E・フリーゲンリングさん あなたの夢を追い求めましょう

国際女性デー

 これは私の人生に常に存在する言葉です。私は“ガラスの天井”にぶつかった、アイスランドでの第1世代の女性で、家庭だけでなく、仕事やキャリアを同時に追求した変革の世代です。私より年上の世代、特に私の母の世代は、キャリアをあきらめた女性が多く見られました。だから私の時代には夢を追い求めることは簡単ではなかったのです。もちろん現在の若者たちにしてもそれほど簡単ではありませんが。

 「自立して、自分の人生を生き、家族が欲しい」というのが私の夢でした。私以外の誰かが決めた人生を歩みたくなかったから。そのために、大学院に進学し、法律・法制を学びました。勉強はそれほど好きではなかったけれど、学位を持つことで最終的に自由への一歩をもたらしてくれると思い、勉強を続けました。法制学を学んだことによりどのように社会や社会問題にアプローチするべきかを学ぶことができ、本当に良かったと思っています。卒業後は弁護士の資格を持ちましたが、外務省に入省し公務員になりました。キャリアや職業上、男性と戦うことが非常に多かったのですが、私のキャリアステップは偶然の産物です。だって大使になるとは若い頃は想像もしていませんでしたから。

 素晴らしい男性と結婚し、医師である夫は今、東京で一緒に滞在してくれています。2人の娘は既に成人しているのですが、彼女たちには常々「夢を追求しなさい」と言っています。

 日本に赴任してから、アイスランドについてや、男女平等についての行動、ジェンダー問題についての取り組みを講演しています。アイスランドが国としてどう男女平等などの問題に取り組んできたか、どんな変化が起こり、国民の考えを変えてきたかを話しています。日本の若い女性は真剣に聞いてくれています。自分たちの母親世代と全く同じようにはしたくないと考えているように見えます。

 学校での講演では、特に女子学生に向けて「夢を追い求めなさい。妥協せず、自分自身で選択しなさい」。そして「知識を広げなさい」と話しています。ある時、「これが夢」と思っても、進路の途中で変わることもあります。やりたいことを見つけて、それが後にそうではなくなったとしても、トライするべきだと思います。

 失敗しても心配はいりません。娘たちがショックを受けたり、何かに失敗したりした時にはいつも、それは自分の「エクスペリエンス(経験)バンク」に蓄積できるからいいのよ、と言います。これは自分が持てる最高の“銀行”です。そして、これを積み重ねていけば常に最高の利息をつけてくれるのです。

エーリン・フリーゲンリング(Elin Flygenring)
駐日アイスランド共和国特命全権大使

アイスランド・ハフナルフィヨルズル生まれ。2018年3月に駐日アイスランド共和国特命全権大使として就任。アイスランド大学やストックホルム大学院で法律・法制を学ぶ。在アイスランド男女平等評議会事務局長、在ドイツアイスランド公使参事官、アイスランド外務省北欧局局長兼政治局副局長、在フィンランドアイスランド大使などを務める。現在は大使として、日本とアイスランド両国間の外交的交流だけでなく、芸術文化や食文化、ビジネス、エネルギー分野や技術分野などの交流促進に励む。