佐藤摩利子さん 「選択」の力

国際女性デー

 私は「女性には教育がいらない」という考えを持つ父のもとで育ち、働き始めてからも、女性であることを理由に差別を受けました。 世界では、女の子に生まれると、生まれてから幼少期、思春期を経て成人し、老年期に至るまで、生涯の様々な局面で困難とリスクに直面します。

 特に途上国では、紛争、災害、格差、貧困といった要因によって、女性や少女の命や人間としての尊厳すら奪われてしまいます。例えば、いま世界では、1年に9000万人の女性が望まない妊娠に直面し、毎日800人の妊産婦が命を落としています。また、3人に1人の女性が身体的・社会的・性的暴力の被害を受けていると言われます。

 国連人口基金では、子宮から墓場まで(womb  to  tombを合言葉に「全ての女性が性や子どもを産むことに関わるすべてにおいて、身体的にも精神的にも社会的にも健康であり、自分の身体に関することを女性自身で決められる、『選択できる』」世界を目指し、世界150か国以上で活動しています。

 女性の健康を守り、女性の可能性を最大限に引き出す環境を作ることが、ジェンダーの平等につながります。そして、これが家族や地域社会の安定、ひいては国家の繁栄と世界平和の礎となると考えます。

 日本では「○○べき」という暗黙のルールが多く存在します。一人一人が、既存の価値観にとらわれず、すべての人が主体的な『選択』ができる社会を一緒に作っていきましょう!

佐藤摩利子(さとう・まりこ)
国連人口基金 東京事務所長

秋田市生まれ。短大卒業後、米国留学。秋田市役所勤務を経て、再渡米し、ニューヨーク州立大学学士号(女性学)取得。邦銀のニューヨーク支店に勤務後、コロンビア大学大学院修士号(国際関係学・開発経済)取得。シティネット・横浜を経て、1998年より国連ハビタット アジア太平洋福岡事務所、ジュネーブ事務所にて、街づくり支援、人道支援を担当した後、バンコク事務所 初代所長に就任。2017年9月より現職。