「ミラノデザインウィーク」で賛否を呼んだオブジェとは

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AP

 イタリア・ミラノで「ミラノデザインウィーク」が開かれ、世界各国からデザイン関係者が集まり、大変なにぎわいを見せました。今回、賛否を巻き起こしたのが、ミラノの中心地に現れた、女性の体を思わせるオブジェでした。

巨大化したイスに無数の矢

 ミラノの街の顔である大聖堂「ドゥオーモ」。その前の広場に設置された巨大なオブジェは、女性の体のよう。なだらかな曲線を描く大きな物体に無数の矢のようなものが刺さっています。周りには、える獣の顔が配置されています。

上原三和撮影

 これはイタリア人デザイナー、ガエタノ・ペシェのインスタレーション。彼は有名家具メーカーB&B ITALIAの「アップシリーズ」を手がけたことでも知られています。巨大な物体は、このメーカーが50年前に出したイスの形をモチーフにしたものです。

女性の現状を象徴

 作品には、「女性に対する暴力への警告」という意味が込められているそうです。現地メディアによると、イタリアでは72時間に1人の女性が殺され、3人に1人は性暴力も含めた暴力にあっているといいます。こうした女性たちの置かれた立場を象徴するものとして、矢を刺したオブジェを発案したのでしょう。
 ただ、このオブジェについては、賛否がわかれたようです。「これは女の体じゃない」と、地元のフェミニスト団体が抗議の声をあげているとも報じられていました。

日本の学生たちが提案したワンルーム

 日本からの出展も多く、日本の学生もユニークな作品を発表していました。
 不動産仲介の「エイブル」(東京)は、デザインや建築を学ぶ学生を対象に行った「エイブルデザインアワード」の優秀作品を展示しました。テーマは、「『Laugh』幸せを呼ぶ空間」。16平方メートルのワンルームの空間デザインで、日本での審査を通過した東京大、京都造形芸術大、多摩美術大と、イタリア、イギリスの学生チームの計5作品をミラノ市内のスタジオで展示していました。

 来場者の人気投票でグランプリに選ばれた東京大学の作品は、茶室をモチーフにした空間。鏡が張り巡らされていて、中に入ると自分の姿が映って、不思議な感覚でした。日本の文化を若い感性で世界に発信していて、頼もしく感じました。
(読売新聞生活部 上原三和)