花房観音さん 「女」ではなく、「私」を生きる

国際女性デー

 年を取るにつれて、自由になっている感覚があります。

 「若い女」に価値を持たせたがる世の中で、私自身も、昔は若くない女は女じゃないとか、結婚して子どもを産むのが女の幸せだとか、そんな価値観に雁字搦がんじがらめになっていました。

 けれどそんな価値観て、誰が決めたのでしょうか? 年を取るにつれ、様々な経験を経て、いろんな人と出会い、社会に存在する「そういうものだ」とされている決めつけの根拠などないということがわかってきます。

 私はもともと自分が女であることが許せず、女である自分自身を憎んでいました。それは容姿に自信がないというのもありますが、世間が「女はこうあるべき」といったものが全くできず、劣等感を常に抱いていたからです。

 けれど年を取った今は、若い頃の私のように悩んでいる人には、こう伝えたい。

 「女はこうだ」とされているものを、まず疑え、と。そして女として生きるのではなく、人として、自分を生きなさい、と。

 こうあるべきという価値観が強い人ほど、偏見が強くなり、それは自分自身をも縛りつけます。そして誰かに嫌われるとか、他人の目を怖がっているうちに、人生は着実に終わりに近づいていきます。

 死の瞬間、自分の人生は幸せだったと思えるために、自由に、「女」ではなく、「人」として、「世間」ではなく「自分」を信じて生きましょう。

 この世にたったひとりしか存在しない、私の人生を。

花房観音(はなぶさ・かんのん)
作家

京都市在住。京都女子大学中退後、映画会社、旅行会社などに勤務。2010年「花祀り」で第1回団鬼六大賞を受賞し、作家デビュー。12年に発表した「女の庭」など、女の性愛や情念を描いた作品で注目を集める。著書多数。大手小町で「お悩み相談」アドバイザーを務める。