橋本麻里さんと奈良の旅、正倉院展は27日から

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東大寺大仏殿の前で、奈良の魅力について語る橋本麻里さん(奈良市で)

 第70回正倉院展(主催・奈良国立博物館、特別協力・読売新聞社)が10月27日~11月12日、奈良市の奈良国立博物館で開催される。ちょうど深まる秋を感じつつ、歴史や文化の薫る奈良のまちをじっくり巡るのにふさわしい。公益財団法人永青文庫(東京都文京区)の副館長で、日本美術に造詣の深いライター橋本麻里さんに、お気に入りのスポットを案内してもらった。

見て知って想像膨らませ

 歴史や文化を知り、自分が当時のその場にいるような想像を膨らますことができる。それが、奈良の旅の楽しみです。

 奈良と言えば東大寺(図《1》)。まずは大仏殿に足を運び、最大級の木造建築の迫力を感じてください。大仏さまが造立された奈良時代、戦乱で焼けた後に大仏殿が再興された鎌倉時代、江戸時代、と大きく三つの歴史があり、各時代の大仏さまの姿を想像しながら空間に身を置いてほしいのです。

東大寺ミュージアムを見学する橋本さん

 9月に新しくなった東大寺ミュージアム《2》も立ち寄りたい場所。絵巻などの鮮やかな映像が入り口で出迎えてくれます。展示を通して、一つ一つの情報が知識としてつながり、日本の歴史を見通すことができます。

 東大寺を出たら、南大門近くの「森奈良漬店《3》」へ。ひょうたんの奈良漬(長さ2~3センチ)が形もかわいらしく、お土産にお薦めです。奈良国立博物館向かいの骨董こっとう品店「友明ゆうめい《4》」は、仏教美術品や茶道具など奈良らしい骨董がそろう、親しみやすい雰囲気のお店です。

 奈良公園から少し足を延ばしてほしいお寺もあります。一つは唐招提寺《5》です。奈良時代の創建時の姿を残すおおらかな金堂に、僧になるための儀式が営まれた戒壇。静かな境内に心が洗われます。もう一つ、落ち着いた雰囲気の海龍王寺かいりゅうおうじ《6》は、ぜひ五重小塔(国宝)にお参りを。堂内に安置されていて、近くから細部まで見ることができます。(談)

 

正倉院展 オススメ宝物はコレ!

 

 巻きスカートのような装束で、赤い帯に赤、紫、緑の3種類の細長い布を繰り返し継ぎ、縦じまにしている。聖徳太子ゆかりの天寿国繍帳てんじゅこくしゅうちょうや高松塚古墳壁画に見られるように、古代の女官らが身に着けた。

 「布を残すのは、木や鉱物以上に大変なこと。それが形だけでなく、色も文様も残っているのが素晴らしい」と橋本さん。「当時の采女うねめ(女官)のあでやかな装いや、宮廷の風景にロマンを感じます」

ちょっと足を延ばして

 

 時間に余裕があれば、歴史の奥深さをさらに感じられる場所に出かけたい。

 橋本さんのお薦めは、奈良県宇陀市。日本書紀にも登場し、「歴女なら行っておくべき土地」という。

 江戸時代に開かれた国内最古の民営薬草園「森野旧薬園」((電)0745・83・0002)は薬草約250種類を栽培。「本草学の資料と比較すると面白い」

 近くの和菓子店「松月堂」((電)0745・83・0114)は、銘菓「きみごろも」(1個税抜き110円)が人気。ふわふわ食感で、「味はもちろん、キューブ状の形もかわいい」。

食事はココ!

記憶呼び覚ます仕掛け

アコルドゥのコースの一皿。秋のハーブを使い、自然の中で生きる動物を表現した

 ランチやディナーに橋本さんが推すのは、レストラン「akordu(アコルドゥ、スペイン・バスク地方の言葉で『記憶』という意味)《7》」。「奈良にありがちな伝統、というイメージとは対極の創造的な調理技術で、奈良産食材のよさを最大限に引き出している。驚きを味わえます」

 昼夜ともお任せコースのみ。「皿ごとに物語があり、食べる人の様々な記憶を呼び覚ますような仕掛けをしています」とオーナーシェフの川島ひろしさん(47)。橋本さんは「それぞれの料理を巡って、同席した人と語り合わずにはいられない」と絶賛する。

 (文・岡本久美子 写真・浜井孝幸)

第70回正倉院展

 奈良国立博物館(奈良市登大路町)
 10月27日(土)~11月12日(月)※会期中無休


 【開館時間】午前9時~午後6時。金・土・日・祝日は午後8時まで。入館は閉館30分前まで。
 【料金】お得な前売り券は10月26日まで販売。
 料金は一般1000円、高校・大学生600円、小・中学生300円(当日券はいずれも100円増し)。
 奈良国立博物館観覧券売り場やローソンチケット(Lコード58400)、セブン-イレブン、チケットぴあ(Pコード769-295)などで購入できる。
 閉館の1時間半前から入館できる当日券「オータムレイトチケット」は一般800円、高校・大学生500円、小・中学生200円。閉館の2時間半前から同館当日券売り場で販売する。
  一般と小・中学生がセットで1100円とお得な「親子ペア観覧券」は前売りのみで、プレイガイドや一部のコンビニエンスストアで販売している。
 ※詳細はハローダイヤル(050・5542・8600)か、YOMIURI ONLINE(正倉院展特設サイトhttps://www.yomiuri.co.jp/shosoin/)で。

 【主催】奈良国立博物館
 【協賛】岩谷産業、NTT西日本、関西電気保安協会、キヤノン、京都美術工芸大学、近畿日本鉄道、JR東海、JR西日本、シオノギヘルスケア、ダイキン工業、大和ハウス工業、白鶴酒造、丸一鋼管、大和農園
 【特別協力】読売新聞社
 【協力】ミネルヴァ書房、読売テレビほか