話題のイケメン製硯師 「年末感謝状」のススメ  

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 国内外を旅してすずりにする石を探し、東京・浅草で硯を造る製硯せいけん師の青栁貴史さんは、毎年この時期に、その年にかかわった人を思い出しながら、「年末感謝状」をしたためています。「年に一度、心のすす払い。1年をしっかり振り返ると、新しい年をすがすがしい気持ちで迎えられますよ」と青柳さん。忙しいからこそ、立ち止まってみるのもよさそうです。

  青栁さんは仕事柄、毛筆で手紙を書くことが多く、年賀状も出しています。それに加えて3年前から、年末に2~3時間かけて年末感謝状を書くようになったそうです。

 

〇〇様

あのときは素直になれず、生意気を言いました。

 

△△様

迎えに来てもらえて、本当に助かりました。

 

 今年1年間に自分のかかわった人やコト、モノを振り返り、ひとりひとりに1行で感謝やおびなど自分の気持ちを書いていきます。コメントを1行にまとめるのがポイントだそうです。そうすることで、その人との関係をよくよく思い出し、心に刻まれると、青栁さんは考えています。

  始めたきっかけは、「あまりにも忙しくて、お世話になった気持ちや反省などを感じる間もなく、年をまたいで関係が続くことに疑問を感じたから」だといいます。

  感謝状は誰にも見せず、封をしてしまっておきます。あくまでも自分自身を振り返るための行為だからです。うまく書こうとする必要もなく、「相手には見せないし、誰も見ないので、字が下手でも、行から文字がはみ出ても、気にしなくていいんですよ」。

  用紙は何でも構いません。芳名帳でもいいですし、巻紙でも。ただ、自分で紙を選ぶのも楽しみになるので、普段から外出時などに探しておくといいでしょう。

  筆記具は筆でなくても構いませんが、青栁さんは若い世代にもっと気軽に毛筆を使ってほしいと考えています。そこで、アウトドア用品のモンベル(本社・大阪市)と携帯用のセットを共同開発中だそうです。東日本大震災で大きな被害を受けた硯の産地、宮城県石巻市の雄勝石おがついしをくぼみのない板状の硯にし、筆と墨、水差しとセットにする予定です。これなら出すのもしまうのも場所をとりません。

  相手を思い浮かべ、ていねいにゆっくりと名前を手書きする。「最近は人の名前を書くことも、めっきり減りましたから」。こうして、年末感謝状をしたためれば、また新たな気持ちで人と接することができ、よりよい関係が築けるかもしれません。 

青栁 貴史(あおやぎ・たかし)
製硯師

 1979年生まれ。硯の製作、修理、復元、プロデュースを行っている。著書に「硯の中の地球を歩く」(左右社)。テレビ番組「情熱大陸」で取り上げられ話題に。