“痛勤電車” 有料席で快適に

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電源や無線LANも用意

 都市近郊を走る鉄道に、座って通勤できる座席指定・定員制の有料車両が相次いで登場している。通勤ライナーと呼ばれ、さらに土日も運行するサービスも増えている。首都圏や関西方面への出張や観光、子連れでの移動にも便利だ。

※主な運行区間の駅名と鉄道会社。3月11日時点。料金は乗車区間などによって変わる可能性も。TJライナーのみ16日から最大460円に値上げ

 東京急行電鉄は昨年12月、有料指定席「Q  SEAT」を導入した。同社の大井町線大井町駅(東京都品川区)発田園都市線長津田駅(横浜市)行きの急行のうち、平日午後7~11時台の5本が対象だ。7両編成の1両を座席指定制の特別車両とした。

 長距離通勤客の帰宅用で、通常運賃の他に400円の指定料金が必要になる。長距離列車に多いクロスシート座席中心の車両を使い、パソコンなどを使う乗客向けにコンセントや無線LANサービスも用意した。

 京王電鉄は昨年2月、新宿から八王子や多摩ニュータウン方面に向かう、完全座席指定制列車「京王ライナー」の運行を始めた。

 当初は平日と土休日の夜に1日計10本の運行だったが、平日の乗車率が8割を超える人気で、今年2月にはダイヤに余裕のある土休日の夜に本数を3本増やした。また、朝方に新宿に向かう出社・お出かけ用ライナーも平日に4本、土休日に3本を新設した。

 JR東日本は16日のダイヤ改正で、既存の有料通勤列車「中央ライナー」「青梅ライナー」を取りやめ、通勤向け特急「はちおうじ」「おうめ」を新設する。事実上の特急への格上げだ。

 新型車両の投入がサービスの向上につながるのか、料金の値上げになるだけなのか、ライナー利用者の意見は割れている。それだけ愛用者が多いサービスだと言えそうだ。

 関西ではJR西日本が16日のダイヤ改正で、京阪神地区を横断する新快速の一部に、有料座席「Aシート」を設定する。通勤向け特急「らくラクはりま」(姫路―大阪)なども新設する。

 九州では西日本鉄道が、福岡市中心部からの帰宅用に、2020年春をめどに有料列車の導入を検討中だ。

混雑防止に配慮

 通勤客の利用も意識した特別有料列車は以前から運行していたが、最近の通勤ライナーブームの先駆けとなったのが、08年に登場した、池袋と埼玉県小川町などを結ぶ東武鉄道のTJライナーだ。この後、15年に京浜急行電鉄がモーニング・ウィング号を走らせ、各社も追随した。

 通常車両の減便や座席減につながらないかが気になるが、各社はダイヤの増発改正と組み合わせるなど、既存車両の混雑が悪化しない対策を取っているという。

 鉄道会社にとって増収につながると同時に、都心回帰への対策の意味もある。

 鉄道各社は沿線で住宅地を開発することで乗客を増やしてきたが、最近は通勤時間が短い都心部のマンションが人気だ。「タワーマンションか広い戸建てかで迷っている人たちに、ちょっとの追加料金でこんな手も利用できるとアピールしたい」(大手私鉄)との狙いもある。