不動産サイト、同じ物件を複数の会社が紹介するのはナゼ?!

35歳、働き女子よ城を持て!(12・・・

 中古マンションを買おうと思い立ち、便利なネットサイトで検索して、いざ問い合わせようと思ったら、同じ物件ばかりがずらっと並んでいる。でも仲介している会社は別みたい。

 「これってどうなってるの? どれが大本の不動産屋なの?」

 そんな経験、ありませんか?

 高殿「今までもこんなにもマンションマンション言っておきながら、いまさらなんですけど、中古マンションの仲介がどんな仕組みで行われているのか、実は全然知らないんです」
 M村「私もです。あれずっと、謎だと思っていました。なんで違う会社がいっぱい広告を出しているの?って」

 ここで、いったん仲介についての情報を整理しよう。元大手デベロッパーOさんに、仲介システムの解説をしてもらうことにする。

 O「中古マンションは、まず売り手が不動産会社に連絡し、市場に出すために契約を結びます。このときに『専属専任媒介』『専任媒介』『一般媒介』の3種類のうちのどれかを選ぶことができるんです」
 高「せ、せん……? 違いが全然わからないぞ!」

 専属専任媒介は拘束力が強すぎるので、不動産業界でも最近あまり聞かないという。たいていは、専任媒介か一般媒介かの2択で選ぶことになるのだそうだ。

 高「専任媒介にしたら、なにかいいことあるんですか?」
 O「昔は情報が限られていたから、あまり売ることをおおっぴらにしたくない人とかは専任媒介にして、こっそり売り手を探したりしていましたね」

 しかし、時代はネット社会。いまでは売りに出された物件は、元付け不動産業者専用の物件データベース「レインズ」に掲載されるので、全国ほぼすべての不動産業者が見ることができるのだ。

 まずは、このレインズを使った不動産仲介システムを説明しよう。

不動産業者のための専用データベースって?!

 O「クライアントから物件を専任媒介契約したA社が、レインズの物件サイトに登録する。それにはお金がかかる。それはA社が負担する」

 なるほどふむふむ。

 O「それを見て、B社やC社も登録する」
 高「えっ、なんで?? 専任契約を結んでいる会社しか広告は出せないのでは?」
 O「実は、売り主からお金をもらえるのはA社のみ、それが専任契約です。一方、BとかCとかの仲介会社は、買い主から支払われる不動産手数料を狙って、自分たちでお金を払って物件サイトに登録をするんですよ」

 そうか。お金を支払うのは売り主だけではない、買い手だって仲介手数料を払わなければならない。専任契約以外の会社は、それだけを狙って広告を出しているのである。

 O「もし、広告を見た買い手が、専任以外のB社に連絡をして話がまとまれば、A社は売り主から不動産仲介手数料を、B社は買い手から不動産仲介手数料をもらうことができるんです」

 それぞれのお客さんから半々ずつもらうわけで、お互いに損はない。これを業界では“片手”と呼ぶそうだ。

 M「それって、わざわざ専任契約をする意味あるのですか? はじめから一般媒介でもいいのでは?」
 O「専任にするのにはそれなりにメリットがあって、たとえば、物件がなかなか売れないときなんかは売れるまできっちり面倒を見てくれます。レインズに載ったばかりのころはいろんな会社がうちもうちもって広告を出しますが、売れないとわかると広告料がもったいないからやめていく。でも専任媒介契約をしている会社は、専任ですから載せ続けてくれる」
 高&M「なるほどー!」

Oさんの話では、売れ残りすぎて、最終的には専任媒介の会社だけが残ることもよくあるそうだ。その専任だけの広告を見て「買いたい」と申し出た買い手がいれば、売り主からも買い手からも不動産手数料をもうらうことになる。

 高「つまり総どりになるってことか!」
 O「手数料だけでもだいぶ入ってきますから、売り主に売値を下げさせず、この手数料分からディスカウントしてもらうよう交渉も可能です。これを業界では“両手”というんですよ」

 逆に、はじめから一般媒介にしてしまうと、ここまできっちり面倒を見てくれない。売れなければさっと広告を引いてしまう。元々もうけが半分だから売れないときにディスカウントもしにくい。

 高「ということは、媒介のところに専任、とある会社に問い合わせると、その会社の総取りになるので、値引き交渉の可能性が高いということに?」
 O「まあ、その専任の会社にもよりますが、可能性はありますね」

 ……ってな前知識を仕入れた上で、リノベーションマンションを見学に行く!

 監修:風呂内亜矢

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35歳、働き女子よ城を持て!<まとめ>

高殿円(たかどの・まどか)
作家

 兵庫県生まれ。2000年『マグダミリア三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。著作に、「トッカン」シリーズ、「上流階級 富久丸百貨店外商部」シリーズ、『メサイア 警備局特別公安五係』『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』、「カーリー」シリーズ、『剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎』『主君 井伊の赤鬼・直政伝』『政略結婚』など、話題作を続々と発表している。13年『カミングアウト』で第1回エキナカ書店大賞を受賞。漫画原作も多数。最新作は『戒名探偵 卒塔婆くん』(KADOKAWA/11月2日発売)

風呂内亜矢(ふろうち・あや)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

 26歳(独身)のとき、貯金80万円で自宅用マンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、 あわてて貯金とお金の勉強を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し、賃料収入を得ている。 マンション購入をきっかけに転職したマンション販売会社では年間売上1位の実績を上げ、 2013年からはファイナンシャルプランナーとして独立。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです』(祥伝社)、『デキる女は「抜け目」ない』(あさ出版)、『図解でわかる!確定拠出年金』(秀和システム)、『最新版 届け出だけでもらえるお金 戻ってくるお金』(宝島社)などがある。最新刊は『ほったらかしでもなぜか貯まる!』(主婦の友社)。ツイッター:@furouchiaya、LINE@:@furouchi  

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