「ゆる文字」で手書き年賀状を楽しく 雑貨デザイナー・宇田川一美さん

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宇田川一美さん

 もうすぐ年賀状の準備を始める季節。今ではインターネットで簡単にデザインや印刷の注文ができますが、そんな時代だからこそ、手書きの魅力を見直す人も少なくないようです。雑貨デザイナーの宇田川一美さん(48)もその一人。筆ペンを使って繰り出す「ゆる文字」に手書き独特の味わいがあると評判を呼んでいます。今年でシリーズ5冊目となる「筆ペンで書く亥年のゆる文字年賀状」(誠文堂新光社、定価・1100円=税別)を9月に出版した宇田川さんに、相手に喜ばれる年賀状の書き方などについて聞きました。 

 ゆる文字は、デザイン性の高い書道の文字として紹介されたこともあり、注目されるようになりました。宇田川さんは、ある雑誌で、おすそわけやおみやげに添えるカードや伝言メモを筆ペンを使ってこちらの気持ちが伝わるように書く、という企画の仕事をしました。字を大胆に崩したり、書き順にこだわらずにふんわりとした感じに整えたりしました。その文字を見た読者から「味わいがある字。書き方のコツを教えてもらえないか」と問い合わせがあり、ゆる文字本の出版につながったそうです。  「私は文字をまず絵としてビジュアルで考えます。書き方にうまい・下手があるわけではなく、『こんなふうに書けば、気持ちが伝わるかなあ』と工夫していくのが楽しい」と宇田川さんは話します。例えば、「猪突ちょとつ猛進」の四字熟語。正面からまっすぐ突き進んでくる勇ましい表情のイノシシをイラストで描き、文字のほうは「猪」の者の部分を丸く、「突」は下部を小さく、「猛」は皿の部分を丸く簡単に書いて、「進」を小さく配置することで、ユーモラスな感じを出しました。

  「字のほうは優しく、どこか抜け感があるほうがいいかなあと。イラストと文字の対比を考えて、一枚一枚デザインしていきます」  ゆる文字を書く際のポイントは「書き出しは太くぽってりと」「線の太さはメリハリをつける」など。同じ線をたどり直して、二重に描いてもOKだそうです。宇田川さんが愛用しているのは、黒色・赤色・金色・薄墨など数種類の筆ペン。赤や金色は水彩絵の具で代用できます。

  「筆ペンはたった1本でも、太字と細字が自由自在に書き分けられる万能選手。だから1本から始めてもいい。多くの人に筆ペンの面白さを見直してもらえたら」 

 9月に出版した「筆ペンで書く 亥年のゆる文字年賀状」では、オクラやジャガイモなど身近な野菜の切り口をスタンプ代わりにして、ウリ坊(イノシシの子供)の鼻の部分や胴体を描いたり、柄入りのマスキングテープを割いて貼り付け、朝モヤのような背景にしたり。93の図案とともに、年賀状作りのアイデアを盛り込みました。 

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 宇田川さんは「年賀状は年一回のお祭り。送る相手のことを考えながら、文字を書いていると不思議と気持ちが落ち着いてきます。一つだけ自分のデザインを考えて、それをスキャンして印刷してもいいけれど、自分で書く時間は大切にしてほしいと思います」と話しています。

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