恋はこれから…挙式2日前に「早すぎる結婚」から逃れた女の子 

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 10月11日は、若い女性の権利を広く国際社会に呼びかける「国際ガールズ・デー」です。世界では、7億2000万人もの女性が18歳になる前に結婚をしています。こうした「早すぎる結婚」は、彼女たちから教育の機会を奪い、妊娠・出産を強いられて命を落とすケースさえあります。国際NGO「プラン・インターナショナル」のボランティアスタッフを務めるバングラデシュ人のシーラさん(19)は「早すぎる結婚」から逃れた経験を持つ女性です。国際ガールズ・デーにあわせて来日したシーラさんに、話を聞きました。

一度も会ったことがない男性

 「両親から結婚を勧められたのは14歳の時。相手は一度も顔を合わせたことのない男性でした」とシーラさんは振り返ります。

 シーラさんは両親と弟2人の5人家族。父親がケガをして働けなくなり、家計が苦しくなったため、両親から結婚を勧められたのです。「最初に聞いた時は、とても傷つき、怒りました」。結婚はしたくない、勉強をしたいと両親に訴えましたが、聞き入れてもらえません。結婚式の2日前に叔父のところへ逃げ出し、叔父に頼んで一緒に両親を説得してもらって、なんとか結婚を回避することができました。

コミュニティの子供を訪問するシーラさん

いつか私の活動を理解してくれる人と

 すんでのところで早すぎる結婚から逃れることができたシーラさん。理想の結婚相手を聞くと、「私の活動を理解してサポートしてくれる人、分別があって誠実な人がいいですね」と言って頬を赤らめました。

 将来への夢が膨らむ一方で、「親せきの中には、結婚から逃げた私のことを『あの子はダメな子だ』と言う人もいて、やっぱりつらいですね」。

 シーラさんには「早すぎる結婚」を余儀なくされた友人がたくさんいます。「ある友人は、中学1年の時にかなり年の離れた男性と結婚させられました。妊娠しましたが、流産し、そのことを責められて離婚しました」。体が未成熟な状態で妊娠・出産することで母体に負担がかかり、流産してしまうケースは後を絶たないといいます。

今度は自分が助ける

 シーラさんは現在、「プラン・インターナショナル」のボランティアスタッフとして、12~14歳くらいの女の子を集めて、自分自身や友人の経験を伝え、「早すぎる結婚」をしないよう説いています。これまでに16人もの「早すぎる結婚」を止めましたが、「そのうち2人の両親は、『娘をそそのかした』と大変怒っていました」とシーラさん。今後も根気強く、啓発活動を続けていくつもりです。

仲間達とのミーティング

 シーラさんの活動は、「早すぎる結婚」の防止だけにとどまりません。女性に対する性的な嫌がらせの防止活動にも取り組んでいます。バングラデシュでは、女性が男性から性的な嫌がらせを受けても、「受けた女性が悪い」と見なす風潮があり、被害女性はなかなか声を上げることはできません。

 ある時、シーラさんの住んでいる地域で女の子に性的な嫌がらせをする男性がいたので、「プラン・インターナショナル」に相談して防犯カメラを設置。嫌がらせの現場をおさえて、地域のリーダーに訴えました。「女性が声を上げていくのはまだ難しい状況ですが、プランに支えてもらいながら、仲間とともに取り組んでいます」

自分の力を信じて

 シーラさんは昨年4月、念願の大学生になりました。文章を書くのが大好きで、日記をつけたり、地元の青少年向けの新聞に投稿したりしているそうです。「女の子だって、自分の力を信じて自分の意見を発言していけば、意思決定プロセスに参加できるということを伝え、自分の国で広めていきたい」
(取材・文・写真/山口千尋)

国際ガールズ・デーって?

 国連は10月11日を「国際ガールズ・デー」に定めており、この日に合わせて各地でイベントが行われます。

 東京・六本木の「バーニーズ ニューヨーク六本木店」では11日午後6時30分から、「国際ガールズ・デー “Because I am a Girl 2018”」が開かれます。歌手の一青窈さんをゲストに迎えて、「早すぎる結婚」をテーマに、映画配給会社代表の関根健次さんと、「プラン・インターナショナル・ジャパン」理事の大崎麻子さんがトークイベントを行います。当日は、シーラさんも登壇します。観覧無料。

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