女性の働き方を考えるシンポジウム「#for your smile」(前編)

国際女性デー

女性の働き方について考えた後、来場者が登壇者を囲んで記念撮影

 OTEKOMACHIは、3月8日の「国際女性デー」にちなんで、これからの女性の働き方などを考えるシンポジウム「#for  your  smile 自分らしく生きるために 働く女性のエンパワーメント」を東京都内で開催しました。UN Women(国連女性機関)日本事務所の石川雅恵所長のプレゼンテーション、イー・ウーマンの佐々木かをり社長の基調講演に続いて、サイボウズ社長の青野慶久さん、スポーツコメンテーターの杉山愛さん、関西学院大学客員教授の大崎麻子さん、エスキャリア社長の岡本真梨子さんら5人によるパネルディスカッションが行われ、女性が働きやすい社会の推進に向けた課題などについて、活発な議論が交わされました。シンポジウムの模様を前・後編に分けて紹介します。

プレゼンテーション「グローバルな視点で見る女性のエンパワーメント」

UN  Women(国連女性機関)日本事務所長 石川雅恵さん

石川雅恵さん

 皆さんは「SDGs(エスディージーズ)」という言葉を聞いたことがありますか? 2015年9月の国連サミットで採択された持続可能な開発目標のことで、2030年までに達成する目標が掲げられています。その中で「目標5」として掲げられているのが、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントです。しかし、ジェンダーの不平等は今も、社会のあらゆるところに深く根付いています。あと11年で目標を達成することができるのかどうか。もっと危機感を持って臨む必要があります。

 日本は経済大国、先進国と言われていますが、ジェンダーに関しては発展途上国です。例えば、家事や育児、介護など無償の労働は、圧倒的に女性が負担しています。働きにくさや生きにくさを感じている女性も少なくありません。

 世界の現状を見ても、女性はジェンダーに基づく賃金格差に直面しています。また、基本教育や保健医療へのアクセスを拒否される傾向にあり、例えば、低所得国の女性は、小学校に入っても3分の1が修了できません。そして、女性の3人に1人が精神的、肉体的な暴力を受けています。非常に悲しい現状にあるのです。

 エンパワーメントとは何でしょうか。英語としての「Empowerment」の意味は「力をつけること」です。では、どういう力をつければいいのか。もちろん、腕力ではありません。「意思決定の力」「選択する力」「交渉する力」――そういう力をつけることが「エンパワーメント」なのだと、私は考えます。

 かつて、日本では「女性は文系の方がいい」「子どもを産むのは女性の仕事」「女のくせにでしゃばるな」などと言われ、女性は政治的、経済的意思決定のプロセスに十分に参画できませんでした。現在も、女性が「こうしたい」と思っていることに対する障壁、バリアがあります。例えば、「技術者になりたい」「仕事を続けたい」と思っても、それを妨げる壁が立ちふさがります。その障壁をどうやって壊していくか。これが、今年の国際女性デーのテーマでもあります。

 1975年の国際婦人年に、国連は3月8日を国際女性デーと定めました。2019年のテーマは「平等に考え、聡明に構築し、変化に向けた革新を」です。

 日本語だと分かりにくいので、具体例をあげると、新たにビルを建設するとき、トイレの数を男女同数にしてはダメ。女性は個室に入りますし、男性より何かと時間がかかります。女性のニーズを考えたら、女子トイレの数を増やすべきなのです。そのように、何かを作るときには、女性が使いやすいように考えなくてはいけないということ。何万年も続いている世界の歴史で、いまだにジェンダー平等が達成されていないのなら、やはり今までとは違う発想をしなければいけないというのが、国連のテーマなのです。

 あなたにとって、自分らしく生きることを阻む「壁」は何でしょうか。その壁を打ち砕くための助けになるのが、「イノベーション=革新」です。アニメのドラえもんの歌を思い出してください。「こんなこといいな できたらいいな」という歌詞があります。このマインドこそ、すごく大事。自分が大変だと思っていることを、「こんなことがあれば良くなるのでは」と考えることが、イノベーションの第一歩なのです。

【プロフィル】石川 雅恵(いしかわ・かえ) 国連本部及び地域・国事務所で約20年間、資金調達などに従事。日本政府国連代表部専門調査員、UNFPA(国連人口基金)の資金調達官などを経て、17年10月から現職。

