化粧はマナー!? ヨーロッパ人女性が化粧をしない理由

サンドラがみる女の生き方

 ニッポンでは、化粧をすることが女性のマナーだという考え方が一部にあります。社会人の女性は「ビジネスの場」で化粧をしているのがマナーだと考える人もいますし、「恋愛の場」においても、例えば発言小町に「3回目のデートですっぴん」という投稿があるように、「デートの際に化粧をするのは当たり前」と考える男性もいるようです。こうした考えを受けてか、ニッポンには人前に出る時は化粧を欠かさないという女性が多い気がします。

 今回はニッポンと海外を比べながら、世界の「お化粧事情」について書きます。

女性の化粧は義務!?

 3回目のデートにすっぴんでやって来た20代半ばの彼女について、「失礼だと思いませんか」と発言小町で問いかけた男性に対し、化粧をしないという女性から「肌が弱く化粧をすると肌荒れする」というレスがありました。この場合、化粧をしないのは自然な流れなのですが、化粧をしない理由として、「敏感肌」だとか「肌が弱い」しか社会的に認められないのだとしたら、それもまた問題ではないでしょうか。個人的には、化粧品による肌トラブルなどがなくても、「化粧をしない自由」ぐらい残しておいてほしいと思います。

 ちなみにヨーロッパでは、ビジネスシーンでもデートの場でも、化粧については実に多様で「化粧をしている女性もいれば、化粧をしていない女性もいる」のが現状です。詳しくは後述しますが、ヨーロッパにおいて化粧たるものは、「しててもオッケー、しなくてもオッケー」程度のものであるわけです。

「すっぴん」という言葉がない?!

 ニッポンでは、女優さんが自分の「すっぴん」の写真をブログに載せ、それがネットの記事になったりもします。すっぴんがきれいだと話題になりますし、すっぴんというものがある意味、特別視されているのかもしれません。

 これは女優に限りません。私も先日、都内を歩いていたら、知人女性にバッタリ会ったのですが、会った瞬間、相手に「きゃー! 今日はすっぴんなんです! あーっ、こんな日に会ってしまうなんて……」と言われました。その後、「さっきはすっぴんで失礼しました」というメールも来ました。

 すっぴんでも、たとえば「近所のコンビニに行くだけならオッケー、電車に乗るのは不可」などと、「すっぴんでの外出は、どこからNGなのか」という基準を自分なりに決めている女性も多いようです。この「すっぴん」というテーマ、日本では話題が尽きません。

 ドイツはというと、「すっぴん」なる言葉も概念もないのでした(無理やりドイツ語に訳すことは可能ですが、実際のところ、使われていない言葉です)。だからもちろん、人前でのすっぴんは「特別なこと」もしくは「恥ずかしいこと」といった感覚もないわけです。そんなこんなで、ドイツに限らずヨーロッパの人々に日本でいう「すっぴん」に対する感覚を理解してもらうことは、なかなか難しいかもしれません。

「花嫁さんは結婚式には化粧をしましょう」

 以前、ドイツの女性誌を読んでいたら、結婚式に関する記事が載っていたのですが、そこには「花嫁へのアドバイス」として「やはり化粧をしたほうがきれいなので、花嫁さんは結婚式には化粧をしましょう」というものがありました。

 日本の女性誌だったら、花嫁さん向けのメイク術だとか、誰にどのように化粧をしてもらうのかなど、もっと詳細な内容になるかと思うのですが、ドイツの場合は「花嫁は結婚式当日は化粧をしたほうが良い」というアドバイスにとどまっていたのが面白く、あまりの感覚の差に笑ってしまいました。

ヨーロッパ人の女性が化粧をしない理由

 今回のタイトル「ヨーロッパ人女性が化粧をしない理由」についてですが、誤解を防ぐために書いておくと、「地域差」はあります。もちろん、最終的にはどの地域でも女性それぞれ違うわけですが、全体的にみると、スカンディナビア諸国やオランダ、ドイツあたりでは、化粧をしていない女性を多く見かけます。逆に東ヨーロッパや、スペイン、イタリアなど南ヨーロッパの国に行けば、化粧をしていたり、いわゆる女性らしいおしゃれをする人が増える印象です。

 ドイツ人の友達に「ふだん、化粧ってする?」と聞いてみたところ、「職場のために化粧はしないけど、夜遊びをする時は化粧する」という回答もありました(笑)。いずれにしても、ドイツ人の感覚だと、「化粧=マナー」という感覚ではないようです。化粧はどちらかというと、気持ちと時間の余裕がある時の「オプション」といった感じでしょうか。

 実際、日本人がヨーロッパに行くと、「すっぴんの女性」が多いことに驚くようです。確かに、例えばソバカスがあっても、それをカバーしようとは思わない女性も多いです。筆者も日本人の女性に「なぜヨーロッパの女性は化粧しない人が多いの?」と聞かれることがありますが、理由は単純に「気にしていないから」だと思います。では、なぜ気にしないのかというと、「女性はいつでもどこでも、きれいでいなくてはいけない」という認識がない、もしくは日本よりも薄いからです。社会が「女性」と「美」をそれほど関連付けて考えていないともいえます。そんな背景もあり、ヨーロッパの女性は、もちろん個人差はあるものの、日本人から見ると「どこまでもナチュラル志向」に見えることがあるようです。

化粧をする場合は「ポイントメイク」

 さて、日本を含むアジア圏では「すべすべな肌」が重要視されているため、化粧というと、基本は肌がきれいに見えるファンデーションがベースですが、ヨーロッパの場合は、肌には特に何も塗らず(もしくはパウダーだけ)、ポイントメイクだけ、という女性も多いです。前述の「夜遊びの時だけメイクをする」と答えたドイツ人の友人も、夜遊びの際はポイントメイクなのだとか。金髪で肌の色素が薄い女性の場合、ポイントメイクの際に「まつ毛をマスカラで黒くする」ことが優先されたりします。

 なにはともあれ、お国柄によって化粧に関する感覚の違いがあるわけですが、個人的には「女性=化粧をしなければいけない」というのは少し窮屈に感じます。小心者のせいか、女性が複数いるグループの中に自分がいる時、そこに「化粧をしている人」「化粧をしていない人(あえて「すっぴん」とは書きません)」「ポイントメイクだけの人」などなど、いろんな人がいると居心地が良いなと感じるのでした。もちろん「周りの人なんか気にしなければいい」という声もあるかと思いますが……。

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サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト

 ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオ共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(ともに流水りんこ共著/KKベストセラーズ)など。
 「ハーフを考えよう!」http://half-sandra.com/