ジュネーブで見つけた注目の新作ウォッチ

News&Column

Haud Remy-Lonvis /(C)Cartier

 まだまだ寒いものの、確実に春の息吹を感じる季節になった。少しずつファッションが軽やかになってくると、腕元にアクセントが欲しくなる。そう、春は“腕時計の季節”なのだ。
時計大国スイスでは、春前に新作時計の発表会が行われる。1月のジュネーブで開催されたのは、カルティエを筆頭に多くのラグジュアリーメゾンが参加するS.I.H.H.(Salon International de la Haute Horlogerie)と、フランク ミュラーを軸とするウォッチランドグループが主催するWPHH(World Presentation of Haute Horlogerie)という、二つの時計展示会。いずれも招待客のみが参加できる特別なイベントである。

 昨今のスイス時計業界では、メンズウォッチ市場の伸びが頭打ちになりつつある。そのため今年は、どのブランドもレディースウォッチに力を入れてきた。一時期はマスキュリンなスタイルが好まれたが、今年は小ぶりなケースやフォルムに凝ったデザインなど、より女性的で可憐かれんなレディースウォッチが増えているのが特徴。これはうれしい傾向だ。腕元に飾る華やかな新作時計と共に、新しい季節を楽しみたい。

アイコンウォッチにミニサイズが登場

Cartier

パンテール ドゥ カルティエ ウォッチ ミニ /(C) Cartier

 ジュエラーでありながら、時計メーカーとしても名高いカルティエ。今年の注目モデルは、2017年に約30年ぶりに復活し、すぐに“マストハブ”な時計となった「パンテール」に加わったミニサイズだろう。角形の可憐なフォルムをそのまま小さくしており、ジュエリーの重ね付けをするなど、多彩な楽しみ方ができるように。「パンテール ドゥ カルティエ ウォッチ ミニ」。クオーツ、18金イエローゴールドケース(25×21㎜)。185万円(税抜き・予定価格)。6月発売予定。

インスピレーションをかき立てる時計

Hermès

ギャロップ ドゥ エルメス/ (C) Calitho

 エルメスは時計デザイナーを起用しない。他業種の才能を取り入れることで、業界の常識に縛られずに創造性を発揮するためだ。今回起用したのは、デザイナーのイニ・アーシボング。あぶみや馬具のフォルムを取り入れつつ、緩やかにカーブさせた流線形の「ギャロップ ドゥ エルメス」は、小石にも宇宙船にも見える。この時計は想像力を刺激するものなのだ。クオーツ、18金ピンクゴールド×ダイヤモンドケース(40.8×26㎜)。178万円(税抜き・予定価格)。6月発売予定。

知性とエレガンスを持ち合わせる

JAEGER-LECOULTRE

レベルソ・クラシック・スモール

 スイス屈指の技巧派ブランドであるジャガー・ルクルトは、時計好きの男性にとっても憧れの対象。特に長方形ウォッチの大傑作「レベルソ」は、20世紀初頭のパリで花開いたデザイン様式アールデコのスタイルを受け継いでおり、80年以上も愛され続けてきた。今年の「レベルソ・クラシック・スモール」は、ピンクゴールドを使うことで、華やかさが増している。手巻き、18金ピンクゴールドケース(35.8×21㎜)。135万円(税抜き)。今夏発売予定。

流れ去る時間が喜びになる

FRANCK MULLER

ヴァンガード レディ クレイジー アワーズ

 多忙な毎日の中でスケジュールに追われるように暮らしていると、時間が“敵”に思えてくる。だからフランク ミュラーは、流れる時間そのものを楽しめるような時計を作った。「ヴァンガード レディ クレイジー アワーズ」は、ビザン数字のインデックスがランダムに配置され、時針があちこちにジャンプして時を刻む。今、何時かな? と時計を眺める行為が、楽しみに変わるのだ。自動巻き、18金ピンクゴールド×ダイヤモンドケース(42.3×32㎜)。390万円(税抜き・予定価格)。発売時期未定。

シンプルの中に可憐さが宿る

BAUME & MERCIER

クラシマ レディス

 1830年の創業以来、一度も途切れることなく良質な時計を作ってきたボーム&メルシエは、スイス屈指の老舗だが価格は控えめに抑えている。理知的なデザインが得意で、この「クラシマ レディス」もシンプルで使いやすい。しかしマザー・オブ・パール製ダイヤルやダイヤモンドインデックスによってさり気ない華やかさが加わるので、ドレスアップのアクセントにもなる。自動巻き、ステンレススチールケース(27㎜)。31万円(税抜き・予定価格)。4月発売予定。

問い合わせ先

カルティエ カスタマーサービスセンター (0120-301-757)

エルメスジャポン(03-3569-3300)

ジャガー・ルクルト(0120-79-1833)

フランク ミュラー ウォッチランド東京(03-3549-1949)

ボーム&メルシエ(03-4461-8030)

篠田哲生(しのだ・てつお)
時計ライター

 講談社「Hot・Dog press」を経て独立。骨太な時計専門誌からファッション誌、ビジネス誌、WEBなど、様々な媒体で時計記事を担当し、トークイベントへの登壇も多い。時計学校を修了した実践派であり、年に数回はスイスでの現地取材も行っている。著書に『成功者はなぜウブロの時計に惹かれるのか。」(幻冬舎)。