大震災後、東京の築50年マンションってどうなったの?!

35歳、働き女子よ城を持て!(11・・・

 プロ(住宅診断士、またの名をホームインスペクター)のアドバイスで、「中古マンションも怖くはない!」と意気が上がるチーム高殿。

 ということで、我々はなるべく便利な都心に家を求めるべく、中古マンションについての調査を進めることにした。

 まず、なんといっても地震問題である。日本に住んでいると、地域に関係なく、地震は切っても切れない関心ごと。特に居住するのが高層マンションになりがちな東京では、地盤の問題はだれしも気になるところだろう。

 高殿「実際、地震や事件が起こるたびに法律も細かく改正されているみたい」

改正ポイント
*1950年(昭和25年)建築基準法制定
*1981年(昭和56年)新耐震基準が施行
*2000年(平成12年)改正・地盤調査が事実上必須
*2006年(平成18年)耐震偽装事件を受けて、構造計算書審査を義務化
*2011年(平成23年)東日本大震災

 このあたりが、大きな改正ポイントとしてあげられる。

 M村「よく聞く新耐震基準って、具体的にどこがどう新しくなったんですか?」
 高「そもそも、1981年以前のマンションや戸建てだと、耐震基準が設定されていなかったんだよ。だから、この改正で震度5強の地震でも構造躯体くたいに損傷(つまりひび割れとか)がなく、震度7でも倒壊しないこと、が明記されたのは大きい」

 実際、2011年の東日本大震災で東京は震度5まで揺れたのだけれど、この時の被害報告を、高層住宅管理業協会がまとめている(平成23年9月21日  東日本大震災の被災状況について・続報)。それによると、東京で調査した2万1165棟のマンションのうち、住めなくなった棟はゼロ、大規模な修繕が必要なのは8棟、タイルなどの補修が424棟。

 M「この大規模な修繕が必要な8棟って、どこを修繕したんでしょう?」
 高「“被害判定は日本建築学会の『被災度区分』を基準”と記載されてあって、中破にあたるのが『柱に典型的なせん断ひび割れ・まげひび割れ・耐力壁にせん断ひびわれが見られ、RC二重壁・非構造体に大きな損傷が見られるもの』とある。なので、このあたりを修繕したってことでしょう」(日本建築学会が作成した宮城県沖地震調査報告書より)
 M「この8棟は、旧耐震基準で建てられたんでしょうか」
 高「さあ、どうだろう。そのへん気になるよね」

 具体的なマンションの修繕規模や費用はわからないが、この東日本大震災時のリポート内のコメントとして、『耐震基準別の被害:旧・旧耐震基準、旧耐震基準、新耐震基準による建物の被害状況に阪神・淡路大震災のような経年数や耐震基準別の被災傾向はみられない』としている。詳しくはネットに公表されているので、該当ページを参考にされたし。

日本のマンションは意外と強い?!

 高「つまり、阪神大震災のときは新耐震以前と以降で被害は明確に区別できたけれど、今回の震災ではそうでもなかった、旧耐震だからって被害が大きかったというわけではないってことかな」

 一方、2013年に東京都都市整備局がまとめた資料によると、東京には約165万戸のマンションがあり、そのうち旧耐震基準は36万戸、全体の約22%を占める。

 M「旧耐震マンションが36万戸もあるのに、2011年の震災で中規模な修繕8棟のみって、けっこうすごくないですか?」
 高「ですよね。やっぱりマンションって築50年でも丈夫なんですねえ」

 これらの資料からわかったことは、東日本大震災で震度5を経験したり、耐震強度偽装問題(*1)があったりしたにせよ、地震で住めなくなったマンションは、新旧問わずほとんどないってことだ。

 高「むしろ斜めになって住めなくなった某大手ブランドマンションは、完全な人的災害によるものだしね」

 「マンションは意外に丈夫」……だとすれば、あなたはどこまで古さを許容できますか?

 高「そこだよね! やっぱり外観も中身も大事。でも中身はリフォームできるし、昨今はやりのリノベーションマンションだと、中だけ見れば新築と変わらないって聞くよ」
 M「俄然がぜん、興味が出ました!!」
 高「中古マンションへの恐怖心もなくなったことだし、行ってみるか!」
 M「行っちゃいましょう!!」

 というわけでフットワーク軽く、次なる中古マンションを見に行くことにした。

 *1 2005年。建築設計事務所の元一級建築士が、地震などに対する安全性の計算を記した構造計算書を偽造していたことに端を発した一連の事件。「耐震強度構造計算書偽装事件」と名付けられ、大きな社会問題となった。

 監修:風呂内亜矢/

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高殿円(たかどの・まどか)
作家

 兵庫県生まれ。2000年『マグダミリア三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。著作に、「トッカン」シリーズ、「上流階級 富久丸百貨店外商部」シリーズ、『メサイア 警備局特別公安五係』『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』、「カーリー」シリーズ、『剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎』『主君 井伊の赤鬼・直政伝』『政略結婚』など、話題作を続々と発表している。13年『カミングアウト』で第1回エキナカ書店大賞を受賞。漫画原作も多数。最新作は『戒名探偵 卒塔婆くん』(KADOKAWA/11月2日発売)

風呂内亜矢(ふろうち・あや)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

 26歳(独身)のとき、貯金80万円で自宅用マンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、 あわてて貯金とお金の勉強を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し、賃料収入を得ている。 マンション購入をきっかけに転職したマンション販売会社では年間売上1位の実績を上げ、 2013年からはファイナンシャルプランナーとして独立。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです』(祥伝社)、『デキる女は「抜け目」ない』(あさ出版)、『図解でわかる!確定拠出年金』(秀和システム)、『最新版 届け出だけでもらえるお金 戻ってくるお金』(宝島社)などがある。最新刊は『ほったらかしでもなぜか貯まる!』(主婦の友社)。ツイッター:@furouchiaya、LINE@:@furouchi  

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