ストッキングは女性としてのマナー!?海外では

サンドラがみる女の生き方

 働く女性の中には、ストッキングが必須のアイテムだという人も多いのでは。ニッポンでは、「ストッキングをはくのは女性としてのマナー」だという見方もまだまだ根強いですが、先日、レッグウエア大手のアツギが、ストッキングの販売不振などが原因で赤字に転落したというニュースが話題になりました。これを受けて、SNSなどでは、「そもそもストッキングは必要なのか」を巡って議論になっています。今回は海外の事情も紹介しながら、女性の「ストッキング事情」を考えます。

ネットに「ストッキング離れ」の声

 SNSを見ていると、ストッキングについて「すぐに破れるので不便」「はいているだけで気持ち悪い」「1日が終わると、においが気になる」などと、「ストッキング離れ」とも思われる声が多く見られました。

 合理性の観点からみれば、確かにストッキングはどこか中途半端なのです。梅雨の時期や夏場には湿気が気になりますし、かといって冬にスカートの下にストッキングをはいたところで完全な防寒にはなりません。

 筆者が日本に来たばかりの20年前は、今よりも「ストッキングは女性のマナー」という雰囲気がありました。そのため、筆者もストッキングをはいていましたが、決してはき心地のよいものではありませんでした。それに、暑い夏にストッキングの上から蚊に刺されたときの気持ち悪さといったら、今思い出しただけでもゾッとします。

写真はイメージです

 かつて筆者が日本でクロークのアルバイトをしたときも、会社の規定で女性は制服のスカート及びストッキングの着用が義務づけられていました。お客さんのスーツケースや大きめの荷物を運ぶ際に、ストッキングはいとも簡単に伝線してしまいました。店のバーゲンセールや通販サイトでタイミングよく購入すれば安いストッキングですが、コンビニなどでサッと買うには高いです。

 そんなこんなで、筆者はストッキングというもののファンではありませんので、近年、筆者の生活でストッキングが登場するのは、掃除のときぐらい。ストッキングの静電気がホコリを吸着してくれるため、ホウキにストッキングをかぶせると、天井や部屋の高い位置のホコリをはらうのに便利なのです。

ストッキングを履くのは女性としての「マナー」?!

 しかし、ニッポンでは、以前ほどではありませんが、ストッキングをはくのは女性のマナーだという見方がまだ残っています。そういった意見の人に理由を聞くと、「やはり生足では相手に失礼でしょう」と返ってきます。

 いわゆる「生足」がたとえばビジネスのシーンなどにそぐわないというのは分かる気もします。ただ、「生足はダメ」と言っている人の一部は同時に「女性のパンツ姿」も歓迎していない場合もあり、これは時代にそぐわないと言わざるを得ません。合理的な考え方をすれば、「生足」がダメなら、女性が「パンツやパンツスーツ」をはけば解決する問題です。

 ところが、近年は徐々に変わってきているとはいえ、ニッポンの会社にはまだまだ「女性社員の制服はスカート」と決まっているところもあります。「生足はダメ」と言いながら、「パンツという選択肢」がないのは、合理的ではありませんし、LGBT(性的少数者)への理解を深めようとしている今の世の中にそぐわない感覚です。

 筆者は、この「ストッキング」問題は「すっぴん」の話によく似ていると思います。わりと保守的な考え方の人が「化粧は女性としてのマナー」、そして「ストッキングは女性としてのマナー」といったことを言っていたりします。そこでは当事者の自由はあまり考慮されていません。個人的には、化粧をするのもストッキングをはくのも個人の自由だと思っていますが、何かこう、社会的な圧力が残っているところがやっぱり気になります。

生足をタブー視しないヨーロッパ

 それでは、ヨーロッパの「ストッキング事情」はどうなのでしょうか。結論から先に書いてしまうと、ドイツを含むヨーロッパの女性は、ストッキングを滅多にはきません。これは、素足(いわゆる「生足」ですね)がタブー視されていないから、という点が大きいです。ストッキングを着用している女性がいないわけではありませんが、どちらかというと高齢の女性に多いかもしれません。

 ヨーロッパの若い世代だと、そもそもスカートをはく女性が少なくなってきています。パンツの女性が多く、彼女たちはストッキングをはく必要がありません。パンツのほうが日常生活のあらゆる場面で動きやすいため、自分のライフスタイルに合っていると考える女性が多いのですが、冬などは「単純に寒いからパンツをはく」という理由もあったりします。筆者の出身地であるミュンヘンは「南ドイツ」にありますが、「南」とは名ばかりで、緯度は札幌より高く、冬はかなり寒いのです。

ヨーロッパで人気のパンツスタイル

 そういった理由から、ビジネスシーンでもプライベートでも「夏は生足かパンツ」「冬もパンツ」というスタイルの多い欧米人女性ですが、「厚めの黒いストッキング」は見かけます。ほぼタイツに近い厚手のもので、黒のロングスカートやプリーツスカートと合わせることが多いです。

 筆者も冬に「黒の厚手のストッキング」をはくことがありますが、この冬に連日同じような格好をしていたら「なんだかお通夜かお葬式みたい」とツッコミを入れられてしまいました。確かに日本だと、黒いストッキングは喪服のイメージもあったりしますね。

日本とヨーロッパでは「ナチュラル」の感覚が違う?!

 日本には「すっぴん風メイク」があったり、「はいていないように見せてくれるストッキング」が売られていたりするのは、日本では「ひと手間加えること」が女性に求められているからだと思います。

 ヨーロッパ人は合理的なので、「生足風」のストッキングをわざわざ着用するぐらいなら、「生足でいいじゃない」となるわけです。生足が多いのも納得です。

 そんなこんなで、「ストッキング」に関しては様々な意見がありますが、たかだかストッキングの問題でも「自分の身に着けるものは、あくまでも自分で決めたい」と改めて思うのでした。

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サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト

 ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオ共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(ともに流水りんこ共著/KKベストセラーズ)など。
 「ハーフを考えよう!」http://half-sandra.com/