働くママを支える「託児室付き貸しオフィス」続々

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子どもを預けながら働くイラストレーター・えのきのこさん(東京・多摩市のコワーキングスペース「CoCoプレイス」で)

 託児スペースのある貸しオフィスなどを利用しながら、子育てと仕事を両立させる女性が出てきています。子どもの顔が見える距離で安心感を得ながら仕事ができるといい、働き方の多様化にあわせて様々なニーズがあるようです。

 神奈川県に住むイラストレーター・えのきのこさん(42)には、5歳の男の子と生後8か月の女の子がいます。書籍のほか、雑誌やウェブサイトでも連載を執筆しているため、上の子は保育園に通わせていますが、下の子を出産するときに「2人目は1年ぐらい、自宅で仕事をしながら成長を見守りたい」と考え、あえて入園の申請はしませんでした。

 ところが、下の子がつかまり立ちやはいはいが上手にできるようになると、「子どもが眠っている時間にしか仕事ができなくなって、これでは(仕事の)締め切りに間に合わないと焦るようになったんです」(えのきさん)。

 ママ仲間からのアドバイスをもとに、有料で短時間だけゼロ歳の子どもを預かってくれる施設を探し始めました。そして、自宅の最寄り駅から2駅離れた場所にある託児スペース付き貸しオフィス「コワーキングCoCoプレイス」(東京・多摩市)に通うようになりました。

 「コワーキングCoCoプレイス」では、登録企業のほか、えのきさんのような個人事業主にも有料で事務スペースを提供しています。会員は前日までに予約を入れれば、併設の保育室で、保育士や看護師などの資格を持つスタッフが子どもを預かってくれます。保育料は、1時間1000円(税抜き)。

 えのきさんは1日5時間、仕事の多い時は週3回のペースで下の子を預けるといいます。「保育料だけで1日5000円だから負担は大きい。それでも、子どもとこれだけ近い距離で、自分の仕事に集中できるので安心感があるし、大助かりです」と話します。

 「コワーキングCoCoプレイス」は2018年3月にオープンしました。現在、約60人がスポット保育の利用登録をしているそうです。運営会社「キャリア・マム」広報の田村真理さんは、「出産や育児を機に、会社の時短勤務制度を利用したり、起業やスキルアップを考えたりと、働き方を変えてみたいと思う方は多いです。そうした女性たちを柔軟に支える受け皿になれれば」と話します。
 

新ブランド「ZXY(ジザイ)」の説明会では、郊外に多数の拠点を整備していくイメージが出された

 2016年から法人向けのサテライトオフィス「ちょくちょく…」を首都圏41拠点で展開しているザイマックス(東京都港区)では、オフィスのブランド名を2018月12月から「ZXY(ジザイ)」に改め、2020年までに拠点数を100に増やす計画です。現在、キッズスペース付きのサテライトオフィスは8か所あり、2019年3月までに15か所に増やす予定です。
 
 専門スタッフが常駐するキッズスペースの対象年齢は1歳から12歳。保育施設ではないため、親が同じオフィス内にいることが子どもを預ける条件になるそうです。利用するには、会員企業が別途オプション契約を結ぶことが必要で、月額10万円の固定料金(2019年3月までは5万円)のほかに、子ども一人につき15分ごとに500円の従量料金がかかりますが、多くの企業から引き合いがあるといいます。

「ZXY(ジザイ)」のキッズスペース。奥には、親の働くスペースからそっと子どもの様子を見ることのできる窓もある(東京・三鷹で行われた内覧会で)
新ブランド「ZXY(ジザイ)」では、リラックス効果のあるヒノキの無垢材を多用していくという

 同社経営企画部の吉田泰基さんは「子どもが小学生になっても、学級閉鎖で突然休みになり、仕事を休まざるを得ないお母さんはいます。そういう方の声にこたえて対象年齢を設定しました。キッズスペース付きのサテライトオフィスが自宅の近くにあれば、いざというときに安心でしょう。まずは15か所で整備していくことになりました」と話しています。

(読売新聞メディア局編集部・永原香代子)