基調講演「ダイバーシティー時代の生き方・働き方」

イー・ウーマン社長 佐々木かをりさん

佐々木かをりさん

 私は、6年ほど報道番組「ニュースステーション」のリポーターをしていました。きっかけは、翻訳の仕事をくださった方の紹介で、スタジオ見学に行ったこと。その見学中に、「出演者の席に座ってみますか?」と促されました。よくわからずに座ると、カメラが回り始め、先ほどまで案内してくれていた男性が私の隣に座って面接を始めたのです。その後、リポーターの仕事が決まりました。これが私のニュースステーションの始まりです。全部に何か小さな、一つ一つの選択があるんですね。チャンスは小さな選択の集まりです。

 リポーターとしていろんな国を見てきましたが、「ダイバーシティー(多様性)」とは一体何でしょうか。これを「女性活躍」の意味と間違えてはいけません。

 もちろん、女性活躍は今の日本にとって、とても重要です。世界経済フォーラムの調査によると、社会進出における男女格差を示す指標「ジェンダーギャップ指数」でここ数年、日本は140か国ほどの中で100位前後と低迷しています。一方、成人のスキルを評価するOECDの「国際成人力調査」では、2分野で男女とも世界で1位なのです。

 つまり日本は、女性という大切な資源を生かせていないということが、データから見えてきます。経済的にも女性を活躍させることは、日本経済にとって大きな意味を持ちます。

 グローバル時代、IT時代になった今、いろんなタイプの人がひとつの組織を支えることが求められています。

 ダイバーシティーとは「視点の多様性」を言います。女性や外国人、障害者といった多様な人材をただチームに入れるだけでなく、その人たちの声を聴く必要があります。いろいろな人が様々な意見を出すことで、新しいモノやイノベーションが生まれ、収益を生む企業に成長していく。それが、ダイバーシティーの目的なのです。

 では、組織で働く私たち一人ひとりは、何をすればいいのでしょうか。

 社員が成果を上げた分だけ昇格できるというすてきなルールを会社が作ったとしても、社員が貢献しなければ変わりません。

 組織に所属さえすれば確実な将来が得られる時代は終わりつつあります。自分が働く価値は何なのか。個人が組織に貢献することが求められています。

 そんな人材になるためのキーワードを三つ紹介します。

 一つ目は、「自分をマネジメントする力」。

 人間は、ハッピーなときに一番大きな力を出します。逆に、落ち込んでいるときは、全然やる気が出ない。だから、どうやって自分をハッピーにし続けるのか。様々な方法がありますが、誰もに成果が出るのが、手帳で「自分を予約する」時間管理術です。時間を見て、自分を思い通りに動かして、空いている時間を見つけて、主体的に自分を動して成果を出していきます。

 二つ目は、「提案力」。

 私は、誰かに意見を求められたとき、「私はこう思います」と、「私」を主語にして自分の体験に限定して話をします。これを「アイ・ステートメント」といい、他人を批評せずに、自分の体験や意見に限定して話す手法です。

 多様性の時代、会議室に10人が集まったなら、10、20通りの意見が出てほしい。訓練の一環として、イー・ウーマンサイト内に「働く人の円卓会議」という議論の場を設けています。自分の体験と意見に限定して話す練習を重ね、また、多様な意見を読み、考え方を広げ、再度考え方を選び議論する。様々なシーンで建設的に自分の意見を言えるようになってほしいと思います。

 最後の一つは、「ネットワーク」。

 自分が前進できる場所、仲間とつながり、互いに成長してほしいと思います。人と出会うことで、自分の内側のダイバーシティーは広がります。いろんな意見を聴く耳を持つことで、ダイバーシティーな社会で役に立つ人となっていきます。

 ダイバーシティの時代になりました。一人ひとりが貢献・活躍することで、組織が変わり、社会も変わります。ぜひ、一緒に歩んでいきたいと思います。

【プロフィル】佐々木 かをり(ささき・かをり) 2000年にイー・ウーマン設立。企業のダイバーシティーのコンサルティングなどを行う。上場企業の社外取締役や政府審議会委員を務め、報道番組のリポーターなどを歴任。2児の母。


 ※女性の働き方を考えるシンポジウム「#for  your  smile」(後編)