おみくじ、吉か凶かよりも知っておきたい楽しみ方

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 お正月の初詣。家族や恋人と神社を訪れておみくじを引いたのに、良い結果が得られず残念……という人もいたようです。掲示板サイト・発言小町にも「ひどい内容のおみくじを引きました」という投稿がありました。トピ主の「たろすけ」さんは20代。ある神社の境内で、自分の誕生日のものを引いたら、「青年期から壮年期の間は運に恵まれない」と断言調で書かれていてショックを受け、思わずゴミ箱に捨ててしまったそうです。“当たるも八卦はっけ、当たらぬも八卦”とも言われますが、おみくじはどう扱うのがいいのでしょうか。

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メッセージをどう読み解くか 

 「神さまの声をきく おみくじのヒミツ」の著書もある成蹊大学文学部教授・平野多恵さんは「おみくじは神仏のことばですから、持ち帰って折に触れて読み返すのがよいですよ」と話します。平野さんの専門は日本中世文学。おみくじや和歌占いの文化史を研究しています。

  平野さんによると、おみくじには、「和歌」(神社のおみくじに多い)や「漢詩」(寺院のおみくじに多い)が書かれたものが多く、詩歌の下にはその意味が解説してあることが多いそうです。「同じ和歌や漢詩でも、読む人によって感じるところが違います。まずは、それを神さま、仏さまからのメッセージと思って、じっくり丁寧に読むことをお勧めします。吉か凶かというラべルは二の次。自分の心に照らして、気になった言葉や内容を、ご家族や恋人同士でおしゃべりし合ったり、書き留めたりしておくといいんですよ」と平野さん。

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吉凶のラベルよりも内容

  一緒に神社に行った人たちの間でおみくじを見せ合うと、「大吉」のはずなのに、内容があまり良くなく、「~に気を付けなさい」ということばかり書かれていたり。逆に、「小吉」なのに、仕事も夫婦関係も順風満帆と書かれていて、「大吉」よりもずっと良い内容だった、などということもあります。文言までじっくり読んでこそ、その違いがわかるのかもしれません。

厳密な意味では「おみくじ」と言えない

  たろすけさんの場合の誕生日ごとのおみくじは、平野さんによると、「おみくじ」とはいえないそうです。「おみくじ」とは神仏に祈ったあとで複数のものから無作為に一つを選ぶ、いわば「神聖なくじ」であるため、あらかじめ誕生日で内容が決まっているのであれば、生年月日で占う四柱推命や占星術に分類されるといいます。

  神社の境内に出ていたのだから「おみくじ」と思いがちですが、厳密には「おみくじ」とはいえないものもあるんですね。

持ち帰るか奉納場所に

 また、「たろすけ」さんがおみくじの紙をゴミ箱に捨てたことについて、批判の反響がありましたが、おみくじに関しては様々な俗説が流布していて、歴史的なエビデンスをふまえたものは少ないと平野さんは指摘します。

 「本当は家に持ち帰ってじっくり読んでほしいと思いますが、家に持ち帰らずに、やはり神社や仏閣に奉納したいという人は、神さま仏さまにアドバイスいただいたことを感謝して境内の所定の場所に結びつければよいのでは」と平野さん。

  木に結びつけることは江戸時代から行なわれていたようですが、由来は不明だそうです。最近は、境内の木の生育に支障が出るので木に結ばないでほしいと考える神社や仏閣が増え、縄を張った奉納場所が用意されています。

  おみくじのメッセージをどう読み解くかという視点に立てば、良い・悪いはあまり気にならなくなるかもしれません。

  (読売新聞メディア局編集部・永原香代子)

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