すべてが計画通りにいくわけではありません。計画通りにいかなかったとき、私たちは「できなかった」理由を見つけるのに注力しがちです。でも、それは言い訳です。
私は6年間休まず、毎日走っているのですが、その理由は乳がん患者の友人に、彼女が治るまで走ると約束したからです。この約束は破ることができないし、この約束がなければ、「疲れてるから」「時間がないから」「忙しいから」などと言い訳を見つけて走らなかったことでしょう。仕事が忙しい時でも、チームメンバーに声をかけてサッと走ってきて、仕事を再開しています。
言い訳を探すのではなく、方法を見つけましょう。自分にとって大切なことなら、何らかの方法を見つけられる、と思います。
私は2年前にがんと診断されたのですが、がんはいろいろなことをやらない言い訳にしやすいと思います。日本語の中で「しょうがない」という言葉はあまり好きではありません。「しょうがない」っていうのは、方法を見つけずに逃げているように思います。方法を見つけないと自分の命が危ないという状況に陥ったら、絶対に方法を見つけると思います。
私の夫は29歳の時にがんにかかり、当時2人の息子は1歳と4歳でした。夫が働けなくなって、車や家のローン、子どもたちの教育費や家のことなどは、私が自分でやる方法を見つけるしかありませんでした。そうでないと家が破綻するからです。その時、プライドを捨て置いて、人にお願いするなどしました。
人生において、高い所を目指したり、大きな夢を持ったりすることは、良いことだと思います。それらを実現するために方法を見つければいいのですから。もし、それで失敗しても、その失敗はダメなことではありません。私の祖母は「失敗していないことは恥ずべきです。だって、自分をあまり伸ばしていないし、チャレンジをしていないから」と言っていました。自分が本当にやりたいことであるなら、失敗したことから学び、もう一度挑戦すればいいと思います。
何が起こるか分からないのが人生です。自分ががんと医者から言われた時、「なんで私が?」と信じられませんでした。そして、今までの生き方を変え、方法を見つけなければいけませんでした。例えば、以前は夫と一緒にワインを飲むことが好きだったのですが、がんになってから医者からは「完全禁酒しなくていいけれど、週1回なら大丈夫」と言われました。その時、悲しいという感情よりも、夫と「週1回しか飲めないのなら、高いワインを選ぼうね」と話していました。
日本では、「自信」は他者から与えられることが多いですね。例えば、「○○大学卒だから自信を持つ」「上司から褒められたから自信を持つ」などですが、それは、裏返すと、他人から言われないと自分ができたかどうかわからず、自信が持てないということです。「自信」は文字通り「自ら信じること」なので、自分がよくできたと思ったら、それでいいのではないでしょうか。自分をもう少し信じてほしいと思います。