「リクエスト」で表現する

 ・「なんできちんと報告をしないの!」「今後、予定を変更する場合は報告をしてほしい」

 ・「どうして時間に遅れたの?」「約束の時間を守ってほしかった」

 戸田さんは、「感情コントロールは、車の運転と同じです。何も知らない初心者には難しいと感じられます。『怒っているときに、そんなに冷静に考えられるだろうか』と感想を漏らす人も少なくありません。でも、きちんと怒りのメカニズムを理解して、トレーニングを繰り返せば、リスクや事故を回避することができるようになります。怒ることは悪いことではありません。伝え方が大切なのです」とアドバイスします。

 「パワハラ」に厳しい目が向けられるようになり、最近は「怒り」を表現するどころか、「叱咤激励」や「指導」をためらうという上司も少なくないそうです。男女問わず、職場のコミュニケーションのあり方を見直す必要がありそうです。(メディア局編集部 鈴木幸大)

【紹介したトピはこちら】
女性が職場で怒ること

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戸田 久実(とだ・くみ)

日本アンガーマネジメント協会理事。立教大学文学部卒業後、服部セイコー(現・セイコーホールディングス)など民間企業勤務を経て、官公庁や企業研修・講演を行う講師に。指導人数は20万人に及ぶ。著書に『アンガーマネジメント怒らない伝え方』『いつも怒っている人もうまく怒れない人も図解アンガーマネジメント』(かんき出版)『苦手意識がなくなる会話術』(大和書房)『働く女性の品格 30歳から伸びる50のルール』(毎日新聞出版)など。