トラブル続発…美容医療で痛い目に遭わないために

弁護士三輪記子の「女もつらいよ!」

 きれいになりたい――。女性なら誰もが抱く願いをかなえてくれるのが、美容医療です。

 私が実際に受けたことがあるのは、ホクロ取りや、肌をきれいにする「ニードリング」「水光注射」「ピーリング」「フォトフェイシャル」といった施術です。私の場合は率直に言って、「できるだけきれいになりたいな。しかも楽チンな方法で」といったところ。痛いのは基本的に嫌ですし(上記施術のうち、切ったり貼ったりするわけではありませんが、「痛い」ものもあります)、後戻りできない怖さや経済的なプライオリティーの問題もあって、美容医療に深く踏み込む勇気は持てていません。

 私自身は今のところ、施術を受けて問題が発生したことはありません。しかし、美容医療はトラブルが多いのも事実です。だいぶ前になりますが、ある女優さんが乳首を小さくする美容形成手術を受けたら、乳首そのものを失ってしまったというニュースもありました。

痛みや障害残り訴訟に

 近頃は、皮膚の下に化学物質を注射して顔のしわを取ったり鼻を高くしたりする「フィラー施術」が、メスを使わない「プチ整形」として人気を集めています。しかし、それに伴い、フィラー施術を巡るトラブルが増えていて、訴訟になるケースも出ています。奈良市内の美容整形外科でフィラー施術を受け、鼻や頬に痛みやしこりを感じるようになった女性が今年7月、美容整形外科側に慰謝料など約1400万円の損害倍層を求めて大阪地裁に提訴。9月にも、大阪市内の女性が、施術によって口が開きにくいなどの障害が残ったとして、同地裁に提訴しています。

 フィラー施術を巡る裁判には、いくつかの先行事例があります、被害者が美容クリニックを説明義務違反で訴えたものの、裁判所が医師の説明義務違反を認めず原告の訴えを棄却したケースや、反対に裁判所が原告の訴えを認め、美容クリニック側に損害賠償金の支払いを命じる判決を出したケースがあります。つまり、美容医療によって被害が発生したからといって、必ずしも医師の責任が認められるわけではないということです。

「NO」と言うべきときに「NO」を

 美容医療で文字通り、痛い目に遭わないためにはどうすべきか。国民生活センターは消費者へのアドバイスとして、(1)リスクがなく、簡単にきれいになれるとうたう広告をうのみにしない、(2)医師の担当する範囲や施術の流れを十分に確認する、(3)想定した金額より高額な料金を提示された場合には,契約しないことを伝える。特に、希望しない即日施術ははっきり断る、(4)やむなく高額な契約をしてトラブルとなった場合などには,消費生活センターに相談する――を挙げています。

 消費者庁も「医師の説明を十分に理解できたか」「今すぐ必要な施術なのか」を事前に熟慮するよう、消費者に呼びかけています。

 私からも付け加えさせてください。

 自分を守るためには、人を疑うことも必要です。あなたの人生をコントロールできるのはあなただけ。主体性を強く持って、「NO」と言うべきときに「NO」と言える人になりましょう。そして、もしも「痛い目」に遭ってしまったとしたら、訴訟も視野に入れて専門家に相談するなど、あきらめずにベストを尽くしましょう。解決のための何らかの方法があるはずですから。

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三輪記子
三輪 記子(みわ・ふさこ)
弁護士

 三輪 記子(みわ・ふさこ) 弁護士。1976年生まれ、京都市出身。東京大学法学部卒、立命館大学法科大学院修了。2010年、弁護士登録。「白熱ライブ ビビット」(TBS系)、「キャスト」(朝日放送)などにレギュラー出演し、コメンテーターとしても活躍中。2017年に女性弁護士2名の事務所「東京ファミリア法律事務所」を開設。