風味に個性、品質向上…ナチュラルチーズ活況

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ラクレットチーズをかけたオムレツ

輸入量最高 品ぞろえ多彩に

 カマンベールやマスカルポーネなどのナチュラルチーズが、食卓や料理店で存在感を高めている。国内で主流のプロセスチーズに比べ、風味が個性的。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の発効で欧州産の輸入増が見込まれる上、品質が向上した国産品も注目され、品ぞろえが多彩になってきた。

 2018年6月、東京・恵比寿に新装開店したチーズ料理専門店「スブリデオ レストラーレ」では、欧米風の料理に欧州産中心の様々なナチュラルチーズを合わせた独自メニューが話題だ。中でも人気なのが「スブリデオオムレツ&ラクレット」(税抜き1600円)。大きなチーズの断面を熱し、溶けた部分をナイフで削り、ふわっとしたスフレオムレツにとろりと絡める。

 オーナーシェフの吉田健志さんは、「独特の見た目と香りを持つ青カビのチーズも抵抗なく食べる人が増え、チーズ文化が浸透したと感じる」と話す。ラクレットなどの料理写真をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に載せる客も多いという。

表面を焼いたラクレットチーズをナイフで削り、オムレツやハムに絡める吉田さん。SNS映えも人気を後押しする(東京・恵比寿の「スブリデオ レストラーレ」で)=西孝高撮影

 ナチュラルチーズは牛乳などを発酵させて水分を除いたもので、作り手の個性が出やすい。これを加熱し、乳化剤を加えて固めると、くせが少なく保存性の高いプロセスチーズになる。

 チーズ料理などの普及に取り組むNPO法人チーズプロフェッショナル協会(東京)会長の本間るみ子さんは、「チーズフォンデュなどのブームを経て、ナチュラルチーズのおいしさに気づく人が増えてきた」とみる。

 農林水産省によると、ナチュラルチーズの輸入量は増加傾向で、17年度に過去最高の26万6980トンとなった。19年2月には日EUのEPAが発効し、欧州産ナチュラルチーズの一部は一定の輸入枠を設けた上で、その枠内で段階的に関税が撤廃される。発効前は29.8%の関税がかかっていたが、毎年約2%ずつ引き下げ、16年目に無税とする。今後、段階的な値下がりが期待できる。

 国産も負けていない。小規模なチーズ工房が、06年の約100か所から17年には300を超えた。15年には「アトリエ・ド・フロマージュ」(長野県)のブルーチーズが、ナチュラルチーズの国際コンテストで最高賞を獲得するなど、品質も向上している。

 国内外のナチュラルチーズを取り扱う、東京・神楽坂の専門店「アルパージュ」ではここ数年、国産品を食べてみたいと訪れる客も増えているという。「種類が豊富になり、クセの強いものから食べやすいものまで、好みに合わせて選べるようになっています」と担当者は話す。

 リクルートライフスタイル(東京)のホットペッパーグルメ外食総研が19年1月、約1000人に行った調査では、チーズ料理が好きな人が90%を占めた。同総研上席研究員の有木真理さんは「溶かして絡めるなどチーズの食べ方や調理法が多彩になり、チーズの伸びる様子がSNSや動画映えする点も、消費者には好評だ。チーズは健康にいいというイメージもあり、外食や家庭での人気はさらに続くのではないか」と話す。

簡単レシピ

 ベターホーム協会(東京)講師の大須賀真由美さんに、家庭でできるチーズ料理の簡単レシピを教えてもらった。

 パルミジャーノあえそばは、和風とのおいしい組み合わせだ。

 1人前を作る。そば80gはゆでて冷水でもみ洗いし、水気を切って器に盛る。オリーブ油小さじ1/2杯を回しかけ、薄く削ったパルミジャーノ・レッジャーノ20gをのせる。いりごま小さじ1/2杯を振り、めんつゆ大さじ1と1/2杯を少しずつかけながら食べる。

 チーズピンチョスは、好きな食材を重ねてようじや串で留めるだけ。ブリーチーズにリンゴ、モッツァレラチーズにオリーブと生ハムなどは親しみやすい味の組み合わせで、おすすめだ。

 大須賀さんは「切り分けて食べる以外の活用法がわからない人も多いのでは。ピンチョスなどから始め、好きなチーズが見つかったら自由に試してみて」と話す。

(読売新聞生活部 福士由佳子)