50年後に更地で返還?! 借地権物件ってどうなの?

35歳、働き女子よ城を持て!(23・・・

 人はなぜ、家を買うのだろう。

 なにしろ家は高い。東京都心なら、なおさら高い。

 毎月毎月、マンションのローンを返済しなければならない上、固定資産税+管理・修繕費まで上乗せされる(そして、将来上がるかもしれない)ことを考えれば、気楽な賃貸のほうがいいという人がいるのもうなずける。

 その点、借地物件だと所有権物件より大分お安い。都心では何と言っても高いのは土地だから、その土地代がかからないのは大きいのだ。さらに固定資産税と、購入時の取得税まで節約できる。

 高殿「ヴィンテージマンションで、きっちり管理されていて、上物の状態がよく、スケルトンリフォーム等で新築同様なら、借地もありですね」
 O「あくまで旧法の場合です」
 高「ということは、新法借地権の物件もあるわけですよね」

そう、借地権は1992年を境に旧法と新法に分かれます。92年以降に建てられた借地権物件は、定期借地権であることが多いという。

 O「期間満了後は建物を地主に引き渡さなければならないタイプや、住宅用として使えない条件付きなどいろいろありますが、普通の人がマンションを買うときによくあるのは、期間満了後は更地にして地主に返すタイプの定期借地権です」
 高「定期借地権50年て、微妙じゃないですか?」
 O「そう、ちょっと微妙なんです。というのも、現代、人間の寿命はどんどん延びている。いま35歳の人も50年後まだ生きている可能性もあるわけです」
 M「85歳になって、職もないのに追い出されるなんて悲惨」

 問答無用で更地にして返さなくてはならないので、92年以降の物件で借地権ものを選ぶときは、旧法とは別の意味で覚悟が必要かも。

 高「あ、でも借地権と言えば、ちょっと前にニュースになった、品川の一等地のタワーマンション。あれはどうなんだろう。借地権の契約期間が長かったような……」
 「70年ですね」
 高&M「長い!」
 高「70年のロング借地権なら、M村100歳超え。さすがに死んでる?!(親指たてる)」
 M「死んでますね!!(親指たてる)」

 ただし、あのタワーマンションの場合、地主が東京都だったことで、長期契約になった可能性もある。個人の地主の場合、いまから50年後のことなんて自分の人生も、相続相手もどうなっているかわからない。70年ならなおさらだ。

高根の花、タワーマンション(写真はイメージです)

 高「なるほど、法人所有や公的機関所有でもない限り、70年の長期契約にしても地主側にメリットがないんだね」

 とはいえ、旧法と違って新法の定期借地権にメリットがないわけではない。土地代がない分、お安いのは旧法と変わりはないし、旧法物件と違って平成築で新しい。新耐震だから地震対策もばっちりのはず。

 M「定期借地権物件のデメリットはほかにありませんか?」
 O「そうですね、契約期間があと数年になってしまうと、『もうすぐ取り壊すんだから……』と、管理組合がろくに修繕しなくなる可能性があります。その場合、見てくれの悪い、使い勝手の悪い、汚れたマンションに住み続けなければならなくなるかもしれません」
 高「た、たしかに」
 O「あとは、何かあったときに売却が難しいです」
 高&M「たしかにー!」

 数年後に取り壊されることが確実なマンションをわざわざ買う人はあまりいなさそうだ。しかも、築年数は50年。売れたとしても、はした金かも。

 O「でも、私は気にしませんけどね」

 不動産のプロらしく、Oさんは余裕である。

 O「だって、50年ずっと、住み続けなければならないわけじゃない。13年で元が取れることは旧法物件と同じなので、あとは賃貸で払わなければならない分を貯金するか、だれかに貸して家賃収入を得ればいい。50年間、同じライフスタイルのわけじゃない。独身でいても、退職をすれば都心にこだわらなくてもよくなる。この六本木物件の借地権のように所有権のほぼ半額で買えるなら、初期投資が安くすむメリットを生かせばいいんです。とにかく品川のタワマンのように、利便性がめちゃくちゃいいところを選べば、あとの選択肢はいくらでもあります」

 なるほどー、とロボットのようにうなずくばかりの我々であった。Oさんの言うプランは、たしかに一理ある。

 高「所有権物件を買ったところで、その価値がどうなるかなんてわからないものねえ」
 M「人為的なミスや不幸は、さすがに100%は回避できませんし」

 年収300万円女子には、品川駅前や六本木徒歩圏など超一等地の所有権物件は高嶺の花すぎる。しかし、超都心アクセス最高でさえあれば、その人為的なミスや不幸があっても、価値は下がりにくい。そういう考え方もあるだろう。

 O「そうです。借地に関して言うと、たしかに金額というメリットは大きいですが、くれぐれも土地のオーナーの相続問題には気を付けてください。オーナーが急死して、相続人が複数いる場合、相続税が払えなくて兄弟が骨肉の争いをしている……みたいなこともあります」
 M村「突然の火サス案件か!!!」

 だから、地主がだれなのかがキモなのだ、とOさんは言う。宗教法人や会社所有、国や公共団体所有の土地ならリスク回避というなわけである。 

 高「ところで、地代を払わないといけない上物だけの物件で、旧法地上権ていうのがたまにあるんですが、アレはなんですか」
 M「旧法借地権とはまた違うんですか?」

 不動産は本当に奥が深い。勉強することがいっぱいだ。素人にはどう違うか、さっぱりわからない。次の課題は、地上権VS.借地権だ。

 監修:風呂内亜矢

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高殿円(たかどの・まどか)
作家

 兵庫県生まれ。2000年『マグダミリア三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。著作に、「トッカン」シリーズ、「上流階級 富久丸百貨店外商部」シリーズ、『メサイア 警備局特別公安五係』『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』、「カーリー」シリーズ、『剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎』『主君 井伊の赤鬼・直政伝』『政略結婚』など、話題作を続々と発表している。13年『カミングアウト』で第1回エキナカ書店大賞を受賞。漫画原作も多数。最新作は『戒名探偵 卒塔婆くん』(KADOKAWA/11月2日発売)

風呂内亜矢(ふろうち・あや)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

 26歳(独身)のとき、貯金80万円で自宅用マンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、 あわてて貯金とお金の勉強を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し、賃料収入を得ている。 マンション購入をきっかけに転職したマンション販売会社では年間売上1位の実績を上げ、 2013年からはファイナンシャルプランナーとして独立。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです』(祥伝社)、『デキる女は「抜け目」ない』(あさ出版)、『図解でわかる!確定拠出年金』(秀和システム)、『最新版 届け出だけでもらえるお金 戻ってくるお金』(宝島社)などがある。最新刊は『ほったらかしでもなぜか貯まる!』(主婦の友社)。ツイッター:@furouchiaya、LINE@:@furouchi  

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