百貨店のコンシェルジュサービス、洋服選びに一役

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 お客様の個性に合った洋服選びをお手伝いします――。百貨店各社が婦人服のコンシェルジュサービスに力を入れ始めています。各分野の専門家をそろえ、制限時間内なら何度試着してもOKで、買う、買わないは自由だそう。春はイメージチェンジの季節。一人で洋服選びに悩むくらいなら、百貨店の強みを生かしたサービスを利用するのも一つの手かもしれません。

 東京・新宿の伊勢丹新宿店では昨年11月から、「婦人パーソナルコンサルティングサービス~Charming Woman~」を始めました。1回180分で、代金は5000円(税別)。予約については毎月決まった日にホームページ上で予約可能日時を知らせて翌月分の募集を始めますが、「5分もたたないうちに枠がいっぱいになる」(同社広報)ほどの人気だそう。

 何が魅力なのか。実際の様子を見せてもらいました。

 同店の場合、予約した利用客には、あらかじめ電話でどんなシーンで着る洋服がほしいのかなどを聞き取って、できる限りの準備をしておくそうです。

お客様を前にして、まずは専門スタッフによる自己紹介です

 当日は店の正面入り口で待ち合わせます。案内されたのは、婦人服売り場の奥にある広々とした空間。他の人の目が気にならないプライベートな仕様で、自然光を再現したライティングで全身を鏡に映し出すことができます。

採寸をして、肌着選びも同時に進めます。左側はランジェリー・コンシェルジュ

 この日、サービスを受けたのは30代のA子さんで、申し込んだコースは「オフィススタイル」。「仕事着として幅広い年代層の方から好感を持たれて、おしゃれ着にも使えるような服がほしい」という希望です。

 彼女の前に顔をそろえたのは、カラー診断をする「カラーアナリスト」、洋服に関するアドバイスをする「フィッティングアドバイザー」、肌着の専門家「ランジェリーコンシェルジュ」の3人のスペシャリスト。それぞれの分野から顧客にアドバイスしていきます。

 まずはカラー診断。様々な色の布(ドレープ)を顔のそばで次々とめくりながら、顔映りの変化を確かめていきます。瞳の色や髪色、肌色によって、似合うカラーは変わります。目や顔の印象がはっきりした感じに見える色もあれば、逆に、ほうれい線が目立ってしまうケースもあるそうです。A子さんに似合うのは、濃くて鮮やかなロイヤルブルーなどの色。アクセサリーを選ぶなら、シルバー系という診断でした。

 次に、いよいよ試着です。採寸して体形にぴったり合ったランジェリーを身に着け、服を試着していきます。販売担当マネージャーの橿渕かしふち麻衣子さんは「ふだんのお悩みを聞きながら試着を進めていくと、ランジェリーの効果に目覚める方が多いですね。洋服をすてきに見せるのが肌着の役割。それを実感しつつ、ブランドの枠を超えて、時間が許す限り、お客様にいろいろな服を試着していただければ」と話します。

 黒のジャケットをベースにインナーには鮮やかなイエローのセーター、ボトムは落ち感のあるワイドパンツというA子さんのコーディネートが完成しました。

 次に、インナーを白が基調の柄物ブラウス、ボトムには鮮やかなイエローのフレアスカートをコーディネートし、春らしくやわらかい印象に。

 さらに、ジャケットを変えずに、インナーをワイン色のニットへ。ボトムは2色遣いのスカートと合わせてシャープな印象に。パンツスタイルが多いというA子さんですが、黒のジャケットでもコーディネート次第でおしゃれ着に見えるなど、多様な着こなしができるので、すっかり気に入ったそうです。

 180分のコースの最後には、気に入ったコーディネート写真を各スペシャリストからのコメント入りでもらえます。試着したものを買うか買わないかは顧客の自由。とはいえ、申し込み時から必要に迫られている人が多いためか、このサービスの利用客は、トータルのコーディネートで買い求めるケースが目立ち、リピーターになる人も多いそうです。

 こうした婦人服のコンシェルジュサービスは、他の百貨店も取り組んでいます。

 東京・渋谷の東急百貨店では、「パーソナルカラー診断」などによって利用客の個性が引き立つ装いを提案する「婦人・紳士ファッションコーディネートサービス」があります。約90分で3000円(税込み)ですが、4月3日までは予約いっぱいの状態。それ以降の予約は、3月21日午前0時に受け付けを始めるそうです。

 東京・銀座の松屋も3月23日から、「ファッションコンサルティングサービス」を始める予定です。ターゲットにしているのは、管理職の女性。「年齢や立場にふさわしいファッションにしたい」「的確なアドバイスを受けたい」という人で、所要時間は約150分。料金は、2回分で5000円(税別)。ただし、2回目は、初回から1年以内の利用に限定しているそうです。

 ふだんマニッシュなパンツスタイルが多くても、雰囲気を変えたドレッシーな装いもしてみたい。こうしたサービスは、有料ながら、そんな女ごころをとらえているのかもしれません。

 (読売新聞メディア局編集部 永原香代子)