アルマーニさんの大切なもの 「スニーカーとネイビーブルー」

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(ジョルジオ・アルマーニジャパン提供)

   イタリアのファッションデザイナー、ジョルジオ・アルマーニさんが5月下旬、12年ぶりに来日しました。「モードの帝王」と呼ばれ、84歳の今も美しさを追求し続けています。日本のこと、デザインのことなどについて聞きました。 

――アルマーニさんにとって、日本はどんな存在ですか。

 インスピレーションを受けています。すべてが整理整頓され、秩序だっている。そして日本の女性は非常にエレガントで、チャーミングさと勇気を兼ね備えている。ミラノに帰って、私の自宅のスタッフたちには、家の中に入ったら、靴を脱ぐように言いたいと思います。

ファッションとは何か

――デザインするときに最も重要だと思っているのはどういった視点ですか。

 移ろいゆくトレンドを追求することよりも、エレガントで洗練されていること、そしてタイムレスなスタイルを追求するのが私の信念です。派手で過度にドラマチックなものよりも、エフォートレスな(楽な)スタイルを大事にしています。

――今の時代は情報を速く拡散するためのツールとしてSNSが多用されていますが、SNSの功罪は。

 よい点は、瞬時にどういったことが起きているかがわかること。ネガティブな点は画一化ですね。ファッションなどはみんなが見た通りにまねしてしまいます。

――私たちが自分らしいスタイルを作りあげるために大切なことは何でしょうか。

 私のデザインする服は、皆さんが着せられるものではなく、皆さんが着るものなのです。皆さんのワードローブは、自身を表現するものであってほしい。ファッションとは、コレクションのランウェーや雑誌の中だけで存在するものではなくて、みんなが心から楽しめるものであるべき。だから、あなたが本当に自分らしくいられるように着こなしてほしいと思います。

大切にしているもの

(ジョルジオ・アルマーニジャパン提供)

――東京に来ておみやげを買う場所はありますか。

 お気に入りの店があります。銀座の鳩居堂です。店ではお香や和紙、書道の道具などを売っています。これらの品がすべてシンプルで、それでいて実に美しい。行くといつも自分の仕事に使える和紙をバッグにいっぱい詰め込んで店を出ることになります。東京に前回来たときには、たくさんのお香と書道用の筆を何本か買いました。 

――アルマーニさんの持ち物で大好きなものをあげてください。

 スニーカー。いつもはいています。皆さんもそうだと思いますが、はき心地のいいもの。あとはダブルブレストのジャケットかな。カシミヤ製で、いつも着ています。私の一番のフェティシズムはネイビーブルーです。暗くても柔らかくてエレガント。シルエットをスリムに見せてくれます。

 取材を終えて

 アルマーニさんは、84歳にして実にかっこいい。インタビューの場では、ネイビーブルーのジャケットに白のスニーカー姿。まさに本当に自分らしくいられるスタイルなのでしょう。「トレンドよりスタイル」という信念を服のみならず、ライフスタイル全般にまで広げてデザインしています。その姿勢はぶれることがありません。(読売新聞編集委員 宮智泉)

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ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)
デザイナー

1934年、イタリア・ピアチェンツァ生まれ。ミラノ大学で医学を2年間学んだ後、ファッションの道に進むために中退し、ミラノの有名百貨店「リナシェンテ」に販売員として就職した。その後、フリーランスのデザイナーとして企業のデザインを手掛け、75年に自身の会社を設立した。80年、映画「アメリカン・ジゴロ」の衣装を担当し、一躍有名に。80年代、男性のソフトスーツは日本を含め、世界的に大流行した。現在、服だけでなく、家具やホテルなどライフスタイル全般のデザインを行っている。アルマーニグループの最高経営責任者も務める。