満員電車で痴漢に遭った! 私たちにできることは?

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 通勤中の満員電車で、痴漢に遭遇したという20代女性の体験談が、読売新聞の掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。「痴漢は犯罪です!」という啓発ポスターを見かけるようになってきましたが、被害に遭ったとき、私たちにはどんなことができるのでしょうか。この投稿に寄せられた対処法・撃退法を紹介します。

 トピ主「恐くない女」さんは、ある朝、身動きとれないほど混雑した通勤電車の中で、痴漢に遭遇したそうです。「声を上げるのは勇気がいるし、今後も毎日乗る電車なのに周りの目とかも気になるし、電車を降りて駅事務室まで痴漢を連れて行くことがまず怖い……と、ぐるぐる考えてしまいました」とつづっています。

声を上げるのは勇気がいる

 結局、トピ主さんは、混雑して首だけしか動かせない車内で、手の持ち主と思われる人物を特定。その人物と目が合ったので、「力の限りにらみつけ、身をよじって『やめろ』の意思表示をしたら、触るのをやめた」と言います。

 ただ、難を逃れた後で、「こういう人はきっと警察沙汰にならないと反省しないのでしょうか」「一応、『あなたね、顔を覚えましたからね』という気持ちを込めて精いっぱいの鋭い視線を長めに向けるなどしたのですが、女の私がギッとにらんでみたところで、きっと怖くなんかないですよね」と悔しい気持ちになったそうです。

 この投稿には様々な反響がありました。

 

安全ピン・爪を立てる・正拳 

 同じような痴漢被害に遭った女性たちからは「一時期、安全ピンを持ち歩いて、現行犯の手に『ぷす』っと突き刺してやったことがあります」(「桜餅」さん)、「手を握ってくる痴漢に、握り返すと見せかけて手首をにぎって引き寄せて、親指の爪の付け根に思いっきり爪をたててやりました」(「あかふくん」さん)、「うちの娘はどてっ腹に正拳食らわせたそうです」(「emjin」さん)など、勇ましい撃退談も。いずれも気の弱い犯人だったのか、すごすごと逃げ出していったそうですが、犯人に逆ギレされる危険もあるので、まねはしないでほしいものです。

 「きちんと言う」と投稿してきたのは、「auntie」さん。痴漢に遭遇したとき、「人の足を勝手に触らないでください」と犯人の顔を見て言ったそうです。周囲の人も一斉に犯人の顔を見て、犯人は次の駅で下車。「auntie」さんの周囲の女性たちがほほえみかけてくれたそうです。

SNSで知った言い回し「痴漢と間違われますよ」

 「やまと」さんは、SNSで知った言い回しを投稿しました。痴漢に、「痴漢に間違われますよ」「痴漢と思われますよ、気をつけた方がいいですよ」と言葉をかけるのだそう。「誰も傷つけない。冤罪えんざいも防げる。痴漢もきっとやめるだろう。周りの人も用心してくれるでしょう。こういうことがスッと言えるといいですね」と指摘します。

 「真後ろとは限らない」と投稿してきたのは、「通りすがり」さん。高校生のとき、車内でおしりを触られましたが、その手をつかんで「この手は誰だ!痴漢でーす」と声を出して後ろを向いたところ、「その男は、斜め後ろの後ろから手を出していたので驚いた」そうです。

 「ぜひその痴漢している手を捕まえて『私のお尻触っているこの手、誰のですか?』と大声で叫んでください。それだと現行犯ですから」(「白木」さん)など、冤罪を避けるためにも、声を上げてほしいという投稿が目立ちました。

だれもが被害に遭う可能性

 警視庁が2018年に発表したデータでは、迷惑防止条例違反の51%が電車内で起きており、駅構内20%、店舗内11%が続きます。発生時刻で最も多いのは午前8時ごろ。混雑していて、駅と駅の間が長い電車で多く発生しています。

 痴漢の加害者調査(警察庁・2010年発表)では、被害者を選んだきっかけ(複数回答)は「偶然近くにいたから」が50%で最も多く、「訴え出そうにないから」は9%。被害者に目を付けたのは「検挙されたその日」が80%と高く出ました。つまり、だれもが被害に遭う可能性があるということになります。

痴漢の出没する、危険な場所は?

 セコム(東京)では、女性の暮らしに潜む危険の数々を、ホームページ上で「こんな時どうする?防犯対策ファイル」として紹介しています。
 電車の中の痴漢対策として、特に注意が必要な場所に挙げているのは次の三つ。

 <1>大きな駅の改札口に近い車両→痴漢にとって逃げ道が作りやすい

 <2>車両の端(連結部に近いところ)→奥まった場所で、被害者にとって逃げ場がなく、ほかの乗客の目が届きにくい

 <3>ドア付近→一番混雑する場所なので、接触が容易。特に、急行・快速など停車しない区間が長い場合や、停車しても開かないドア付近は要注意

防犯ブザーやアプリ活用も視野に

 セコムの女性社員でつくる「働く女性の安全委員会」リーダーの寺本美保さんは「なるべく危険な場所は避けましょう。痴漢に遭遇してしまった場合、声を上げることが難しければ、防犯ブザーを作動させることで、周囲の目を一斉に引くことができるので、痴漢行為をやめさせる効果があります。また、勇気を持って通報することは、第2の被害者を発生させないためにも大切です」と話します。

 便利なアプリも活用できます。警視庁のスマホ向け防犯アプリ「デジポリス」には、痴漢被害に遭った場合に「痴漢です。助けてください」と大きな文字で画面表示する機能があります。画面をタップすると、画面が黒から赤に反転し、マナーモードにしていてもデジタル音声で「やめてください」と大音量の声が流れます。

警視庁のスマホ向け防犯アプリ「デジポリス」の痴漢撃退画面。画面をタップすると、右の赤い画面になって「やめてください」と声が流れる

 
 できるだけ危険な場所を避けつつ、被害に遭ったときは、声を上げること、行動すること。それには、日頃からの心構えが必要なのかもしれません。

 (読売新聞メディア局編集部 永原香代子)

【紹介トピ】満員電車で痴漢された時のスマートな対処法