東京・六本木に2200万円のマンション! 旧法借地権って?!

35歳、働き女子よ城を持て!(22・・・

 東京・六本木のビンテージマンション(42平米、1DK)が2200万円!? 驚愕きょうがくする高殿&M村だったが、その理由は旧法借地権にあるという。旧法借地権って、何だ?

 試しに、このあたりのエリアの物件を見てみると、出るわ出るわ、旧法借地権物件。目黒、広尾・赤坂にわんさか。

 高殿「おっ、これいいな、古いけどお手頃。と思って見ると、ばっちりある記述。それが『地代』。お得物件あるある」
 M村「地代って書いてあると、やっぱりそうなんだって、がっかりしちゃいません?」
 高「するする。ブルータスおまえもかーってなる」

 借地権物件とは読んで字のごとく、地主から土地をレンタルして建てたマンションのこと。だから、上物だけの値段が売買されていて、毎月地代を払わねばならない。

 しかし、借地権にもいろいろある。旧法と書かれているものもあれば、定期借地権もあり、旧法地上権なんて物件もある。何がどういう契約なのか区別がつかないので、六本木の物件を紹介してくれたOさんを召喚した。

 高「借地権ときくと、なんだか面倒が多そうで尻込みしてしまうんですが。例えば、来年借地権が切れる物件って、買ってもすぐに追い出されるんですか?」
 「旧法借地権であれば、全然そんなことはないです。借地権物件は契約が物件によって違うので、一概におすすめはできないのですが、契約によってはお得な物件もありますよ」

 Oさんが例をあげて教えてくれたのは、旧法借地権物件で、オーナーが寺社の場合だ。

 O「オーナーが宗教法人の場合、檀家全員のOKがとれないと売買が不可能です。売っても寺がもうかるだけなので、檀家がそれを了承するとは考えにくいですね。よって、借地権が切れた古いマンションでもできるかぎり修繕して使い続けている場合がほとんどです」

 なるほど、部屋によってはお墓ビューの可能性もあるが、都心の超一等地に安く住み、かつグリーンビューを重要視するなら寺オーナー物件もアリというわけである。

超都心のお寺ビューなマンション(写真はイメージです)

 M「寺がオーナーじゃない借地権物件はオススメできないんですか?」
 O「そういうわけではなくて、基本的に借地権であっても建物が存続する限りは再契約されることが法律で保障されているから、現実問題として建物さえしっかりしていれば、一等地の借地権はそう悪いものではありませんよ……という話ですね」
 高「法律で保証されているんだ! 期限が来ても、まだ住める建物なら契約延長できるんですね」
 O「ライフスタイルによっては、これほど効率のいい都会での住居はないかもしれません」

 Oさんによると、とくに都心では借地マンションにはかなりのメリットがある。土地を所有していないので固定資産税と都市計画税がそんなにかからないのだ。

 O「たとえば、この六本木のマンションの場合、月々の地代が4500円ですので、年間5万4000円の地代がかかります。残りの人生を50年と見積もって、50年払い続ける地代が270万円」

 一方、同様の条件で所有権で売りに出しているマンションを見ると、だいたい倍額くらいである。

 高「ほんとだ、六本木徒歩圏で築年数50年超えのマンションを調べると、所有権ならだいたい4000万円台」
 M「その差、2000万円近くになります!」

 単純計算でも1700万円もお得なのである。さらに、

 O「東京はとにかく土地が高いので、ビンテージのような古いマンションでも固定資産税が安くならないことが多いんです。その点、土地が借地でなら、税金がだいぶ安くなる。もちろん土地の取得にかかわる税金も不要なので、地代のほうがずっと安く住むんです。ぶっちゃけ、固定資産税と地代が同じくらいですよ」
 高「ということは、所有権にこだわる必要はないってことですか……」
 O「もちろんデメリットもあります。一つは、あんまり古すぎるマンションだと、果たして建物があと50年もつか、ということ。いま50年のビンテージは、50年後だと築100年ですから。パリやロンドンには築100年なんてゴロゴロありますけれど、日本は地震国ですし」

 もう一つのデメリットは、相続が難しいということ。

 O「いくら旧法借地権でも、上物がダメになれば建て替えですから、そうすると権利が切れてしまう。お子さんに残したい場合はやはり所有権物件がいいですね」
 高「なるほど、ほんとうにライフスタイルが限定されますね」

 とにかく都心が好きで、通勤に便利で、子供がいなくて、死んだあとはどうでもいい、という気ままなお一人様には最高の物件なのだろう。

 高「じゃあ、同じ旧法借地権でも築50年以上のビンテージより、築30年くらいの新法の方がいいってことですか?」
 O「それがそうでもないんですよ。それに、あくまでこれは玄人的な考えですが、そこに50年ずっと住まなくてもいいわけです。20年くらい住んで、あと30年は貸せばいい。なにせ一等地ですから、借り手はいくらでもいます」
 高&M「そうか! 賃貸に出すという手が。つまり投資物件!!」
 O「あくまで余裕のある人向けですが、将来結婚するかもしれない、もしくは郊外に家を買うかもしれない人には堅い物件ともいえます。このマンションは借りるとなれば家賃は月14万円。賃貸なら2200万円払って、13年しか住めません。一方、買ってしまえば、建物がダメになるまで地代さえ払えば自分のもの。14万円で貸して、月8万円のローンを払っても6万円残る。結婚したら、夫と2人で郊外に広い家を借りたり、買ったりしてもいいでしょう」

 高&M「不動産投資ってそんなふうにやるんだ……」

 今さらながらに、不動産投資をする人々の発想の違いを思い知る我々。

 O「それに比べれば、新法はちょっとややこしいんですよね。定期借地権というんですが」

 新たに謎のワード「定期借地権」が。「定期借地権」って何なの?

 監修:風呂内亜矢

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高殿円(たかどの・まどか)
作家

 兵庫県生まれ。2000年『マグダミリア三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。著作に、「トッカン」シリーズ、「上流階級 富久丸百貨店外商部」シリーズ、『メサイア 警備局特別公安五係』『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』、「カーリー」シリーズ、『剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎』『主君 井伊の赤鬼・直政伝』『政略結婚』など、話題作を続々と発表している。13年『カミングアウト』で第1回エキナカ書店大賞を受賞。漫画原作も多数。最新作は『戒名探偵 卒塔婆くん』(KADOKAWA/11月2日発売)

風呂内亜矢(ふろうち・あや)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

 26歳(独身)のとき、貯金80万円で自宅用マンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、 あわてて貯金とお金の勉強を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し、賃料収入を得ている。 マンション購入をきっかけに転職したマンション販売会社では年間売上1位の実績を上げ、 2013年からはファイナンシャルプランナーとして独立。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです』(祥伝社)、『デキる女は「抜け目」ない』(あさ出版)、『図解でわかる!確定拠出年金』(秀和システム)、『最新版 届け出だけでもらえるお金 戻ってくるお金』(宝島社)などがある。最新刊は『ほったらかしでもなぜか貯まる!』(主婦の友社)。ツイッター:@furouchiaya、LINE@:@furouchi  

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