モード界の「帝王」
フランスの「シャネル」やイタリアの「フェンディ」といった高級ブランドのデザインを長年手がけてきたファッションデザイナーのカール・ラガーフェルドさんが2月19日、パリ郊外の病院で亡くなりました。85歳でした。
ラガーフェルドさんといえば、「帝王」と呼ばれ、モード界のトップに君臨していた人。それだけに、欧米のメディアは大々的に報道しています。欧米の新聞やファッション雑誌のインスタグラムやフェイスブックも、亡くなった直後からタイムラインはラガーフェルドさんのニュース一色となりました。
写真や動画をアップして、思い出をつづるデザイナー仲間やモデルたちが後を絶ちません。いかに影響力の大きい人だったかが、よくわかります。
シャネルの躍進に貢献
ドイツ出身のラガーフェルドさんは、1965年に「フェンディ」やフランスの「クロエ」のデザイナーに就任。フェンディでは、夜会用だった毛皮のコートを日中でも着られる現代的な装いに変えていくなどして、ブランドを大きく躍進させました。
83年には「シャネル」のデザイナーに。当時のシャネルは、決して勢いのあるブランドとはいえませんでした。ラガーフェルドさんは、シャネルスーツやキルティングのバッグなど、創業者の女性デザイナー、ガブリエル・シャネルが残した数々のスタイルを再解釈した製品を次々に提案。また写真家としても活躍し、ファッションショーの招待状の絵も自ら描くなど、多才な人でした。
現代的なシャネルの世界を作りあげ、日本でも「シャネラー」という熱狂的なファンを示す言葉が生まれるほどの人気を博すようになりました。
度肝を抜くショー
パリで行われるシャネルのプレタポルテとオートクチュールのファッションショーは、パリの歴史的建造物であるグランパレで開かれていますが、毎回、規模の大きさと意表をついたセットに度肝を抜かれます。過去のショーで見せたのは、パリの街角やスーパーマーケットを模したセット、昨秋のパリコレでは、波が打ち寄せる海岸が出来上がってしまい、「どこまでやるのか」とまたまた話題に。

ダイエットでも話題
ところで、ラガーフェルドさんといえば、白髪をまとめたポニーテールに黒の細身のスーツ、銀のアクセサリーに黒革の手袋がトレードマークです。かつて「ディオール・オムの細身の服が着たい」と40キロ・グラム超の減量をして、ダイエット本も出版するなど、話題には事欠かない人でした。
愛猫に遺産相続?!
デザイナーの死を惜しむ声はおさまりませんが、今、SNS上で話題になっているのが、ラガーフェルドさんの愛猫「シュペット」のこと。ラガーフェルドさんの遺産を一部相続するのではないかと噂されています。
3月5日にはパリでシャネルの2019~20秋冬もののショーが開催される予定です。どんなショーになるのか、世界中が注目しています。
(読売新聞編集委員 宮智泉)